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*** 36 救済事業企画書 ***

 


「だけど俺の計画っていろいろと神界の承認が必要になりそうだよな。

 10万人採用計画とか巨大な転移結界発生装置の製造依頼とか」


『そんなもんエリザに頼めば一発で通るぞ』


「まあそれはそうなんでしょうけど……

 でも、超新星爆発が起きてから、そうした結界装置を被害予想惑星との間に配置するには、神界転移部門にたいへんな負担をかけますよね」


『いや、奴らには頼らねぇ方がいいな。

 なんせ転移部門の長は原理派神の重鎮だしよ。

 だから全部お前ぇがやった方がいいぞ』


「なるほど、それじゃあそうしましょうか。

 あ、そういう巨大な転移結界装置って、銀河宇宙に発注したらいくらぐらいかかるのかな?」


「そ、それは今度ジョセさまの神域に戻った際に、銀河宇宙の工業系惑星に連絡して見積もりを出してもらいますにゃ。

 にゃにしろそんな装置は誰も作ったことがにゃいでしょうし」


「それにその転移結界装置だけど、銀河宇宙内を飛び回るために、恒星間転移能力も必要だな。

 それに加えて位置制御のための大型スラスターも大量に要るだろう。

 なにしろ恒星も惑星もかなりの速度で動いてるからな

 そうした装置付きの見積もりも出して貰おう」


((( ……またもやあんぐり…… )))


「そ、それ、かにゃりの金額ににゃるのはもちろん、建造にも相当な期間が必要ににゃるかと……」


「そんなもん、俺の神域もこの空間と同じように時の流れを60倍にしてもらえばいいだろ?」


「「「 !!!! 」」」


「そうすれば例え建造に10年かかるとしても、3次元空間では60日だな」


「「「 !!!!! 」」」


「ところでそうした超大型転移結界装置っていくつ用意したらいいかな?」


「あにょ……

 恒星や白色矮星が超新星爆発を起こしたとして、ガンマ線が150光年先まで届くにょに150年かかりますにゃ。

 ですから予備も含めて5基もあれば十分にゃにょでは……」


「いや、爆発を起こした天体から異なった方向の等距離にも被害恒星系があるかもしれないだろ。

 それに念のために知的生命居住惑星には3重ぐらいに転移結界を張ってやりたいからな。

 だから予備も含めて直径2万キロクラスを50基、5万キロクラスを20基用意しようか」


「「「 !!!!!! 」」」


「あ、でも万が一のことを考えたら、少なくとも神界認定世界の恒星系住民は重層次元に避難させておいた方がいいか。

 転移結界装置が故障したりしたら、住民が絶滅しちゃうからな。

 認定世界の恒星系人口って平均どれぐらいなんだ?」


「お、おおよそ82億人ですにゃ」


「ということは3000万認定世界で約25京人か。

 そう言えば9000万ある未認定世界の知的生命体人口はそれぐらいなんだ?」


「約2京7000兆人と言われております」


「ん?

 ということは、惑星当り約3億人しかいないのか。

 なんでそんなに少ないんだ?」


「農業生産性が低いことと平均寿命が短い上に疾病などでの死亡率が高いからなのでしょう。

 ヒト族世界では紛争死も多いですし」


「あーそうか、日本でも室町時代には人口は今の10分の1以下だったって言われてるしな。

 それに『人生50年』だったし。

 そうか、認定世界と未認定世界ではそれほどまでの差があるのか」


「はい……」


「まあ、超新星爆発被害は超大型転移結界装置で防ぐとして、念のため認定世界のために避難用人工天体も建造しておこうか。

 100億人を30日間ほど避難させられるように。

 もちろん惑星表面と人工天体は100万基ほどの短距離転移装置で繋げられるようにして、天体そのものが近傍重層次元への転移出来る装置も搭載されてるやつ。

 そうだな、この短期避難用人工天体は50基もあればいいだろう」


((( ………… )))


『わははははー、それにしてもタケルよ!

 よくそんなこと思いつくよな!』


「いやまあ人の努力と銀河技術とカネさえあったら大抵のことは出来ますよね」


『まあそれもそうだけどよ。

 ところでお前ぇ、まだアイデアあんだろ。

 例えば氷河期を迎えた世界の救済はどうするんだ?』


「そうですねぇ。

 例えば3.001次元とかの近傍重層次元に赤外線源を作って、その赤外線を小さな転移装置を使って氷河期世界に送り込んだら如何でしょうか」


「「「 !!! 」」」


「認定世界なら衛星軌道から赤外線を照射してやればいいでしょうし、未認定世界ならその惑星と太陽を隔てた反対側から赤外線を照射するとか。

 そうすれば重力レンズ効果でそれなりに収束した赤外線を送り届けてやれるでしょうし」


「「「 !!!! 」」」


『その赤外線源や転移装置はどうするんだ?』


「それも銀河宇宙に発注して作ってもらいましょうか」


『地軸が傾いて海水面が急低下した世界や急上昇を始めた世界は?』


「海面が急上昇している世界では、海の深い所の海水を転移装置で重層次元倉庫に持ってくればいいと思います。

 そこで真水を抽出しておけば他の世界でも使えるでしょう」


『なるほどな、それで海水面が低下して苦しんでいる世界には、その水を海に転移させてやるわけか』


「ええ、それに旱魃で苦しんでいる未認定世界には、真水倉庫と微小な転移装置を多数繋げてその世界に撒いてやれればいいと思います。

 真水の出口にステルス機能を持たせておけば未認定世界の住民も気がつかないでしょうから」


『わはははは、ほんっとよく考えてるなぁ!』


「あにょ……

 すでに飢饉状態ににゃっている未認定世界は……」


「そうだな、まずは惑星住民全員の脳と胃の中にナノマシンかピコマシンを配備しようか。

 重層次元空間からマシンを転移させればそれほどたいへんじゃあないだろうし。

 そのあとに惑星全域10万か所ぐらいに小さな神殿を造ってそこに食料を転移させよう。

『神さまからの援助物資』とか札も立てて」


「そ、それでは現地政府や軍人や反社会的勢力がその食料を独り占めするかと……」


「そのときは、マシンに命じて兵士や役人や反社たちに10日間ほど裸踊りを踊ってもらおうか」


「「「 !!!! 」」」


「胃の中のナノマシンをマーカーにして、必要最低限の水と食料を転移させてやれば死なないだろうしな」


『わはははは―――っ!』



「そのためにも食料を大量に備蓄しておく必要があるな。

 だが農業惑星からいちいち恒星船で食料を集めるのも大変だ。

 だから農業惑星と俺の神域を繋ぐ転移網も用意した方がいいな。

 その際に禁止薬物や武器やウイルスや病原菌を排除することって出来るかな」


「あにょ、ドローン検疫所を経由させるのならば可能ですにゃ……」


「それじゃあそうしよう。

 農業惑星から農産物を買い付ける際には、現地平均価格の1割増しにしようか。

 それならみんな農産物を増産してくれるだろうから、けっこうな量の食料備蓄が出来るし農業世界も喜ぶだろう。

 その備蓄食料は時間停止倉庫を作ってもらってそこにしまっておこうか」


『お前ぇの発想力ってマジすげぇな……

 てぇしたもんだわ……』


「えー、この程度のこと誰でも思いつきますって。

 難しいのは実行することですよ」


((( ………… )))


「それじゃあ救済企画書を作ってエリザベートさまに提出しよう。

 その際にはおおまかな予算も書いておいた方がいいな。

 なあニャサブロー、ジョセさまの神域に戻って、銀河宇宙の工業系恒星系に見積もりを出してもらうときには、ムシャラフ恒星系に工業製品発注窓口を作ってあるからそこを使ってくれ」


「はい……」


「でもそうか、それって結構時間がかかっちゃうよな。

 お前がジョセさまの神域に行って見積もりを頼むのにも何日かかかるだろうし、その間この空間では何か月も経っちゃうからなぁ」


「あ、あにょ、それでは秘書AIを雇われたら如何でしょうかにゃ」


「ん? なんだそれ?」


「文字通りタケルさまの秘書となるAIですにゃ。

 中級神さま以上の方々は、ほとんどが秘書AIをお持ちです。

 AIの本体は重層次元内に置きますが、そのインターフェースは常にタケルさまの近傍空間や脳内に置いておくことが出来ますにゃ。

 そうすれば、銀河宇宙に工業製品の見積もりを依頼するときにも、AIが代行してくれますので便利ですにゃよ。

 相手先のAIと直接通信をすれば時間はほとんどかかりませんし」


「それ楽そうだな!

 でもそいつ、ここで俺の指示を受けたことを銀河宇宙で実行するんだろ。

 時間の流れが60倍も違うけど大丈夫なのか?」


「彼らの思考速度はそもそもヒューマノイドの数億倍ですにょで問題はにゃいかと」


「はは、それもそうだな。

 それじゃあその秘書AIを探してみようか」


『なあタケル、それエリザに頼んでみたらどうだ?

 あいつ結構高性能な秘書AI使ってるからな」


「それなら今度伺ったときにでもお願いしてみましょうか。

 そのときにも簡単な企画書があった方がいいでしょうね……」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 というわけでエリザさまの神殿に伺った翌朝、救済事業企画書Ver1.0を提出して読んでもらったんだよ。

 もちろん俺の顔も体も既にキスマークだらけだし、キンタマはとうとうレベル10になっちまってたけど。



 ソファに座って俺に引っ付いたまま企画書を読んでいたエリザさまの顔がどんどん険しくなっていった。

 無意識に俺の体から手を放し、食い入るように企画書を読んでいる。

 たった2ページほどなのに、何度も読み返しているようだ。



 エリザさまが企画書をテーブルに置いて俺を見つめた。


 あー、すっげぇ神威だー。

 さすがは上級神会議の議長を務める重鎮上級神さまだー。

 格好はトーガの前をはだけてて、おっぱいも何もかも丸見えなんだけど。


 俺は必死で視線をおっぱいから引きはがしてエリザさまの顔を見た。

 エリザさまはふっと微笑んで俺の手を取り、おっぱいに当てる。


「そなたはな、いつなんどきでも妾の体に触れて良いのだぞ♡」


「あ、あああ、ありがとうございます!」


 ちらりと企画書を見たエリザさまが言った。


「それにしてもそなた本気かえ?」


「え、ええ本気です。

 タケルーさんやムシャラフ恒星系やミランダ恒星系のおかげで莫大な資金が手に入りました。

 銀河宇宙の多くの星々も、取引を通じてきっと助けてくれるでしょう。

 後は誠実で優秀なスタッフが大勢いれば、どんなことでも為せると思います」


「神界認定世界のみならず、未認定世界や未だ知的生命体が発生していない世界すらも救おうというのか……

 それも銀河知識や神界の御業をほとんど見せることなく……」


「はい」


 エリザさまが俺の膝の上に乗って来た。

 トーガは転移で飛ばされている。

 俺の服も飛ばされた。


「ふふ、タケルや。

 妾はますますそなたに惚れ直したぞ。

 おお! また発情してくれているではないか!」


「す、すいません!」


「何を謝ることがあろうか。

 聞けばヒト族は、番の絆を保つために雌が妊娠しているときですら交尾をすることがあるそうだの。

 妾の腹の子も安定期に入った。

 さあ、ぜひとも我ら番の絆も深めさせてくれ♡」



 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――っ!


 ぴろりろり~ん♪

 タケルのキンタマのレベルが1上がってレベル11になりました♪





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