……うん、ほんとになんで――
「――ねえ、ロイ。先ほども、少し遠目に見てましたけど……このままで、本当に良いのですか? このまま何も出来ず、あのように見下されたままで」
「……あはは、見られてたんだ。でもまあ、仕方がないよリリアさん。実際、僕は何も出来ないし」
「……そんなの、まだ分からないではないですか」
その後、お昼休みにて。
いつ見ても景色が変わる不思議な庭園にて、隅の方に腰掛けそんなやり取りを交わす僕ら。そして、眼前にてありありと不服を浮かべ問い掛けるのはリリアさん――ジャンくんと同じく二年A組のクラスメイトで、鮮やかな銀髪を纏う見目麗しい女子生徒だ。その美しさと言ったら思わず息を呑むほどで、クラスや学年のならず、校内にて絶大な人気を博していて……うん、どうして僕といてくれるのかいつも不思議でなりません。
「――それにしても、リリアさんは今日も凄かったね。誰も出来なかった上級魔法を、一人だけ見事に成功させて」
「……別に、大したことでは……」
ともあれ、昼食を取りつつそう口にする。すると、少し目を逸らし呟くリリアさん。心做しか、雪のように白いその頰がほんのり染まっている気がして。
ともあれ、リリアさんは容姿のみならず魔法力も桁外れ――それこそ、学年どころか上級生を含めた全校生徒の中でも指折り……いや、トップと断言しても差し支えないと思う。きっと、彼女のような人を才色兼……ううん、その表現でさえ彼女を形容するに足りないように思えて。……うん、ほんとになんで僕といてくれるんだろうね。