表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/31

ロイの決意

「……贖罪、ですか……?」


 すると、ふっと微笑み答えるロイ。一方、私はただ茫然として。そんな私に、彼は再び口を開いて――


「……実は、僕は昔、両親を殺したんだ。信じられないかもしれないけど……昔、僕にはそれくらいの魔力が備わっていて……」

「……そう、なのですね」 

「……でも、幸い……本当に幸い、両親は生き返った。神様の……学園長のお陰で、両親は生き返ったんだ」


 そう、仄かな笑みで話すロイ。……まあ、知ってるんですけどね。もちろん、既知そうとは言えませんが。


「……もちろん、こんなことで贖罪に――僕の殺人つみを贖えるなんて思っていない。二人の尊い生命いのちを奪ったこの僕が、こうして生きているだけでも罪深いことくらい分かってる……つもり」

「……そんな、こと……」


 ……ううん、そんなことない。貴方は、何も悪くない――そう、言ってあげたい。今すぐここで、ぎゅっと抱き締めて伝えてあげたい。そもそも、ご両親は生き返ったのでしょう? 例の代償と引き換えに、その尊い生命いのちを取り戻したのでしょう? 


 ……ですが、何の意味もない――いえ、どころかいっそう彼を苦しめてしまうだけなのでしょう。だって、彼は許しなんて求めていない。彼は――



「……だからね、リリアさん。せめて、この代償いたみは僕が背負わなればならない。生涯、その命果てるまで背負わなければならない。……それが、僕の義務だから。その義務を果たすことこそが、こうして僕が生きることを許してもらえる、唯一の理由だから」

「……ロイ」



 そう、ニコッと微笑み話すロイ。その莞爾とした笑顔の裏に、どれほどの痛みを抱えているのか……きっと、私の想像も及ばない。そんな彼に、私は――

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ