戦々恐々の日々
大手新聞社の特派員をしている笹本が派遣されている国から久しぶりに帰国したので、高校生の頃から仲の良い5人で集まり飲みに行く。
その帰り道、繁華街の隅っこで占いをしている占い師を見つけ、此れからの運勢を占ってもらった。
結果は俺たち全員に水難の相が出ているらしい。
まぁ冷やかし半分で占ってもらったので、5人全員に同じ事を言っておけば1人ぐらいは当たるかも知れないと、皆んな水に気をつけろよと言い合いながら解散した。
それが半年前の4月の始め頃の事。
5月の連休に家族と山にキャンプに行った柴田が、キャンプ場の傍の川で鉄砲水に見舞われ、流されて行方不明になる。
6月の熱帯夜に自宅のプールで1人涼しんでいた清水が、プールの中で心筋梗塞を起こし溺死。
7月には里中が道を歩いている途中、足下の水道管か破裂して上がった水柱に吹き飛ばされ頭を強打、意識が戻らず今も昏睡状態のまま入院中。
8月、派遣先の国で起きたデモを取材中に笹本が、政府軍がデモ隊を鎮圧しようと放水した高圧放水に弾き飛ばされ、脊髄を損傷して下半身不随になった。
9月の今、次は俺の番だと外出せず家に閉じこもって、戦々恐々の日々を過ごしている。