*** 23 念話 ***
タケルは食後に『消化・吸収』の魔法を発動して胃を空にした。
「それじゃあ腹もこなれたから、また魔力枯渇するか」
「「「 ………… 」」」
ぷしゅ~
「うぎゃぁぁぁ―――っ!
い、痛い痛い痛い―――っ!
オロロロロロ―――っ!」
『痛ぇ痛ぇ痛ぇ―――っ!
オロロロロロ―――っ!』
・
・
・
今回タケルが意識を取り戻したのは2日と18時間後だった。
「ふうー、苦しさはほとんど変わってないか……
魔石はまたほんの少し灰色が濃くなってるけど。
それじゃあメシ喰ってから『消化・吸収』して、ニャイチローと軽く組手して体ほぐしてからまた魔力枯渇しよう」
『!!!』
「は、はいですにゃ……」
「よし、3回目の魔力枯渇だ」
『ま、マジかよ……』
ぷしゅ~
「うぎゃぁぁぁ―――っ!
い、痛い痛い痛い―――っ!
オロロロロロ―――っ!」
『痛ぇ痛ぇ痛ぇ―――っ!
オロロロロロ―――っ!』
・
・
・
「さーて、それじゃあ4回目の魔力枯渇行ってみようかー」
『お、お前マジで頭オカシイんじゃねぇかぁぁぁ―――っ!』
「タケルーさんも準備いいですかー。
それじゃあ魔力充填っ!」
『うぅぅぅぅ……』
ぷしゅ~
「うぎゃぁぁぁ―――っ!
い、痛い痛い痛い―――っ!
オロロロロロ―――っ!」
『痛ぇ痛ぇ痛ぇ―――っ!
オロロロロロ―――っ!』
・
・
・
「に、にゃあ、にゃんかタケルさまの悲鳴以外にも、念話でもう一人の悲鳴が聞こえるような気がするんにゃけど……」
「ボクもにゃ……」
「ま、まさかこれ、タケルーさまの悲鳴なんじゃ……」
「「 !!! 」」
「あ、あにょタケルーさまが悲鳴を上げるほどの苦痛っ!」
「「「 ………… 」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お、魔力枯渇10回繰り返したらMPが1上がったぜ!
409だったのが410になるのに1年かかってたから、この魔力枯渇ってやっぱ効率いいわー。
魔石もかなり黒くなって来てるし。
いい方法を教えて下さってありがとうございますタケルーさん♪」
『も、もう許して……』
「なに仰ってるんですかー。
あと490回繰り返したら『苦痛耐性』も『状態異常耐性』も生えて来ますって♪」
『うぅぅぅぅぅっ……
お、俺が魔力枯渇を500回繰り返してその2つの耐性を生やすのには500年かけてたんだぞ……
そ、それをお前は1年で為すつもりかぁっ!』
「あ、あにょ、タケルさま大丈夫ですかにゃ?」
「俺は大丈夫なんだけどさ、なんかタケルーさんがちょっとヘコタレてるんだよ」
『誰のせいだ誰の!』
「なんか5万3000年ぐらい前に枯渇鍛錬やってたときには、1回魔力枯渇させたら次の鍛錬までは1か月ぐらい間を空けてやってたんだって」
『あ、当たり前だ!
お前と違って俺には使徒としての任務もあったんだぞ!』
「それじゃあ任務の無いボクが連続して枯渇鍛錬やっても問題ないですよね♪」
『あうぅぅぅぅぅぅ―――っ!』
「あ、あにょタケルさま……」
「ん? どうしたニャジロー
「ぼ、ボクたち、にゃんとにゃくですが、タケルーさまが仰られてることが念話で伝わって分かるようににゃって来たんですにゃ」
「たぶんボクたちが進化したというよりは、タケルーさまの魂が今世に馴染まれてきたのかと」
「ですからこにょままいけば、タケルーさまがエリザベートさまとお話出来るようになるかもしれませんにゃ」
「そうか、それはエリザベートさまもお喜びになられるかもだな」
「はいですにゃ。
ですからボクたちにもタケルーさまとお話しする時間を作って頂けませんでしょうか」
『ニャジロー、ナイスアシスト!!』
「わかった、それじゃあその間、俺は枯渇手前まで魔石に魔力充填しておくよ。
そうすれば俺の魔臓も少しは強化されるだろうからな。
あ、そのときに俺のMPを早めに回復させる方法ってあるのかな?」
「それこそ今まで魔石に充填されて来た魔力を吸収されたら如何でしょうかにゃ」
「おお、それいいアイデアだな」
ぷしゅ。
「お、MPが残り10になったか、それじゃあ魔石から魔力を吸収してと」
ごくごく。
「タケルーさま、大丈夫ですかにゃ……」
『おうよ、なんとか生きてるわ……』
「ああ、本当にタケルーさまと会話出来ているんですにゃね……」
『はは、これけっこう便利だよな。
それにしてもこの鍛錬キチガイなんとかならんもんか?』
ぷしゅ。
ごくごく。
「あにょ、タケルーさまもご存じだとおもいますが、タケルさまは戦闘訓練でも銀河知識学習でも異様にご熱心で……」
『そうよな、たった4年で初等学校から銀河連盟大学まで卒業しちまうとはよ。
とんでもねぇ奴だよな』
ぷしゅ。
ごくごく。
『それに戦闘訓練でもシャドーコンビネーション2時間連続とか、どう考えてもマトモな奴じゃねぇよな』
ぷしゅ。
ごくごく。
『なんか魔力放出・吸収訓練もアホみたいに繰り返してるしよぉぉぉ―――っ!』
「え?
でもこれ繰り返すと魔臓が鍛えられるんでしょ?」
「は、はいですにゃ」
「ならいいや」
ぷしゅ。
ごくごく。
『なあ、こいつなんでここまで根性あるんだ?』
「ボクたちにもよくわかりませんにゃ……」
「え~、無いより有った方がいいじゃないですかぁ」
ぷしゅ。
ごくごく。
「あ、魔石がまた透明になっちゃった。
まだ9回しか充填・吸収してないのに」
「そ、それは効率のせいですにゃ。
充填した分の9割しか取り出せませんにょで」
「そういえばそうだったな。
それじゃあまたMPが枯渇するまでのフル充填を繰り返すか」
『!!!』
ぷしゅ~
「うぎゃぁぁぁ―――っ!
い、痛い痛い痛い―――っ!
オロロロロロ―――っ!」
『痛ぇ痛ぇ痛ぇ―――っ!
オロロロロロ―――っ!』
「ご気分はいかがですかにゃタケルさま……」
「いつものように最悪だよ。
今回は俺どのぐらい気絶してた?」
「2日半ほどですにゃ」
「そうか、少しは短くなって来たな」
「あにょ、そろそろジョセさまの神域に戻って、ニャルーンさまたちもタケルーさまのご記憶と念話が出来るか試されてみませんか?
それでもし意思疎通が出来るようでしたら、エリザベートさまにご報告を……」
「それじゃあそうするか」
『に、ニャジロー……
お前のアシストは忘れんぞ……』
「ニャルーンさま、というわけで、ボクたちもタケルーさまのご記憶と念話が出来るようになったようにゃんです」
「!!!!!」
『ようニャルーン、俺の声が聞こえるか?
もし聞こえるんならエリザに連絡してやってくれんか」
「に、にゃおぉぉ―――んっ!!」
(はは、またニャルーンさんが叫び声上げてるよ……)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺はまたすぐ神界のエリザさまの神殿に連れて行かれた。
「の、のう、ニャルーンやニャイチローたちがタケルーの記憶と念話出来るようになったというのは本当かえ……」
『あー、エリザ、聞こえるか?』
「!!!
こ、この声は…… ま、まさかタケルーか!」
『お、どうやら聞こえるようだな』
あーまたエリザさま涙ぼろぼろだよー。
「ま、まさかまたそなたとこうして話が出来るとは……」
『俺も嬉しいぜ。タケルの体を借りて交尾も出来るしな♪』
あー、またエリザさまマッパになって抱き着いて来たよ……
今は妊娠中で発情してないはずなのに……
まあよっぽど嬉しいんだろうな……
「タケルー! タケルー! タケルーっ!」
『うおぉぉ―――っ! エリザぁ―――っ!』
それからもさ、それからずっと2人でイチャイチャしてるんだわ。
もうエリザさま俺の顔とか首筋とかずっとぺろぺろしてるし。
ま、まあやっぱり猫の親愛表現なんだろうけど。
ん? あれ?
エリザさまの舌、子猫たちみたいにザリザリしてないぞ?
「はは、ようやく気付いたか。
猫人の舌はザラついていて、タケルーが痛がったのでな。
こうして毛づくろいしてやるときには、ヒト族のような柔らかい舌に変化してやっているのだ」
「そ、そうだったんですね……」
(やっぱりコレ、毛づくろいだったのね……
一応俺にも産毛はあるし……)
『それにしてもよエリザ。
このタケルは鍛錬キチガイでよ、なんとあの苦しい苦しい魔力枯渇訓練を10回も連続でやりやがったんだぜ!』
「そなたの感覚はタケルと繋がっておるのだろ、それはたいへんだったのう」
『おうよ!
あ、そうだ、久しぶりにアレやってくれんか。
そうすりゃあタケルも精気吸い取られて、少し鍛錬も大人しくなるかもだ!』
「ふふふ、そうすればタケルもヒト族の女に発情しなくなるかもだな」
あっ!
え、エリザさまぁっ!
な、なにをなさるのでしょうかぁぁぁ―――っ!
ああっ!
そ、そげなところをぺろぺろされてはいかんとですばいぃぃぃ―――っ!
そげんこつされたらオラの忍耐心が限界突破してぇぇぇ―――っ!
ど、どどど、どすこ―――いっ!
もはや言語野まで混乱しているタケルであった……
あ゛―――つ!
あ゛あ゛―――つ!!
あ゛あ゛あ゛―――つ!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛―――つ!!!!
ぴろりろり~ん♪
タケルのキンタマのレベルが1上がって3になりました♪




