第15話 朝食の光景
コレットがダイニングキッチンに辿り着くと、既にテーブルの上には料理が並べられており、セレスやミカゲやグレアラシルは、各自の席に着いていた。
コレットは、料理が並べられているけど誰も居ない座席に座る。目の前には美味しそうな朝ご飯が並んでいた。
「全員揃ったね。じゃあ、いただくとしようか!」
セレスが全員確認をした後、皆は食事の前の挨拶等々をそれぞれやり、料理を食べ始めた。
今朝のご飯は、自主的に調理を買って出たグレアラシル作で、主食は目玉焼きの乗ったトーストと、何も塗っていないトーストの2枚。
前にミカゲが仕込んでいたリンゴのジャムが添えられている。
他には、レタスと卵とリンゴのサラダに、ボイルしたソーセージが置かれていた。
メインディッシュは、これまたミカゲが先日肉屋で仕入れたコカトリスもどきの肉を、美味しいたれに付け込んで3日経った所を焼いた、ほぼトリのソテー出ていた。
「この肉、コカトリスもどきって言うただの鶏の肉だから、普通に美味しいお!」
とミカゲが説明しながら頬ばる。
コレットは「へ~~」と言いながらナイフで切って一口大にして、口に入れた。
「んんんんん~~~!これ!美味しいですね!!」
この声を聞いたミカゲは、エッヘン!と言う感じに胸を張る。
「本当、美味しいですよね~。俺が色々仕込もうかと思って貯蔵庫見に行ったら、氷の魔法がガンガン効いててしっかり保存されてて、かつ肉にしっかりした味が染み込んでて熟成度も良くて。俺なんてほぼ焼いただけですよ。」
と、ミカゲの下ごしらえの良さに感服していた。
飲み物は、グレアラシルが淹れたお茶とコーヒーだったが、コーヒーもお茶も元々この書架にあったもので特別なモノは何も追加していなかった筈なのに、いつも飲んでいるモノ以上に美味しいと、セレスとミカゲは感心ていた。
「本当に、お茶はかなり美味しいな。今まで飲んでいたお茶は一体何だったんだ?って位に。」
セレスが感心しながらお茶を飲んでいるとグレアラシルは、
「大したことはしてないんすよ。お茶は蒸らし時間を少し長めにしただけだし、コーヒーはちょっと豆が湿気ていたのでフライパンで少し炒ってから挽いて、それから作っている位なので、本当大した事は全然してないっすよ。」
と言って頭をかいた。
何だか、昔からこんな風に食事をしていたメンバーの様に感じられる、普通の日常の風景の様な朝の様だとセレスは感じていたが、まずは皆が少なからず疑問を抱いている事から解決していこうと口を開いた。
「あ、ああ~、お食事中の所悪いけど、まずコレットやミカゲが少し疑問に思っているであろう~アタシがグレを最初から知っていた件について話す。」
と、セレスが話し始めようとすると、
「あ!そーですそーです!私その事ずっと気になってたんですよ!でもあの時は、そんな詳細聞いている場合じゃないなって思って、聞けなかったんです。」
コレットは、喉の奥につっかえていた魚の小骨を落とすかの様に、その話題に食いついた。
ミカゲの方は朝ご飯に夢中で、目線だけセレスに向けた。
セレスは頷きながら、
「うんうん。まず、アタシらがこの書架の収入だけでは暮らして行けてないので、賞金稼ぎギルドに所属して、この国に居る省金首を探して見つけて捕らえる仕事をしているんだよ。で、ある日ギルドで、非常に凶悪な標的が設定されたと言うのでギルドに行ってみたら、そこにグレが居た訳。」
セレスは一息入れてお茶を一口飲んだ。
「そこまでは普通に、何かデカい男が居るな~で終わったんだけど、アタシの賞金稼ぎ仲間のメルヴィの子が「あの大きい人、今では数が少なくなったライカンスロープで、しかも本性の動物がすっごい面白い動物に変化するらしいよ!」って教えてくれてね。その時紙に~何かその動物の絵を描いて見せてくれたんだけど、その時はちょっと彼女の画力がイマイチではっきりと見てなかったんだけど、まぁ実際見て見たら大体合ってたな!って。」
そう言うと、くっくっくっと、抑え気味に笑った。
「まぁ、そう言う訳でアタシは、その時は別段グレと会話したりしてなかったんだけども、友達のお陰で色々知る事になった~ってな感じだ。」
と、話を締めくくった。
「へぇ~~そうだったんですねー。だからミカゲの獣の臭いと人間の臭いがするって言った時にすぐライカンスロープって言う判断が出来たんですね。ライカンスロープ自体が少ないなら、納得ですね。」
コレットは話を聞き終わるとすぐに、自分の記憶とすり合わせるかの様に自分の考えを口にした。
セレスは「そうそう」と言いながら、今度はサラダを頬張っていた。
その様子を見ながら、またコレットはセレスに問う。
「それともう一つなんですが、私もグレアラシルさんも嵌められたって言ってましたよね。あの誰かに嵌められたその嵌めた人物と、何故嵌めたのか?の理由が知りたいです!」
そう言ってコレットは、真剣な眼差しをセレスに向けた。
セレスは自分の分のサラダをたいらげると、コレットに語り始めた。