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*** 31 オーク村 ***

 


 オーキーとオーキリーナの子は無事生まれた。


 まあ銀河宇宙最新鋭の医療機器が運び込まれていた上に、豚人族の助産師を5人も呼んでいたからな。

 それに豚人族は犬人族と並んでもっとも安産な種族って言われてるし。

 しかもイザとなったら、ニャジローが転移魔法で子供たちを外に転移させるっていう荒業も使えたそうだ。

 でもさすがのニャジローもそんなことした経験は無かったんで、分娩室の前でアブラ汗ダラダラになって緊張してたみたいだけど。


 生まれた子たちはさっそくリーナのおっぱいに吸い付いて、むにゅむにゅしながら夢中で母乳を飲んでたよ。

 周りでそれを見守ってた猫人のお嬢さんたちも、無意識に口をむにゅむにゅさせてたし。

 オーキーまでむにゅむにゅしてたのはちょっとキモかったけど。



 それにしても、オーク族も猫人族と同じで生まれてすぐは子ブタそのものなんだな。

 大きくなるにつれてヒト型に近くなっていくんだろう。


 ところで……

 もしこの子たちの名前をつけてくれとか言われたらどんな名前にするか……

 やっぱり男の子は『ぷー太郎』で女の子は『ぶー子』にするかな。

 なにしろ俺の好きなあのラノベの族長の子供たちの名前で、主人公と兄弟同然に育った子たちの名前だもんな。

 ぷー太郎は将来戦士長になるし、ぶー子は一族女衆代表になるし。


 そしたらさ、オーキーとオーキリーナが2人で相談して名前つけてたんだよ。

 それが男の子はフェルディナンドくんで、女の子がマリーアちゃんだったんだ……

 いい名前だって猫人のお嬢さんたちにも絶賛されてたんだけど……


 聞かれなくってよかったぁぁぁ―――っ!



「オーキー、子供が無事生まれておめでとう」


「ブヒ(ありがとうございます)」


「ところでさ、この子たちが大きくなったときに番の相手を見つけるためにも、これからオーク族を大勢創造して行こうと思うんだ」


「!」


「そうだな、1日にカップル2人ずつ創造して、最終的にはオーク族を300人ぐらいの集団にしようと思う」


「!!」


「俺の戦闘訓練の相手はお前だけでいいけど、でも男のオーク族はお前が鍛錬してやって少しレベルを上げてやってくれるか」


「ブヒッ!」


「それからもちろんオーク族の族長も頼むぞ。

 みんなと協力して畑ももっと広げないとな」


「ブヒブヒッ!」



 まあ近親交配の害が出ないためには、最初の遺伝子プールは最低でも300人は必要だって言うからな。

 もし俺が漠然と考えているような役割をこいつらが果たせるとしたら、もっと人数を増やしてもいいだろう。

 ああそうだ、念話能力だけじゃあなくって音声会話能力も付与しておくか……




 それからはまずニャルーンさん経由でムシャラフ恒星系に完成住宅を150戸ほど注文し、それが届くと3日に2組のペースで16歳ぐらいのオーク族たちを『創造』していったんだ。

 まあ3日のうち1日は俺が魔力枯渇で気絶しているからな。


 オークたちは2人ずつ創造されるとそのままカップルになっていくようだわ。

 レベルがある程度高いと病気や怪我にも強くなるから、全員のレベルは100にしてある。

 彼らはさっそく家を設置して一緒に暮らし始めていたよ。


 3か月もすると、俺の魔力もけっこう上がってたし『魔法生命体創造神法』にも慣れて来たから、日に2組4人とかも創造出来るようになったおかげで、オーク族300人が揃った。


 なんかみんな、村での暮らしが楽しいんで、消滅はせずにずっとここで暮らしていたいそうだ。

 食事も旨いそうで、日に1回は俺の魔力じゃあなくって普通の食事を食べさせている。

 それでみんなどんなものが好みかって思って、地球からもいろいろ持ち込んで試してもらったんだ。

 そしたらもちろんみんなお菓子とか果物とか喜んだんだけどさ、主食として全員が気に入ったのがなんと『配合飼料(養豚肥育用)』だったんだよ。

 特に昆布や鰹節やブイヨンで出汁取って醤油味とか味噌味で粥に炊いてやると、みんな大喜びでもりもり喰うんだわ。


 でも……

 飼料が入ってる袋を見て、これはなんて書いてあるんだって聞かれたんだわ。

 そのときには必死で胡麻化したけどな……



 たださぁ、日本ではこうした飼料はそんなにたくさん買えないんだ。

 もちろん日本国内では自給出来ないから、中身はアメリカなんかからの輸入に頼ってるんだけどな。

 その輸入も日本国内での販売価格も、農水族の政治家たちが勝手に法律作って全部官僚たちが仕切ってるんだ。

 まあ食用小麦なんかもおんなじだ。

 日本国産の小麦はキロ当たり安い物でも500円だけど、アメリカ産の小麦は35円だからな。

 だから勝手に輸入すると違法行為になるような法律作って、政府が一括輸入してそれを国内食品企業に高額で再販してるんだよ。

 これも国内農家保護のためとか言って。

 まあ日本国内に小麦農家が何人いるんだよって話だ。

 こうした差額は巡り巡って農水族の政治資金になったり、農水省の外郭団体の収入になって天下り役人の所得になってるんだけど。


 だからあんまりたくさん飼料を買ってると、農水省から査察が入ってどこの農家に卸してるのか調査されちゃうんだ。

 それで仕方ないから武者物産USAに頼んでアメリカで買ってもらって、アメリカ国内の専用倉庫から神界に転移させることにしたんだよ。



 その後のオーク族たちの生活も順調だった。

 日中は猫人さんたちに頼んでオークたちには読み書きや計算の勉強をさせ、その後は畑仕事をするか、男たちは交代でオーキーの体術訓練、女たちは猫人さんたちに料理を教わったりしているようだ。

 もちろん大きなぬた場も用意されていて、みんなできゃーきゃー言いながら泥だらけになって転がり廻ってるよ。


 そして、俺とオーキーが戦闘訓練を始めると、全員が集まって来て見てるんだ。


 オーキーのパンチが入って俺がぐらつくと、

『ブキィ――っ♪ ブキィ――っ♪ ブキィ――っ♪』


 俺のパンチが入ってオーキーがぐらつくと、

『ブ――! ブ――! ブ――!』


 はは、俺豚人さんたちにブーイングされてるよ……


 オークたちって、俺のことは神さまで創造主だって分かってるから、普段は尊崇というか崇拝してくれてるんだけどな。

 でも戦闘になると別らしくって、みんな自分たちの族長を応援するんだよ。


 ただ、オーキーは最近リーナが自分のことあんまり心配してくれなくなったんで、ちょっと寂しそうにしてるんだ。

 俺のパンチが入ってKOされたときにも、リーナをチラ見してるし。

 でもリーナが子供たちに授乳しててオーキーを見てもいないと、なで肩になってがっくりしてるんだ。

 オーキーよ、子供を生んだ女性はみんなそうなるらしいぞ……



 そのうちに猫人のお嬢さんたちが俺を応援してくれるようになったんだ。

 20人ぐらいで、ちょっと際どいチアリーダーみたいな格好して。

『にゃぁ~ん♡ にゃぁ~ん♡ にゃぁ~ん♡』とか叫びながらな

 しっぽがシンクロして揺れててけっこう可愛いんだこれが。


 戦闘訓練がなんかエンターテイメントになっちまってるわ。


 体重40キロぐらいのニャイチローが130キロのオーキーを圧倒してると、みんな口開けてびっくりしてるしな。



『なあタケルよ。

 エリザみたいなブリンブリンのバインバインもいいが、こういうピチピチの若い猫娘たちもいいな、むふふふふ』


「なに言ってるんですかタケルーさん、エリザさまにいいつけますよ」


『お、男同士の会話じゃねぇか! あいつには黙ってろよ!

 そんなこと言ったらまた尻尾で締め落とされちまうわ!

 あ、でもよ、俺が締められたらお前も苦しむんだな♪』


「げげっ!」




 それで俺、オークたちにはもっと娯楽もあった方がいいと思って、ゴール作ってボール持ち込んで、サッカーも教えてやったんだ。

 そしたらみんなすぐにハマってチーム作ってリーグ戦始めてたよ。

 それで試合が終わると、俺が持ち込んだビール飲んで、みんなでわいわい楽しんでるんだ。

 まあ妊娠し始めてた奥さん連中には気の毒だったけど、授乳が終わったらたっぷり飲ませてあげるって約束して。


 それ以外にもリバーシ持ち込んだり、猫人のお嬢さんたちが奥さんたちに編み物とか教えたり、みんなで歌を歌ったりしてたわ。


 こうやって共同体で暮らしてるうちに、オークたちも社会性を身に着けていくだろう。


 それでさ、特に若い男のオークたちって、魔石から俺の魔力を吸うと、どんどん体が大きく逞しくなっていくようなんだ。

 どうやら創造主である俺の魔力にはそういう効力もあるようだな。

 もちろんレベルも上がって、すぐに全員がレベル120以上になっていってたし。




 俺が地球に戻って学校に行って、帰って来たらオーク族の奥さん連中はみんなお腹が大きくなってたよ。

 それでみんな村の広場のベンチに座って、お腹さすりながら楽しそうにお茶会してるんだ。

 そのうちにみんなどんどん子供を生み始めて、今度はベンチで授乳してるしな。

 それを見ながら150人の男たちが口をむにゅむにゅしてるのには笑ったけど。


 そのうちに子供たちが(四つ足で)歩けるようになるともうタイヘンよ。

 考えてもみてくれ、広場を25センチぐらいの子豚たちが300頭ぐらい走り回ってるんだぜ。

 30分もするとみんな電池切れたみたいにその場で重なって寝ちゃってるし。


 でも豚ってむちゃくちゃ臭覚が発達してるからな。

 みんな子豚の匂い嗅いで、絶対に自分の子を間違えないんだよ。

 たまに自分の子を間違えたお父ちゃんがお母ちゃんに怒られてるけど、はは。

 それでまた子供たちを抱いて家に帰るんだ。


 なんか楽しそうに暮らしてくれててよかったわ……





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