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……なのに、あまつさえ――
――さて、それはそれとして。
「……今更ではありますが、どうしてあのような願いを申し出たのですか? 折角、生来の魔力を取り戻せたというのに」
「……あ、あの、リリアさん?」
その日の昼休み。
中庭のベンチにて、ジトッと彼の目を見つめ問い掛ける私。そして、そんな私に戸惑った様子のロイ。……いや、まあ分かってますけども。彼を責める筋合いなど何もないのは分かってますけど……それでも、やはり納得は出来なくて。
だって……別に、救うだけで良かったでしょう? 被害に遭った方々を救うだけで、全く以て良かったでしょう? いえ、もっと言えば絶対に助けなければならない義務もない。彼自身の権利で願いを叶えてもらうのだから、言ってしまえば自身のためだけに行使しても何ら問題はない。……なのに、あまつさえ自身を犠牲にしてまで――
「……そうだね。強いて言うなら……それが、僕にとっての罪滅ぼし――贖罪のようなものだから」