第一章 一話 冤罪かけられました。
「我が婚約者、アメリダ・シュリ・レグジュール令嬢を、今日を持って婚約破棄する!」
その一言で、会場内にどよめきが起きる。
そして一斉に、会場の中心に視線が注がれた。
「……………殿下。何故、私が婚約破棄をされないとならなくて?」
そう言葉を発するのは、このカリーヌ王国の第一王子であるフィル王子の婚約者、アメリダだ。
そして今はフィル王子の誕生日を祝うパーティーが行われていた。
(私、何かしてしまいましたっけ)
何も心当たりがないのに、婚約破棄とはどういうことだ。
「それと、殿下。その女性は?」
アメリダは、隣で怯えてるかのように控えている女性に目をやった。
「……お前は何処までも醜いのだな。今まで彼女に散々虐めて来たというのに知らないと?」
(………醜い?)
生まれて初めてそう言われ、言葉を失う。
(この容姿の、何処が醜いのかしら?)
海を映したような瞳、雪のような肌、月の如く美しい銀髪。
そして、真紅のドレスとダイヤがふんだんにあしらわれた髪飾りとネックレス。
どこをとってもアメリダは非の打ち所がない美貌のはずだ。
「何処が醜いのでしょう?この容姿が」
「醜いのは容姿ではない。お前の心だ。そうだな、お前の悪事をここで公にするか?」
そう言って、フィル王子は話し始める。
話が長かったので要約させてもらうと、
私がフィル王子の横にいる、ジュリのという女性に対し虐めをしているという。それも最初は悪意のある噂をながしたり、悪口を言ったり、物を隠すなどした陰湿な虐めで、最近は殺し屋を雇ってジュリを殺害しようとしたらしい。
(綺麗なほど、何一つ覚えがないわね)
というかアメリダはジュリと話したこともほぼない。
(何故ジュリ嬢がこんなでまかせを?)
そう思い、フィル王子の横に佇むジュリに視線をやる。
(…………あぁ、そういうことか)
ジュリは、笑っていた。
微笑んでいたのではない。欲望にまみれて歪んだ笑みがあった。
きっと、彼女がフィル王子の同情を引き、擦り寄ったのだろう。
(でもそれなら私の立場が悪いわね)
フィル王子は騙されやすく、それでいて正義感が強い。だから、ジュリの事を信じ切っているのだろう。
そして、ジュリは私のことを疎んでいる。
それは国母の座を狙っているからなのかは分からないが、きっとそうなのだろう。
(……正直、このまま国母の座を譲って、のんびり過ごしたいな。権力もフィル王子もどうでもいいし)
考え巡らせていると、フィル王子が冷静に言い放った。
「…………………お前の処分は明日決まる。さっき話したことは全て肯定したとみなしていいのか?」
「まさか。私はそのようなことは一切しておりません。」
そう言うと、フィル王子の顔が一瞬辛そうに歪み、何か言いたげな顔をしたあと、ジュリ嬢をつれて退席していった。
(何なのだろう、あのお顔。泣きじゃくって縋り付いてでも欲しかったのかしら?)
少しの疑問が残ったが、アメリダもその後すぐに退席していった。




