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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第三章 世界樹の守護者
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第31話 権限の委譲

 セレスを乗せたミカゲは、神殿の遺跡の地から飛翔して、ほんの20分と言った時間でもう世界樹の上空まで来ていた。

 やはり、巨大な竜の飛翔力は竜タクの非ではなく、歩いて3日はかかる距離は徒歩でちょっと散歩する程度の時間しか要する事は無かった。

「速いねー、流石。何て言うか、速過ぎて驚きを隠せないって今の心境の事を言うんだね。」

 のんきにセレスがミカゲの背の上で呟いたが、ミカゲにはあまり興味が無い様だった。

 ほどなくしてミカゲは、世界樹のたもとに到着して着陸した。

 着陸の時に翼で地面をはたいたので、周辺に土煙の様なホコリが舞った。

「ゲフンゲフン!!ちょっとミカゲ、しばらく竜になってなかった所為か着地が下手になってるぞ!」

セレスが咳きこみながらミカゲに文句を言う。

 ミカゲは、

「仕方が無いんだち、この辺は広い所が少ないから、微妙にズレると近くの建物壊れてしまうんだち。」

と言ってクレモストナカの街の建物を指さす。

 そう、この世界樹のたもとには、根っこの間際までクレモストナカの建物が立ち並んでいて、ミカゲ級の大きさの飛翔体が着陸するのには非常に不向きな土地になっていたのだ。

「ああ!もう!!ちょっと目を離すとこんな間際まで建物建ててぇ~~!!この間来た時にあの位置までしか建物は建てるな!って指導したのに!!」

 セレスは、ミカゲの着地が変な状態だった原因になっている建物の違法建築に怒りを表した。

 色々、母さんとか叔母さんとか見つけたら、今度はこの街を改造してやらないと!とセレスは心に誓った。



「さて、始めるか!」

 セレスは、世界樹の幹のある一部分に向かうと、腰に括りつけてある鞄から何やら小さな鍵の様なモノを取り出して、よく見ないと分からない様な鍵穴に差し込んだ。

 そして、またしてもバッグの中から持参した小さな本を見ながら、呪文の様な言葉を唱えた。


 『イール・イシュテール・ラトナール・クレルケトナ・スレルニール・アルカント・アルルカラント』


 どうもこの言葉は、今の時代では失われてしまった古代の言葉の様で、流石のセレスも全く何を意味しているのか分からない言葉だったので、こうして世界樹で何かをする時はこの本を見ながら呪文を言わないと、まったくサッパリ何も出来なかったりしていた。

 鍵を差し込んで呪文を言うと、世界樹の幹の一部が光り、小さな小窓の様なものが現れた。

 小窓には、まるで世界樹が何かの機械の様な物体として扱える様にするための、コントロールパネルが付いていた。

 パネルには、小さな文字が刻まれたボタンの様なものが並び、その上部に何かが映し出される板状のモノが付いている。

 セレスは、呪文の書いてあった本をまためくり、今度は本に記載されている呪文をパネルに付いている小さなボタンを押して入力していった。

 この操作で、ミカゲを一時的に守護者にする事が出来る様になるらしかった。

「1を押した後4を押し、7を2回押したら空白を3回~っと。」

 件の本は、どうやらこの世界樹の取扱説明書と言った感じのモノで、今セレスが操作しているのは古代人が世界樹と意思疎通を図るために設置した当時の文明の利器の様だ。

 魔界にも似た様な機械が発達している地域もあるので、この世界樹に組みこまれている何かしらのシステムが分かるかも知れない~と、セレスは何度か研究員に話しかけてみたりもしたのだが、今まで誰一人、世界樹に興味を示してくれなかった。

 どーにも、コチラの世界の事にあまり興味を示さない人が多いので、一度誰か研究員の人を将来的に誰かしら連れて来てやろうと、セレスはモヤモヤと考えていた。

 説明を見ながら文字のボタンを押して行くうちに、ミカゲへの一時的な守護者としての権限の委譲が構築されて行った。

 出来れば、ミカゲには悪いが長期的に守護者を代わってもらいたい気分だけど、でもその為の操作は真なる守護者である母にしか出来ない事をセレスは呪った。

 ミカゲに守護者としての権限が委譲されていられる期間は一週間。

 この期間の間に、この蒼壁の大陸を始めとする他の大陸やら~の世界中のどこかに居るであろう母を探すには、どうしても隣国『アルメイレ』に居る『深淵のエルフ』と呼ばれる叔母の『慟哭の門』と呼ばれる特異な能力を借りなければ、たった一週間で母を見つけ出すのは不可能だった。

 完全に、当の本人に会えなくても、『慟哭の門』をくぐって出た先のどこかの場所とどこかの時間に居る母に、一言「早く帰って来い」と言う伝言を伝えるだけでも良い・・・・と考えていた。

 考え事をしながらも、ミカゲへの守護者の権限委譲の作業が終わった。

 終わった瞬間、ちょっとだけセレスの身体に電撃が走るような感覚を感じたが、それ以外は特に何ら変わったことは起きなかった。

 これで、晴れてセレスは、150年振りに自由の身となった。

「よし!これで今からミカゲはしばらくの間、このメルヴィレッジの世界樹の守護者だ!何かちょっと偉くなった様な不思議な気分になったりならなかったりするけど、特に力が強くなったりする事も無いから別段気にならないと思う。」

 セレスは、守護者の体質などが特に変化もしない事を伝えた。

 その言葉にミカゲは、

「何だー!それは残念だち!世界樹の守護者になっている間、あちしはもう少しパワーアップした竜になれるのかと思ってたち。」

と、少々残念がった。

 そんなミカゲを横目で見ながらセレスは、


「じゃ、アタシ行ってくるから。ミカゲはそうだな~、もう書架の方に帰っていいよ。権限を委譲しておいたけど母さんが帰って来てまた再契約の操作すれば、勝手にミカゲの権限が外れて行くと思うからさ。」

 セレスはそう言って、ミカゲの鼻先をポンポンと叩いた。

「あ、あと、鱗一枚貰ってってイイかな?何かあった時にまた武器錬成する時の依代にするからさ。」

「鱗1枚位、イイんだち。ちょうど前足の所の鱗が生え変わりで取れそうだから、コレを持ってくんだち!」

 セレスは、あの武器錬成の魔法で使う依代の材料としてミカゲの鱗を貰うと、『アルメイレ』の方に向かって歩き出した。

 この、世界樹の街クレモストナカから普通の人が徒歩で『アルメイレ』に向かうには、徒歩で2日半はかかるが、セレスはクレモストナカの街の中に、もっと早く『アルメイレ』に着ける人物に心当たりがあったので、その場場所に向かった。

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