……まあ、流石に今回は――
そう、彼の目をじっと見つめ尋ねる。基本おちゃらけた神様ですが、馬鹿ではありません。なので、今回の件に関しても何か重要な理由が――
「――今から七年も前の話じゃが……ロイは、自身の両親を殺してしまった」
「…………え?」
不意に語られる、衝撃の言葉。……まさか、あのロイが。誰に対しても優しい、さながら善を体現したようなあのロイが? でも、神様が嘘を言っているようには思えないですし……そもそも、こんな悪質な嘘を吐くとは思えな――
「――まあ、もちろんロイの意思ではないのじゃが。ただ、暴走する魔力を制御できなかっだけ――常人には及びもつかない、辺り一帯を壊滅させてしまうほどの甚大な魔力をな」
すると、常ならぬ表情で告げる神様。普段の剽軽なものとは想像も及ばない、甚く重々しい表情で。
そして、それは彼の表情を差し引いても十分に信憑性のあるもので。辺り一帯を壊滅させてしまうほどの……意図せず命を奪ってしまうほどの魔力なんて、俄には信じ難い。
……だけど、実際に感じてしまった。あの時、ロイが纏っていた魔力は、あの教室にいなかった私にすらひしひしと伝わって。それこそ、私の魔力すら霞んでしまうほどに。暴走しなかったのは、当時と違いある程度は制御できるようになったからでしょう。魔力の制御は、感情の成熟度合いが大いに関わってきますから。
……ですが、それでもあれほどの魔力……いつ何時、再び制御不能になってもおかしくはありませんが……まあ、流石に今回はそうなる前に神様がどうにかしてくださるでしょう。