表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/31

嘗てないほどに――

「……あの時の、あのお言葉……あれは、そういう意味だったのですね」

「……うん。まあ、リリアさんならそれも含め心配ないと思ったんだけど……それでも、万が一にもって思ったら……ごめんね?」

「ふふっ、なんで謝るんですか」



 時は戻り、中庭のベンチにて。

 そう伝えると、言葉の通り申し訳なさそうに答えるロイ。ふふっ、なんで謝るんでしょうね。


 ともあれ、話を戻しますと――つまりは、ロイは自身と同じ思い……その莫大な魔力を制御できず、大切なご両親を殺してしまった自身と同じ思いを私にしてほしくなかったということで。


 ……まあ、彼自身言ったように、その点においては心配ご無用なのですけどね。一応、これでも神に仕えていた身――魔力の制御など、全く問題なく出来ますし。尤も、流石にそれを彼に言うほど無神経ではないつもりですけど。



 さて、些かくどくなるかもしれませんが、当時の私に彼の真意は分かりませんでした。いえ、身も蓋もなく申してしまえば、真意どころか少しも意味が分かりませんでした。……ですが、それでも――



『……あ、その……はい』



 あの日、彼の言葉に茫然と呟いた私。意味は分からずとも、それでも分かったのは――彼が、心から私を心配してくれていたこと。妬み嫉みはあれど、誰からも心配などされなかった私を心の底から心配してくれていたことが、この上もないほどに真摯なその表情からひしひしと伝わって。


 ですが、そんなことは何でもない――少なくとも、私にとっては取るに足らないはずのこと。なのに……そんな何でもないことに、どうしてか嘗てないほどに胸が熱くなっている自分がいて。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ