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*** 39 セミ・リゾート人工天体 ***

 


「あにょ、新たに雇った天使見習(みにゃら)いたちにはまずにゃにをしてもらいますか?」


「まずは総合レベルを上げてもらいたいと思っているんだ。

 特に魔法力だな。

 彼らの訓練の一環として魔石に魔力を充填して貰い、その魔力を使って俺が神石を作っていこうと思う。

 もちろんヒト族系の天使見習いたちに無理をさせるつもりは無いが、それでも魔力枯渇寸前まで魔石への魔力充填を行っていれば、少しは魔法レベルも上がっていくだろう」


「神界救済部門の本部はどこにしますかにゃ」


「当面はこの鍛錬空間だろうが、俺の神域に本部も作ろう。

 神域はどうやって作るんだ?」


「神界土木部門に依頼することににゃります。

 エリザベートさまから依頼してもらえば話は早いでしょう」


「そうか、それじゃあそうしよう」


「それから、新たに雇う天使見習みにゃらいたちの居住スペースはどうしましょうか」


「そうだなぁ、オーク族と同じように住宅を買って街でも作るか……」



『あの、タケルさま、発言よろしいでしょうか……』


「もちろんだよマリアーヌ、このミーティングで発言したり考えたりすることも君の任務の1つだ」


『ありがとうございます。

 それで、タケルさまの優先順位はどのようなものになりましょうか』


「最優先は超新星爆発対策だな。

 まずはそれに備えて十分な数の超大型転移結界装置を建造したいと思う。

 そうすれば認定世界の移住や避難といった労力が大幅に軽減されるし、未認定世界や知的生命体のいない世界の生命も救ってやれるし。

 そのためには努力もカネも惜しむつもりは無い。

 タケルーさん、構いませんよね」


『もちろん構わんぞ。

 それに、あのカネは俺のカネというよりは、ムシャラフやミランダが俺の生まれ変わりのために用意したもんだ。

 つまりお前のカネでもあるんだよ。

 だから好きに使えや』


「ありがとうございます。

 もちろん無駄遣いをする気は無いが、最優先は銀河の命だ。

 そのためになるべく早く救済態勢を整えたいと思う」


『それでは早く神石を用意するために、人員も早急に集める必要があるということですね』


「そうだ」


『タケルさまは最終的に救済部門の人員を何人まで増やされるおつもりですか?』


「当初は10万人だけどな、そのうちに未認定世界の紛争世界も救済してやりたいから、最終的には100万人でもいいと思っている」


「「「 !!! 」」」


『それでは新たに雇う人員の居住スペースとしては、恒星系ルオルンを中心とする工業系グループから居住用天体を購入されたら如何でしょうか。

 ルオルンにはショールームとして、直径100キロ級の人工セミ・リゾート天体がございます」


「おー、そんなもんもあるのか。

 セミ・リゾートって言うからには居住環境も整っているのか?」


『はい、その天体は30ほどの階層を持ち、中規模の湖や河川もあります。

 また、居住棟としてコテージ、戸建て住宅、集合住宅などを持ち、飲食店街、劇場、コンサートホール、各種スポーツ施設、学校施設なども付随しておりまして、最高収容人数は100万人とされています』


「その人工天体を俺の神域に持って来て、救済部門の職員の居住区にするのか」


『それが最も簡単かと』


「それいくらぐらいするんだ?」


『1500億クレジット(≒15兆円)でございます』


「「「 !!! 」」」


「なんでそんなに安いんだ?」


「「「 !!!!!! 」」」


『単なる構造物でして、姿勢制御用エンジン以外には自走機能も重層次元転移機能もついていませんので』


「そうか。

 それなら家族を連れて働きに来て貰うことも出来るな」


『はい』


「あ、でもそれさ、ショールームっていうことは、全ての家に家具やら魔道具やらが整っているわけじゃないよな。

 それを全て揃えたら合計でいくらになるかな」


『おおよそ2000億クレジットほどかと』


「それから飲食店街その他の従業員はどうする?」


『専門のドローンを10万体ほどご購入されればよろしいでしょう。

 これもルオルンとその系列恒星系で販売しております』


「それはいくら?」


『1体12万クレジットほどですので、10万体で120億クレジットです』


「それじゃあそれも買おうか」


((( ………… )))


「飲食店街で使う食料品はどうしようか」


『それもルオルンの系列恒星系で用意させられますが、輸送が問題ですね。

 出来ればその恒星系とこの3.5次元空間に恒星間神力転移装置を設置したいところですが』


「あ、それさ、食料はミランダ恒星系から買ってもいいよな」


『もちろんです』


「それじゃあまずミランダと俺の神域を結ぶ直径15メートルほどの恒星間転移装置を発注しようか。

 入り口には検疫所も設置しよう。

 そのための神石は15センチ級ぐらいでいいのか?」


『はい』


「ミランダに発注する食料は、取り敢えず10万人の1年分として1億80万食か。

 あー時間の流れを60倍にするから、3次元時間では1年分で約60億食だな。

 それって、半加工食品を購入することも出来るよな」


『もちろんです』


「そうか、それなら調理ドローンが店で提供するにも時間はかからないだろう。

 そうそう、転移部門の人員の食費は全て俺が持つことにしようか」


「「「 !!! 」」」


「よ、よろしいんですかにゃ……」


「まあ職員福利厚生の一環だ」



『ところでタケルさま、実はわたくしエリザベートさまから『上級魔法使用許可』を頂戴しておりまして、わたくしも魔石作成のお手伝いが出来るかと思われます。

 もちろん攻撃魔法は一切許されていないのですが』


「おー、それ便利だなぁ。

 あ、マリアーヌにも魔法レベルってあるのか?」


『魔法レベルは『上級魔法使用許可』を頂戴した時点で必要設備も購入していただいたために、現在300になっています』


「そうか、単に許可と設備投資の問題なんだな」


『はい』


「因みにE階梯は?」


『公式には『測定不能』とされています』


「それどういうこと?」


『我々AIはそもそもヒューマノイドと敵対することも攻撃することもありませんし、妬みや嫌悪といった負の感情もありませんので』


「そうか、『測定不能』というよりは、『測定出来ないぐらい高い』っていうことなんだな」


『そうかもしれません……』



「ところで魔石の作成に何か必要な物はあるのか?」


『特には無いのですが、わたくしが24時間体制で魔石を作り始めると、周辺空間の魔素がすぐに枯渇してしまうと思われます。

 そこで、銀河宇宙空間で魔素を集めるために、ラムスクープ型の魔素収集装置を搭載した惑星間宇宙船を準備して頂けませんでしょうか』


「何隻ぐらいいるんだ?」


『そうですねぇ、当初は10隻でいかがでしょう』


「その航行についてはマリアーヌがコントロール出来るのか?」


『実際には全ての宇宙船には航法用の初級AIが搭載されていますので、彼らに命じてコントロール出来ます』


「それじゃあそうしようか。

 これで魔石や神石の用意が捗るな。

 だったら超新星爆発対策の大型転移結界装置も発注しておこう」


『あの、その装置に関しましても、わたくしがお造りいたしましょうか』


「そんなことも出来るのか……」


『はい、まずは通常の転移結界装置の設計図とその製造権限を購入して頂いて、さらに宇宙空間作業用ドローンを1万体ほどと資源もご用意いただければ、わたくしが監督して製造可能です』


「うーん、俺なるべくならそういう製品は銀河宇宙に発注してやろうかと思ってたんだ。

 俺の資金って元々は銀河宇宙が用意してくれたものだしな。

 それにやっぱりそういう機器の製造は銀河宇宙の方が慣れているんじゃないか?」


『まず2万キロや5万キロもの転移結界を展開させる装置の製造は、銀河宇宙の如何なる工業系世界でも経験が無いと思われます。

 それに銀河世界へタケルさまは非常に多くの製品を発注されるでしょうから、最優先で建造する大型転移結界発生装置はわたくしが手掛けた方がよろしいかと思いました』


「それもそうか。

 それじゃあ転移結界装置の製造はマリアーヌにお願いするよ」


『畏まりました』


「ところで宇宙空間作業用ドローンっていくらぐらいするものなんだ?」


『各種作業用オプションパーツ込みで1体1200万(≒12億円)クレジットほどです』


「さすがに宇宙空間用だとそれなりの値段がするんだな」


『作業内容も多岐に渡るため、自律型学習機能の付いたミニAIもついていますので』


「わかった、それじゃあそれを1万体ほど買おうか。

 他に作りたいものが出来た時にも使えるだろう」


『はい』


((( ………… )))



「そうそう、たとえば直径2万キロクラスの転移結界を作れる装置って、装置そのものの大きさはどうなるんだ」


『概算では直径2000キロほどの構造物になります』


「なるほど、だいたい結界直径の10分の1っていうことか」


『そうなります』


「ということは、俺の神域もけっこう大きなものにしておいた方がよさそうだな」


『仰る通りです。

 半径10光分ほどの大きさで如何でしょうか』


「地球の軌道半径の2割増しほどか。

 でもそれだと、3.000次元空間からG3型主系列恒星を持って来た時に作業スペースが足りなくならないか?」


『いえ、実際の太陽は大きすぎて神界土木部といえども転移は無理です。

 ですので人工太陽の使用を推奨させていただきます』


「でもこの空間にも太陽があるぞ?」


『あれも人工太陽ですので』


「そうだったのか……」


『それに、もしも小型の太陽を持って来られたとしても、直径5000キロもの構造物を作る際には、近傍に大きな重力場が無いことが求められます。

 建造中に重力場の潮汐力のせいで破壊されてしまいますので。

 人工太陽の質量であれば、ほとんど重力場は発生しないでしょう』


「なるほど。

 あ、でも人工太陽でも農業って出来るんだよな。

 オークたちは普通に畑で作物を作ってるけど」


『現在の銀河技術であれば、完全に農業にも適した人工太陽が作れます。

 そもそもこの天地創造空間にある惑星のテラフォーミングでも、人工太陽で植物を育てていますので』


「そうだったんだ。

 よくもまあ恒星みたいなデカいもんを3次元空間から持って来たなって思ってたんだけど、あれは人工太陽だったんだな」


『はい。

 それから、もし今の畑の存続がご希望ならば、タケルさまの神域とこの場所を転移装置で繋がれたらいかがかと』


「それじゃあそうしようか。

 あいつらも今の畑に愛着があるだろうからな」





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