第17話 扉(泣)
私の抵抗も虚しく、部屋を出て、廊下をアデル様は迷いなく突き進んでいく。アデル様の足が長いせいか、移動速度がとっても早くて周りの風景も落ち着いて見れなかった。それどころか、アデル様にしがみついて落とされないようにするので必死だった。
「はぁ…はぁ…も、もうお、おろし、てください…」
「あぁ。」
「!?」
今まで私の主張をALL無視してスタスタと歩いていたというのに、急にすんなりと私を腕の中から解放してくれた。ちょっとめちゃくちゃ疲れたけれど私が息を入れるほど真意を込めた主張がよく伝わったのだと思…
「もう大広間についたからな。」
「……なるほど」
…どうやら私の抵抗云々は全く関係なかったらしい。これは、帰りも同じコースなんじゃないかな?と思った私はもう、諦める覚悟をした。
しかし、冷静になって正面を見てみると、明らかに重たい雰囲気を醸し出す、大きな扉があった。
扉に近づくだけで、肌がピリッとするような威圧みたいなものがあって思わず後退りをしてしまう。
しかも、中から微かな声が聞こえるのだが…
『…の…人間…食料…』
『…で…殺す…爆弾を…』
ヒィ(泣)
「えぇと。これが、その食事をする場所ですか?」
「あぁ。そうだ。」
「なんだか、食事をとる場所らしからぬ雰囲気を感じるんですが… 」
「…まぁ、それは…な。」
アデル様の頭から上が完全にこちらを見ていない。少しだけ見える顔色が悪いようにも感じた。
…ちょっと待ってください。本当にここで、ご飯を食べるんですか__?!




