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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第五章 ルキソミュフィア救援
90/100

第90話 大図書館の司書

 13番目の明かりを左右に確認できる線上に書架メンが並ぶと、それまで目の前には更に延々と続く青い光が並ぶ光景が続くものだと思っていたのだが、ピタリと光は無くなり、目の前には巨大な扉が立ちはだかっていた。

「え?マジすか?本当に入り口あったんすね・・・今までこの13か所分の距離以上の回廊を歩いてきたのに、全然ブチ当たらなかったじゃないですか?」

グレアラシルが驚愕しながら呟く。

 コレットも、後ろを振り返りながら、

「見てください後ろ、酒場からくぐった扉が見えますよ・・・・あの長い回廊が嘘の様です。」

言いながら、何か人を(あや)かす魔物にでも出くわしたような顔をしていた。

「でもこの扉、開くのかな?結構重そうな感じがするんだけど?」

巨大な扉を前にしてソフィアステイルが押そうとすると、

「あ、ちょっと待った!これも多分仕掛けだと思うんだよね、多分全員で一緒のタイミングで力をかけないと開かない気がするんだよ。」

セレスが寸での所で、ソフィアステイルを制止する。同様に扉に手をかけようとしていた面々も、慌てて手を引っ込めたのだった。

 セレスの言っていた通りに、6人は同時に扉に両の手をついた。

 そして、セレスの号令と共に全身全霊の力をかけて巨大な扉に力を籠める。

「せーーーの!!どりゃぁーーーーー!!」

 6人分の力が扉にかかると、巨大な扉は意外と簡単に、それも軽い感じで開いて行った。

「あ、わわわわ~~!」

 扉が意外とあっさり開いたので、余った力の反動で前につんのめったコレットとミカゲは、目の前に開かれた青い絨毯張りの床に倒れ込んでしまった。

「おやおや大丈夫かい?」

 後から続いてきたソフィアステイルが2人を起こそうとすると、その目の前にはとてつもなく広い、図書館の全容が目に飛び込んできた。



 天空図書館クエル・ストラスファ

 壁の名を冠する大陸のある青い星の上空に浮かぶ、巨大な天空要塞を改造して作られた世界最大の図書館である。

 かつては、神界の者しか利用できない門外不出の書物を所蔵していると(ささや)かれて来たのだが、実際は赤い月つまり魔界から直通の経路が開かれていたため、魔界で通路の存在を知っている者なら誰でも利用できていたと、ここまでの道中ソラ・ルデ・ビアスから他のメンバーには、図書館の現状を聞かされていた。

 床には全面青い空の様な深い青色の絨毯が敷き詰められていて、天井は中心部の部分がガラス張りになっていて、天空図書館の上空にある空を映し出している。

 セレス達の上空には今、赤い月が覆いかぶさっていた。

「いやぁ・・・・話に聞くのと実際に見るのとでは、全然想像を超えてますね・・・」

 グレアラシルが、語彙力の低下した言葉を呟いた。

 それを聞いたソラ・ルデ・ビアスは、

「拙者も最初来た時は驚きを隠せなかったが、な~に!欲しい本が見つかって譲って欲しいの交渉で何度も何度も通ったりしたお陰か、今じゃすっかり見慣れたただの広い図書館って認識になってしまったがね!」

と、別段周囲の皆が知らなくても良かったと思われる事をツラツラと喋り出したが、普段ならこのタイミングでセレスかソフィアステイルの渇が入りそうなのだが、皆は天空図書館の図書館たるべき書棚の数や、凝った内装の造形のすばらしさに目を奪われていて、それ所では無い状態だった。

 とりわけコレットは、天空図書館が浮かんでいる中空の座標がかつての神界のあった位置に近いと言う事もあって、天井から見える光景の方に注目して居る様だった。

「何だか、すぐ神界に行けそうな気がします。」

そう呟くと、コレットの背後から今まで聞いたことが無い声が聞こえた。

「それはもう、叶わぬ事なんじゃがのぅ・・・・」

 コレットが振り返ると、大きな魔道杖を持った小さな背丈で、銀色の髪と狼の耳を持った老人が立っていた。

 老人はコレットの左側に立つと、

「神族を見るのも久しいのぅ~」

と言いながら、コレットをしげしげと見つめる。

 コレットは、

「あ、でもつい最近まで色々と忘れてまして、今でも微妙に思い出せてない所もあるので、完全には神族に戻っていないと思います。」

 これまでの経緯を簡単に説明しながら、老人の頭に突き出た犬の様な耳に視線が釘付けになっていた。

「ふぉふぉふぉふぉ・・・お前さん、銀狼族を見るのは初めてかの?」

視線に気付いていた老人が、笑顔でコレットに尋ねる。

「は、はい!初めてです!今まで、他にも獣人は見たことがあった筈なのに、何故か物凄く興味と言うか感心が高まっているのを感じます。」

 コレットは、今の自分の素直な感想を老人に伝えた。

 銀狼族のお爺さん?はて?どこかでその人の事を聞いたような・・・・と、コレットはこれまでの記憶を探ると、つい最近聞いたあの話を思い出した。

「図書館の司書の方は銀狼族。」

言いながら、老人の顔をジっと見つめた。

「そうじゃの、ワシがこの図書館の司書のクエル・ストラスファじゃ。お前さんたちはソラ・ルデ・ビアスの弟子か何かかのぅ?」

 クエル・ストラスファと名乗った老人は、コレットにその素性を尋ねるのだった。

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