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*** 44 驚愕 ***

 


「と、ところでリゾート天体で消費される食材は如何致しましょうか……」


「食材や半加工食品については全てミランダ恒星系を窓口にして集めたいと思っています。

 それに飢饉世界の救済のために食料の備蓄もしたいと考えていますので、そのためにも全ての神界認定世界に配置する恒星間転移装置が役に立つでしょうね」


((( ………… )))


「あ、ミランダを中心に食材を集めますので、調理用ドローンもミランダ製のものの方がいいですかね」


「あの、実はミランダは農業主体の恒星系の指導的立場にいるのと同時に、広範な農業系恒星系の食材を利用した美食でも知られた恒星系でありまして。

 ですからミランダの食材をお使いになられるのでしたら、調理用ドローンもミランダの物をお使いになられた方がよろしいのではないかと……」


「ご指摘ありがとうございます。

 明後日にはミランダを訪問する予定になっていますので、その時にまた相談してみます」


「は、はい」


「そうそう、救済用食料を備蓄するために、倉庫衛星の建設もお願いします。

 倉庫内には時間停止装置や運搬用ドローンも配置してください」


「あの、如何ほどの食料を備蓄されるおつもりでしょうか……」


「特に制限は考えていません。

 ですが最低でも100億人の1万年分ほどは蓄えたいですね。

 最終目標は今のところ100万年分です」


「「「 !!!!!! 」」」


「そうした直径100キロクラスの倉庫衛星の価格は如何ほどですか?

 時間停止装置や恒星間転移装置や短距離移動用の核融合エンジン付きで」


「あ、あの、10億クレジットほどになるかと……」


「それではとりあえずそうした倉庫衛星を1000基お願いします。

 最終的には100万基ほどの発注になるでしょう」


((( ………… )))


「それから実は超新星爆発の被害を受ける恒星系の救済を計画していましてね。

 超大型の神力転移結界装置を建造しようと思っているんです」


「そ、それはどれほどの大きさをご計画されていらっしゃるのでしょうか……」


「展開出来る結界の大きさが直径2万キロクラスの転移結界装置を50基と、5万キロクラスを20基ですね」


「「「 !!! 」」」


「そ、それはどのように作動させるのでしょうか……」


「爆発を起こした超新星と生命居住惑星の間に設置して、飛来するガンマ線を全て重層次元に転移させてしまおうと考えています。

 ですからその装置には恒星間転移装置も設置することになりますね」


((( ………… )))


「と、ということは、例え50光年以内で超新星爆発が発生したとしても、恒星間移住や避難の必要が無くなると仰るのですか!」


「ええ、それだけでなく、神界未認定世界やまだ知的生命体の存在しない生物世界も救ってやれると思いまして」


「「「 !!!! 」」」


「その装置は神界救済部門で自作しようと計画しているんですが、特許料の支払いなどの必要はございますでしょうか?」


「い、いえ、転移結界装置そのものは既に60億年も昔に開発された物ですので、特許権はとうの昔に消滅しておりますが……」


「それでは我々が作っても問題無いですね」


「は、はい……」


「それでは宇宙空間での作業が可能な建設用ドローンを1万体ほど購入させてください。

 あと、念のために通常型の転移結界装置の設計図もお願いします」


「畏まりました……」


「そうしたわたくしの神域内の環境のために、出力可変型の人工太陽を10基ほど購入させてください」


「は、はい……」


「加えて神域内の時間の流れを60倍にするための時間加速装置も購入させてください。

 確か3.500次元空間で神界天地創造部門が使用している時間加速装置も、銀河宇宙で製造されたものですよね。

 同様な装置で構いませんのでお願いいたしますが、神域の大きさは直径1光時ほどの球形になる予定です」


「か、畏まりました……」


「また、そうした神道具を稼働させる神石はもちろん私共が製作する予定なのですが、その前段階として大量の魔石が必要になります。

 そこでラムスクープ型の魔素収集装置を搭載した惑星間航宙船も10基ほどお願いします」


「はい……」


「そうそう、現在神界認定世界から150光年以内にあって、今後5万年以内に超新星爆発を起こす可能性のある天体は全て監視下にあるのですよね」


「ええ、すでに銀河連盟の手で観測衛星が配備されています」


「それで、その観測態勢を、今後10万年以内に超新星爆発の被害に遭う可能性のある全ての生命居住惑星をカバーするものに拡大したいと思っているんですよ。

 そうした際に、新たな観測衛星はどのぐらい必要になりますでしょうか」


「あ、あの……

 天体1つにつき、最低でも3基の観測衛星が必要になりますので、概算では3000基ほどになると思われるのですが、念のため確認させて頂けますでしょうか」


「お願いします。

 もしわかりましたら私共の秘書AIにご連絡を頂けますでしょうか。

 その際には設置する必要のある恒星系の座標もお願いします。

 それで必要になる観測衛星も発注させて頂きますので」


「は、はい」


「そうした超大型転移結界装置を配備する予定ではありますが、万が一のこともあります。

 ですから認定世界の居住民の方々に一時近傍重層次元に避難して頂くための人工天体も作って頂きたいのです。

 そうですね、直径は1000キロ、収容可能人数は100億人で、避難期間は最低でも30日、もちろん惑星表面から住民を収容するための自走式短距離転移装置も100万基ほど搭載しておいてください。


 あ、短期避難ではありますけど、居住性も良好なものをお願いします。

 階層式の人工惑星で構いませんが、各階層の高度は500メートルほどで人工太陽照明完備、天井部分はバーチャルで青空や星空も映し出せるようにしてください。

 居住棟は高層建築でも構いませんが、出来れば100階建まで、建蔽率は20%以内、レクリエーション施設もお願いします。

 この人工惑星は50基でお願いしますね」


「か、かかか、畏まりました……」



「それからですね」


((( ま、まだあるのか…… )))

((( いったい総額いくらのご注文になるというのだ…… )))


「例えば50億の人口を持つ惑星があったとして、重層次元からヒューマノイドを探知してその脳にナノマシンを送り込んで行動のコントロールを試みるとします。

 その際にどれほどの数のナノマシンが必要になるでしょうか」


「あの……

 認定世界では、行動コントロール用のナノマシンの人体挿入は、神界により固く禁じられているのですが……」


「いえいえ、使用するのは未認定世界のみになります。

 それも目的は犯罪行為の発見と懲役刑などの処罰のためのものになりますので、神界の許可も既に頂戴しています」


「それでしたら、1人当たり1000個ほどのナノマシンで十分でしょう。

 もちろんナノマシンからの情報を精査したり行動制御の命令を発信するミニAIも必要になりますが」


「それで人口50億の世界で全員の脳にナノマシンを配備するコストは如何ほどになりますか?」


「あの……

 概算ですが5000億クレジット(≒50兆円)ほどになるかと……」


「けっこう安いですね」


「「「 !!!!! 」」」


「な、何分にもナノマシン技術はもはや50億年以上もの歴史を持つ枯れ切った技術ですし、使用する資源も極めて少なくて済みますので……」


「それではとりあえず惑星1000万個分のナノマシンと関連機器を発注させて頂きたいと思います」


「「「 !!!!!! 」」」


「ゆくゆくは計9000万の未認定世界全域に配布するマシンを発注することになると思いますので、そのつもりでいてください」


「「「 !!!!!!! 」」」


「そうそう、ちょっと確認させてください。

 この銀河宇宙では資源がやや不足気味と聞いたのですが本当ですか?」


「は、はい。

 文明と呼べるものが始まって105億年、銀河連盟が発足してからも102億年が経過しております。

 それで恒星系内の主な資源はもう採掘し尽くしておりまして、資源不足もかなり深刻になって来ました」


「他の恒星系には採掘には行っていないのですか?

 たとえば近隣の生命非居住恒星系とか」


「銀河の星々の多くは中心のバルジ部分に偏在しています。

 そのために初期文明はこのバルジ部分から始まって周辺部に拡散して行きました。

 ですのでバルジ部分では文明の密度が高く、近隣の生命非居住恒星系資源もかなり採掘が進んでいるのです。

 それで外周部に採掘に出向く必要が出て来ているのですが、なにしろ遠距離恒星間航行は時間もコストもかかります。

 その分が資源価格に上乗せされて高額になって来ているのですよ」


「確か一般の銀河宇宙には3.200次元までの重層次元航行しか許されていないのでしたよね。

 もっと深い重層次元を利用すれば、少なくとも時間は短縮出来るのではないのですか?」


「重層次元を航行するには莫大なエネルギーが必要になります。

 3.100次元空間内で3次元空間では1光年に相当する距離を航行するには、3次元時間では1年かかりますし、3.200次元を航行しても3か月かかります。

 ですが3.200次元の航行は3.100次元に比べて8倍の魔石エネルギーが必要になってしまいます。

 仮に3.500次元空間の航行が許されたとしても、そのためには3.100次元航行に比べて4096倍ものエネルギーが必要になります。

 もし3.500次元を通って100光年先の星系で資源開発などしたら、自らの恒星系内で採掘した場合に比べてその資源価格は100倍から500倍になってしまうでしょう。

 ですので遠隔恒星系での資源採掘は困難なのですよ」


「やはりそうでしたか……

 それでは今までの注文が一段落したら、3.500次元の深重層次元を航行可能な恒星船を3000万隻ほど発注させて頂くことになるでしょう。

 そうですね、積載量10万トンクラスでいいですかね」


「「「 !!!!!!!! 」」」


「あ、あのあのあの!

 我々銀河世界は、3.200次元を超える重層次元の利用は神界により禁止されています!」


「申し遅れました。

 その深重層次元恒星船は、航法AIも含めて全て神界所属といたします。

 それでしたら神界の許可も下りるでしょう。

 そうして、認定世界3000万には1隻ずつ貸与してあげればいいですね。

 一応貸与の対価は頂くつもりですが、格安にしてあげましょうか」


「「「 !!!!!!!!! 」」」


「航法AIも全て神界所属と致しますので、悪用は不可能でしょう」


「あの……

 認定世界3000万の内、鉱業生産力のある恒星系は1000万ほどしかございません。

 残りの2000万は主に農業を主体とする恒星系でありまして、3000万隻もの恒星船は必要無いのではないでしょうか……」


「うーん、それでは神界が鉱業生産を重視する形で不公平になってしまうんですよ。

 ですから農業恒星系では、神界が貸与する深重層次元航行恒星船を別の目的で使用しても構いません。

 例えば他の恒星系への観光旅行とか、もしくは資源開発活動の盛んな恒星系への再レンタルとか」


「「「 !!! 」」」


「それでレンタルフィーが稼げれば、比較的恒星系所得の少ない農業恒星系も喜ぶのではないでしょうか。


((( ………… )))





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