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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第一章 ライカンスロープとの決戦
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第6話 英雄の武器

 足元の魔法陣が青白い光を中空に放出し始めた頃、旧王都の遺跡群の片隅から、何かの獣の咆哮が聞こえ始めた。

 どうやら追手の輩がセレス達3人を認識した事による、喜びの雄叫びの様だった。

 それにしても一体、追手はコレットを捕まえた後に何をしようと考えているのか?その点だけが今の所不明だが、一戦交えてヤツを倒した暁に、その理由を聞きだしてやろう?と言うのが今回のセレスの作戦の様だった。

「さて、始めますか!」

 セレスは、持参した鞄の中から銀色の球体を取り出しミカゲに渡す。

ミカゲは両手のひらでそれを包み込み、自身の魔力を最大限に注ぎ込んだ。

「セレス、触媒が完成したよ。」

 そう言ってさっきの球体をセレスに渡す。球体は銀色だった筈なのに、セレスの手に渡る時には緑色に輝いていた。

「ほ~~ん、今回は緑になったんだね、風属性のの武器を捕まえられそうだ。」

 意味深気な言葉をつぶやくセレスを見ていると、不意にセレスがコレットに手を差し出した。

「コレット、アタシの掌の上にあるこの金属に、コレットの魔力を注いで欲しいんだ。」

「え!私の魔力ですか?」

 微々たる普通の水魔法の魔力ですが~と言おうとした言葉が出なかった。

言ったら自分が惨めになりそうな感情が込み上げてきた事を悟られない様に、コレットはセレスの掌の上にある白っぽい見た目の金属の上に手を置き、自らの魔力を注ぎ込んだ。

「お!イイね~!ここん所では一番流れの良い感じの魔力だよ!」

 セレスが嬉しそうにコレットの魔力を褒めた。

「この、白い金属はこれから作る魔道具の依代さ。さっきミカゲが魔力を込めたのが触媒。普段はこの二つだけでも作れるんだが、実はアタシとミカゲ2人分の魔力では魔道具の中に流れる魔力があんまり安定しないんだよね。しかし今回はコレットがいるからな!今までよりも良い武器が作れると思うんだよ!」

 セレスは、これから生み出す魔道具が今まで以上に良い代物になる事を予感していた。

 そして、コレットとミカゲの魔力が注がれた触媒と依代を両の手に持ち、それを押し付けて一つにくっ付けようとして行く。

「これから何が始まるんですか?」

 コレットはミカゲに尋ねると、

「まぁ、見ててのお楽しみさね!」

ミカゲはそう言いながら、セレスの術の発動を見守った。

 傍らでの2人の会話は既にセレスの耳に届いては来ず、手の指先で今!融合しようとしている2つの金属に意識を集中していた。

 二つの金属に注がれた異なる属性の魔力に更に、セレスの魔力をこの時に注ぎ込み、三つの魔力の融合する独自の金属に成長して行く。


『ソレニウス・フェドキナ』


 (いにしえ)の、魔道の呪文をセレスが唱えると、セレスの手の中にあった二つの金属が融合した玉は、槍の様な形状をに形を取り始めた。

 混沌の闇から、何処かの世界の英雄が使った槍の魂を引きずり出し、槍の形を取り始めているその金属の中に、古の槍の魂を込めていく。

すると槍の魂がこの金属に宿り、かつての本来の槍の姿を取るのだった。

「凄い・・・・今までこんな魔法、見た事がありません・・・一体どんな仕組みになっているの?」

「確かウチの書架のどっかの本棚に、この魔法の事を説明してる本があったのを、あちし見た事があるよ!」

 ミカゲがニコニコしながら話すので、多分本当にこの魔法について解説している本があるのだろうと、コレットは確信した。

「是非!今度書架にお伺いした時に読ませていただきます!!」

 コレットはかなり興奮した様子でミカゲに畳みかけた。

 当のミカゲは、コレットのその言葉に返答をするのかと思いきや、急にセレスの術の方向とは違う方向に振り向き、

「来たよ!ヤツが、今は人間の姿をしてるみたい。筋肉質で身長が高い系の人!」

と言いながら、今居る場所から西の方向に指をさす。

 すると、その方向から近づいてくる怪しい影が見えて来た。

 セレスは?と言うと、まだ槍の形を取った金属に魔力の吸収をさせながらその形を確固たるものにする工程をしており、ミカゲの敵襲の位置の把握にまで至っていない様子だった。

 セレスは、底の見えない武器の魔力の吸収力に耐えながら、古の武器を完成に近づけていく。

 何とか想定していた形状に槍が成長したのを見届けると、

「ちょっと想定していたよりも早く来てしまったか!なら、仕方がない。そろそろコイツを仕上げてしまうかね!」

ようやく魔力の供給を止め、仕上げの詠唱に入った。


(いにしえ)より来たれ槍の王、我が名はセレスフィル・アズワルド・トトアトエ・テルニア・・・

我に従え、我と共に戦え・・・・グングニル!!』


 詠唱が終わると同時に、セレスの手の上にあった槍から(まばゆ)い光が放たれ、周囲を白く染めた。

そしてその光が収まると、先程の弱々しい槍の姿が力強い伝説の武器に変貌していた。


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