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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第二章 ソラ・ルデ・ビアスの書架について
20/100

第20話 トトアトエ・テルニアの

「ぅわ!痛ぁ!ってててて!・・・・歳かな~・・・・」

 言いながら肩をさするセレスに、ミカゲが何やら奥の戸棚の方から薬箱を持ってくる。

 そして、中から湿布の様なモノを取り出した。

「ほいセレス、肩出すんだち。今の痛い方左肩だち。昔ソルフゲイルと戦闘した時粉砕した方の肩だち。魔法でやられたから後遺症が残ってるんだお?」

そう言って、謎の湿布を貼った。

「この湿布は、神聖魔法がてんこ盛りにかかってる、めちゃくちゃお高いお値段で売ってる湿布なんだち。作ってるのはセレスだからセレスが使うと自給自足だけど。この書架の看板商品の一つなんだち。」

 ミカゲは、さりげなく書架の売り物を宣伝しながらセレスの古傷に湿布を貼って行く。

 3枚位貼った所でセレスが、

「そんなに貼ったら赤字だ~~!!」

と、叫んだのでミカゲは貼るのを止めて、

「本当は5枚は貼らないと治りが遅いけど、まぁ、ケチのセレスが言うんだから仕方が無いんだち。」

言いながら薬箱を閉じてまた戸棚の方に行った。

 その状況を固唾を飲んで見ていた二人は、やっと胸をなでおろした。

「何かセレスさん、昔の戦争でも色々やってたっぽかったですけど、やっぱり結構な負傷をされていたんですね。」

 コレットが心配そうに言いながらでも、やっぱりねと言う諦めの混じった言葉を投げかけた。

 コレットとは会ってからまだ一昼夜しか経っていない筈なのに、もう何年も前からの知り合いの様な感覚になっている事にセレスは少々不思議に感じたが、この時はとりあえず気にしないで置くことにした。

「まぁね、やっぱり敵となって攻めて来た輩とは戦わないと筋が通らないと言うか。あの頃はアタシも若かったから、新しく作った魔法とかを試したくてね、結構先頭に立って軍を率いたりしていたんだよ。でもまぁ結局敗戦の将になってしまった訳だけど。」

 セレスは痛い左肩をさすりながら、昔の戦の苦々しい思い出を語った。

「と言う感じで、昔トトアトエとソルフゲイルが戦争して、色々あってその因縁でこの書架はソルフゲイルから目を付けられている~!そんな感じ!はい!この話終わり!!」

と、一気に話を終わらせた。


「話が終わった所でキリが良いので言いますが、俺この後住んでた部屋に戻って荷物取って来てイイですかね?」

 グレアラシルが右手を小さめに挙手して言ってくる。

 何だかんだで「婿?」になる様な流れに乗って行く事になった様なので、出来ればこの書架の余ってる部屋にでも住もうかな?と言う考えに、グレアラシルは至った様だった。

「ああ、良いよ。と言うか、本当にこの書架に住む気なんだな。まぁイイけど。ただ今は余ってる部屋は無いので~後で作っておくよ。ちょっと空間を歪曲して作るから最初は部屋の空間の状態が安定しないかもだけど、それでイイよな?」

 何か、サラりと凄い事を言った様な?とグレアラシルは思ったが、まずは取り急ぎこの書架に住めるだけでも有難いと思っていた。

 そのやりとりを見ていたコレットも、

「そうですね、私は家に戻らないと・・・両親がきっと心配してます。それに、もしかしたら私に何か変な罪名がかけられていて、両親に迷惑が掛かっているかも知れません・・・・。」

と、帰宅の意思を伝えたが、帰宅しにくい状況になっている可能性を思い出して意気消沈していた。

「そうだな~、その可能性はあるな。」

 セレスは顎を右手に乗せながら何かを考え始めた。

 そして不意に立ち上がり、さっきミカゲが薬箱を取りに行った戸棚の方に何かを取りに向かった。

 コレットは頭をかしげながら、一体何を取りに行ったのだろう?と考えてみるが、多分何かの書類か何かなんだろうな?と言う想像までしかつかなかった。

 セレスが戻ってくると、事務方の作業をする人位しか使わない大きめの印章とスタンプ台、それと何やら仰々しい文章の書かれた書面を持ってテーブルの上に置いた。

 ミカゲがそそくさとティーカップやら皿をどかした上に書類を置き、共に持って来ていたペンで何やらサラサラと一筆書いていく。

 その内容は、


『現トトアトエ・テルニア国王が命ずる。この者コレットの処遇は国王であるセレスフィル・アズワルド・レティ・トトアトエに一任すべし』

と、なっていた。


「え?国王??」

 コレットは、書面の文面を見て驚いた。

 って、トトアトエ・テルニアはもう100年も前に滅んだ国で、今はメルヴィ・メルヴィレッジと言う国がその上に出来ていて、メルヴィレッジの国王も存在していて~・・・と頭の中がグルグルと、事実と現実と現状を把握しきれない状態になっている。

 グレアラシルも、書面の文面と印章とセレスの顔を確認して驚いていた。

「ああ~、言ってなかったか。実はトトアトエ・テルニアは歴史上では滅んだ国と言う事になっているけど実際はまだ健在でね。メルヴィ達がトトアトエが復興するまでは自分達が隠れ蓑になってトトアトエ・テルニアの存在を隠すって言ってくれてさ、それにアタシは賛同してこの国をメルヴィ達に任せたってワケ。」

 言いながら書類を完成させ、最後に国王の証である御名御璽(ぎょめいぎょじ)の印章を押す。

「これでヨシ!っと。あとは~この封筒に入れて~メルヴィレッジ行政府宛にして~、コレットの両親にはこの手紙を添えて~・・・・と。はい!完成!」

 セレスは、コレットとグレアラシルに生まれた、また新たな疑問には答える事はせずに自分の仕事を終わらせた。

 そして、書類をコレットに渡しながら、

「とりあえずミカゲを護衛に付けるから、両親に手紙を渡して来ると良いよ。」

と言った。

 コレットは首を何回も縦に振った。

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