桁違い
「…………それは、どういう……」
すると、僕の言葉に反応したのは先生でなくジャンくん。……まあ、仕方ないよね。どうしてか魔力が減っているとは気付いていても、よもや奪われてたなんて思いもしないだろうし。
……だけど、間違いない。ここに入ってしまったが最後、大幅に魔力を奪われる。どうやら、人によって多少なり個人差はあるようだけど――総じて、大半の魔力を奪われてしまうようで。
……そして、感覚で分かる。今、傍にいるジャンくんも、ついさっき――フランくんと廊下で話していた時とはまるで別人のように、その豊かな魔力がほとんど失くなっていることが。……そして、その原因こそが――
「――ハハッ、よく分かったわね坊や!」
すると、僕の問いに呵々として答えるロラ先生。自分で言っておいてなんだけど……正直、違っててほしかった。授業の時のような、生徒想いの優しい先生であってほしかった。だけど――
「さて、この際だしついでにあんたの魔力も貰っちゃおうかしら。尤も、落ちこぼれと評判らしいあんたから取れる魔力なんてないかもしれないけ…………えっ」
すると、愉悦に満ちた先ほどまでの笑顔が一転、突如真っ青になるロラ先生。そして、
「……なんで……なんで、私の魔力が失くなって……それに――」
そう、膝から崩れ落ちる。それから、僕をぎっと睨みつけ叫ぶ。さながら、最後の力を振り絞るように。
「……なんなのよ……なんなのよ、あんたのその桁違いの不気味な魔力は!」