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それなら、どうして――

『――そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私はリリア、一年C組に所属しています』

『あ、はい! えっと、僕はロイといいます。その、一年B組に所属しています……』

『ふふっ、別に敬語でなくて構いませんよ? 尤も、私は敬語こちらの方が話しやすいのでそうしますが』

『……あ、えっと……うん、分かった』



 それから、数分経て。

 昇降口へと向かう最中さなか、廊下にてそんなやり取りを交わす私達。まあ、さっきは自己紹介どころではなかったですしね。



『さて、改めてではありますが先ほどはありがとうございます、ロイくん。お陰で助かりました』

『あっ、ううんそんな……その、僕は結局、何もしてないし。あの時言った先生っていうのも、ただの口からでまかせだし……』


 そう、改めて謝意を告げる。まあ、ほぼ初対面の相手ゆえ話題に困ったからというのもありますが、実際に感謝していのも事実で――


『……それに、余計なことかとも思った。僕の推測ではあるけど……あのくらいの状況、リリアさんならきっとどうとでも出来ると思ったから。リリアさんほどの魔力があれば、どうとでも』

『…………そう、でしたか』


 すると、思いも寄らない言葉が届き茫然とする私。私なら、どうとでも出来る――その部分だけであれば、さほど驚くことではありません。自分で言うのもなんですが、私が優秀であることは既に校内にて周囲となっているようなので。それこそ、恐らくは上級生であろう先ほどの彼女らが知っていたくらいので、同級生である彼がまるで知らない方がむしろ不自然かもしれませんし。


 ですが……今、彼は魔力と言った。私ほどの魔力――確かに、そのようなことを言った。これは、誰にでも知りえることじゃありません。と言うのも――他人の魔力の感知は、その当人が相当な量の魔力を備えていなければ出来ないことなのです。なの、ですが……こう申しては申し訳ないのですが、彼からはまるで魔力を感じないのです。相当な量どころか、こんな経験は初めてなほどに一切の魔力が感じられないのです。



 ……ですが、それはひとまず措いておくことと致しましょう。正直のところ、気になる点はそれよりも――



『……ですが、ロイくん。それなら、どうして私を助けてくださったのでしょう?』


 そう、首を傾げ尋ねてみる。私自身で造作もなく対処できると分かっていながら、どうしてわざわざ助けにきてくれたのでしょう? それも、足が震えるくらいには怖がっていたはずなのに。……ひょっとして、私に格好良いところを見せようと……うん、だとしたら悪い気はしませ――



『……うん、それはね……きっと、リリアさんに僕みたいな思いをしてほしくないと思ったから、かな』









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