ロイの決意
「……贖罪、ですか……?」
すると、ふっと微笑み答えるロイ。一方、私はただ茫然として。そんな私に、彼は再び口を開いて――
「……実は、僕は昔、両親を殺したんだ。信じられないかもしれないけど……昔、僕にはそれくらいの魔力が備わっていて……」
「……そう、なのですね」
「……でも、幸い……本当に幸い、両親は生き返った。神様の……学園長のお陰で、両親は生き返ったんだ」
そう、仄かな笑みで話すロイ。……まあ、知ってるんですけどね。もちろん、既知とは言えませんが。
「……もちろん、こんなことで贖罪に――僕の殺人を贖えるなんて思っていない。二人の尊い生命を奪ったこの僕が、こうして生きているだけでも罪深いことくらい分かってる……つもり」
「……そんな、こと……」
……ううん、そんなことない。貴方は、何も悪くない――そう、言ってあげたい。今すぐここで、ぎゅっと抱き締めて伝えてあげたい。そもそも、ご両親は生き返ったのでしょう? 例の代償と引き換えに、その尊い生命を取り戻したのでしょう?
……ですが、何の意味もない――いえ、どころかいっそう彼を苦しめてしまうだけなのでしょう。だって、彼は許しなんて求めていない。彼は――
「……だからね、リリアさん。せめて、この代償は僕が背負わなればならない。生涯、その命果てるまで背負わなければならない。……それが、僕の義務だから。その義務を果たすことこそが、こうして僕が生きることを許してもらえる、唯一の理由だから」
「……ロイ」
そう、ニコッと微笑み話すロイ。その莞爾とした笑顔の裏に、どれほどの痛みを抱えているのか……きっと、私の想像も及ばない。そんな彼に、私は――