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*** 20 番 ***

 


 タケルーさんがちょっと真面目な口調になった。


『それでよ。

 実は俺からもお前に頼みがあるんだわ』


(なんですか?

 私に出来る事ならなんなりと)


『お前今(つがい)の相手や婚約者はいるか?』


(もちろんいませんけど?)


『童貞か?』


(は、ははは、はい……)


『やっぱりそうか、そんなお前に頼むのは申し訳ねぇんだがな。

 あのエリザベートと番になって交尾してやってもらえねぇかな』


(!!!)


『俺よ、死ぬ前にあいつに転生したらまた番になってくれって言っちまったんだ。

 そしたらあいつ、いつまででも待ってるって大泣きしたんだわ。

 それでどうやらあいつ、この5万年間いつもフェロモン抑制剤を飲み続けてて、一度も発情してねぇんだ。

 俺みたいな奴に操を立ててやがったんだよ。

 それが不憫でな……』


(あの、タケルーさん、どうしてもっと早く言ってくれなかったんですか……)


『そりゃあまあ俺もこんなこと頼むのこっ恥ずかしいしよ。

 それにたぶん童貞だろうお前にこんなこと頼んでもいいもんかって悩んでたんだわ。

 お前の人格も性格もよくわかってなかったし。

 でもまあお前の言動を見てると、俺なんかより遥かにマシな奴だからな。

 こうやって思い切って頼んでみたわけだ』


(わかりました。

 5万年越しの愛を成就させたいんですね)


『おいおいおいおい!

 こっ恥ずかしいこと言うないっ!』


(それじゃあこんどエリザさまにも聞いてみます)


『あいつは間違いなく泣いて喜ぶと思うがなぁ』


(あ、そういえばタケルーさんはわたしの感覚とも繋がっているんでしょうか)


『おう、何故だかわからんが、お前の感覚は俺にも繋がってるわ。

 お前の体はまだヤワだから、あのニャイチローとかいう奴に殴られるとけっこう痛ぇな』


(す、すいません。

 でも、と言うことは、私がエリザさまと交尾すればタケルーさんも……)


『おうよ、もちろん気持ち良くなるだろうな♪』


(やはりそうでしたか……

 それからタケルーさんとこうしてお話出来るっていうことは、みんなに教えてもいいんでしょうか)


『ああ、仲間内だけだったら構わんぞ。

 銀河連盟大学だのマスコミだのにバレると煩くてしょうがないだろうからな』


(ははは)




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「なあニャイチロー、昨日タケルーさんの記憶さんに聞いてみたんだけどさ。

 昨日お前が言ってた、タケルーさんはエリザベートさまに教えて貰った神法で神力生命体を創造して戦ってたっていうことで合ってるってさ」


「!!!」


「それからニャジロー、やっぱりタケルーさんの記憶に聞いたら、MPがゼロになるまで魔法を使って鍛錬してたって言ってたよ」


「!!!!!」


「それで最初は胃の中のもの全部ぶちまけて、全身地獄の苦痛も味わったんだって。

 でもそれを根性で耐えて、500回ぐらいMP枯渇やってたら、『苦痛耐性』と『状態異常耐性』っていうスキルが生えて来て、それからは楽に魔法レベル上げが出来るようになったんだってさ。

 だから俺もチャレンジしてみようと思うんだ」


「「「 ………… 」」」


「どうしたニャイチロー、ニャジロー、ニャサブロー?」


「あ、あにょあにょあにょ……

 タケルさまはタケルーさまのご記憶とお話が出来るんですかにゃ!」


「ああ、やってみたら出来たんだ」


「そ、それはたいへんなことですにゃ!」

「初めて聞きましたにゃっ!」


「まあたぶんタケルーさんの魂がそれだけ強かったんだろうね。

 俺が知らないようなこともいっぱい知ってるし、あれはタケルーさんの記憶で間違いないと思うよ。

 あ、でもこれは仲間内以外内緒にしてくれってタケルーさんの記憶が言ってたわ」


「そ、そそそ、その仲間内にはエリザベートさまやニャルーンさまも含まれるのでしょうか!」


「もちろん」


「こ、こうしてはいられませんですにゃっ!」


「すぐにジョセさまの神域に戻ってニャルーンさまに報告を!」


「そしてニャルーンさま経由でエリザベートさまにもご報告をっ!」


「わ、わかった……」




「にゃおぉぉぉ―――ん!」


(はは、ニャルーンさんが叫び声を上げてるわ……)




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 それで俺、10分後にはもう神界のエリザベートさまの神殿にいたんだわ。

 俺の前にはエリザベートさまだけが座ってて、応接室は人払いされてて他には誰もいなかったよ。


「な、なあタケルや……

 そなた、タケルーの記憶と話が出来るというのは本当かえ?」


「はい、本当です」


「そ、それでな、そなたを疑うわけではないのだが、妾とタケルーしか知らないようなことを聞いてみてくれぬか……」


「はい」


(だそうですタケルーさん)


『おう。実はよ……』


「タケルーさんの記憶が仰ったことをそのままお伝えしますね。

『エリザは子供の頃、寝るときには母親のしっぽに自分のしっぽを絡ませて寝ると安心出来たそうだ。

 それで俺と交尾した後に疲れ果てて寝る時も、俺のちんちんに自分のしっぽを絡ませていたな』

 だそうです」


「あ、あう……

 そ、それではタケルーの最後の言葉は……」


「『やあエリザ、先に逝っちまってすまねぇ。

 だが転生したらまた俺と番になってくれねぇか?』だそうです」


「う、うわぁぁぁぁ―――ん!」


 そしたらさー、一瞬にして甘い匂いが広がったんだ。

 こ、これが発情フェロモンなんかな……

 それでエリザベートさまが大泣きしながらマッパになって、俺に抱き着いて来たんだよ。

 大人のキスってすげぇのな。

 それで俺も服を毟られちゃったんだ……


「あああーっ! タケルー! タケルー! タケルー!」

「あ゛あ゛―――つ」

『うおおお―――っ! エリザぁ―――!』



「ああああーっ! タケルー! タケルー! タケルー!」

「あ゛あ゛あ゛―――つ」

『うおおおお―――っ! エリザぁ―――!』



「あああああーっ! タケルー! タケルー! タケルー!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛―――つ」

『うおおおおおお―――っ! エリザぁ―――!』

 ・

 ・

 ・



 5万年ぶりの交尾はとんでもなく激しかったです……

 ボクは初めてでしたけど……

 翌朝鏡見たら、俺の顔が別人になってたですよ……

 頬はげっそりコケて目の周り真っ黒だったし……

 キンタマなんか萎んじゃって半分ぐらいの厚さになってたし……

 なんか平たくなってて真ん中窪んでて赤血球みたいな形になってたし……


 あ、体鍛えまくるとレベルが上がるよな!

 ま、まさか俺のキンタマも!


 ピロリロリ~ン♪

 タケルのキンタマのレベルが1上がってレベル2になりました♪


 マジかよっ! 

 ま、まさかレベルが上がると大きくなったりしないよな! 

 万が一レベル100とかになったら、直径が30センチぐらいになったりしないよなっ!

 ね、念のため後で大きさを計っておこう……



 それで朝食も取ってから、エリザさまと2人でソファに並んで座ったんだ。


「ふふ、タケルや、無事妊娠したぞ」


「えっ! そ、そんな一晩だけでっ!」


「はは、妾は猫人族だからな。

 猫人は年に数回しか発情しないが、発情したときに何も処置をせずに交尾すればほぼ必ず妊娠するのだ。

 どうやら我らの子は男女の双子であるようだぞ」


「!!!!!」


(父さんと母さんになんて言おう……

 2人がおじいちゃんとおばあちゃんになっちまうのかー)


「この子らが生まれるのは8か月ほど後になろう。

 それまでは残念ながら妾も発情することは無いのだがの、でも出来れば月に1度ほどはこの神殿に来て添い寝をして欲しいのだが……」


「は、はい」


『なあタケル、エリザに伝えてくれんか』


「あの、タケルーさんの記憶が『エリザ! やっぱりお前との交尾は最高だな!』と仰ってます」


「!!!

 そうか……」


 あー、エリザさま涙ぼろぼろ零して泣き始めちゃったよー。


「それにしても5万年越しの想いが叶ったか……

 こんなに嬉しいことは、5万2000年前に初めてタケルーと交尾したとき以来だの……」


「…………」


「そなたもありがとうなタケル……

 お礼になんでも言うことを聞いてやるぞ」


「そ、それでは恐縮ですが『神力生命体創造神法』を授けて頂けませんでしょうか。

 それともあれは神さまにしか許されていないものなんでしょうか……」


「何の問題もないの。

 その神法が欲しいということは、そなたがタケルーと同じようにさらに鍛錬を重ねて任務に使おうということなのだろう」


「はい」


「確かに神法は神にしか許されておらんと煩い奴もいるが、そんなものそなたを初級神にしてしまえばいいだけの話だ」


「えぇ―――っ!!」


「それにしても、いちいちひとつずつ神法を授けるのもたいへんだの。

 それでは妾が持つ神法スキルを全てそなたに授けてやろう」


「!!!!」


「とは言ってもな、神法スキルは全てマクロ化されておって、そのマクロが継承されておるに過ぎんのだ。

 単なるマクロ知識の継承であるからそなたの脳への直接転送も出来るしの。

 だがその行使には多大な神力と神力行使力が必要になる。

 故に妾など8割方の神法を使えんのだ」


「そ、そうなんですか?」


「あの神法マクロをすべて使いこなせる者は、ここ10億年ではタケルーだけであっただろう」


「!!!」


「なにしろ最低でもレベル100、ものによっては600もの神力レベルが必要になるからの」


「それだけ強力な能力なんですね……」


「実際の魔法には4種類ある。

 1つめは、レベルが低くてもほぼ誰でも使えるものであり、これは別名『一般魔法』とも呼ばれておる。

 まあ『念動』や『短距離転移』や『クリーン』などだな。


 2つめは『攻撃魔法』だ。

 これは魔法レベルによって使えるものと使えないものがある。

 まあ滅多に使われるものではないが。


 3つめが『神法』、別名『高度魔法』と呼ばれるものなのだ。

 この神法にはかなりの魔法力を必要とするものが多いために、無暗にこの『神法』を使おうとすれば自らの魔臓にかなりの負担がかかって場合によっては焼き切れてしまうだろう。

 5万年前のタケルーのようにな……」


「はい……」


「そして、この神法は、かなりの魔法レベルを必要とするだけでなく、その発動は神にしか許可されていないのだ。

 それだけ制約がかかったものなのだよ。


 そして4つ目めが、いわゆる『禁呪』と呼ばれる超高度魔法になる。

 これは行使の際に神界最高神政務庁の審査と許可が必要になろう」


(……………)



「だが安心しろ、『神力生命体創造神法』ならばレベル300以上なら使えるようだ」


「は、はい」


「ただまあ、当初はあの鍛錬空間内だけで使うようにな。

 あそこは妾の神域として登録されておるので問題は無いが、地球などで使用すると大問題になるからの。

 そのうちにそなたが神域を持つようになればそこでも構わんが。


 それから、『禁呪』指定のある神法は絶対に使わぬようにな。

 もし必要があれば、妾に相談するように。

 妾が最高神政務庁へ許可を願い出てやる」


「はい……

 わかりました」


「神への昇格は一応上級神の推薦に基づき、最高神さまの承認によって行われる形式になっておる。

 この推薦を最高神さまが拒否した例は無いがな。

 故に今からそなたへの神格付与願いを最高神政務庁に提出することとしよう。

 すぐに承認は降りるだろうから、それまでの間、そなたの鍛錬について聞かせてくれ」


「はい、ありがとうございます……」





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