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第三章:康夫による心理的包囲網
瑠美が証拠を消し去る方法を模索する中、康夫は救済者として彼女の前に現れた。
「瑠美さん、修くんは本当に忙しい。君一人で小春ちゃんの面倒を見るのは大変だろう」
康夫は、修の不在を見計らい、頻繁にマンションを訪れた。
小春の送り迎え、壊れた設備の修理、瑠美の心労への気遣い。
康夫の献身は、「義父」としての愛情と、恩人としての信頼を完璧に演じていた。
瑠美は、脅迫の恐怖と修の不在による孤独の中で、康夫の存在を、唯一の心の拠り所として受け入れ始めた。
ある日、康夫は瑠美に、監視を暗示する言葉を囁いた。
「瑠美さん、修くんは今、全社運を背負って奮闘中で、君たちの家庭の些細な問題さえも、支障をきたす恐れがある。外部の者に付け入る隙を与えてはならない」
この言葉は、瑠美に「康夫は修のキャリアを守る味方だ」と確信させた。
瑠美は、康夫に脅迫の事実を話そうかとも考えたが、「修のキャリアに傷をつける」という康夫の言葉が、彼女の口を閉ざさせた。
康夫は、瑠美が孤独と恐怖の中で、徐々に自分に依存し始めていることを確認した。




