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【書籍発売中】美形インフレ世界で化物令嬢と恋がしたい!  作者: 菊月ランララン


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予言者②



【Side:コンスタンツェ】



ネレウス王子が広げた大きな紙には、手順を示すように枝分かれした文言と似顔絵が大量に書き込まれ、一番上には候補の男子の名前というのが羅列されている。



1、アルフレド・タンタシオ

2、ユリウス・ウラドリーニ

3、ハイライン・ババール

4、ジークリート・スカルラット

5、アマデウス・ロッソ スカルラット



「…こんなに沢山の男子と親しくなれっていうの?無理よ、そんなに性悪でもないわ!」

「一気に付き合えとは言っていない。可能性の話だ。これらの誰かと親しくなって恋仲になれば封印に成功するという僕が視た未来の話だ」

「…もしもの話、ってこと?」

「そうだ。君、地頭は悪くない筈だからこれからも勉学に励め」


何か馬鹿にされたような気分ではあるが褒められたらしい。


「もしもの未来ってこんなに沢山出来るものなの…?」

「僕が君に誰と付き合うべきと指示した場合の枝分かれした未来を視ている」

「はぁ……」


まだ頭の回転が追いついていないのだが、待ってくれないので大人しくネレウス王子の話を聞く。



「一番おすすめなのは、タンタシオ公爵令息アルフレド。魔力もかなり多い。最も封印の成功率が高い。しかし…アルフレドは高慢で人を見下した少年だ。金髪で美しく身分も高く、恋愛に持ち込むのは難しい…粘りの姿勢が大事だな。アルフレドを選んだ場合君は沢山の嫌がらせを受けることになる」


彼の指が示した少年と少女。ざっくりとした落書きだった。多分これでは本人を見てもわからない。


「懸念があるとすれば…成功した分岐でも、君は社交界での立場がかなり悪くなる。アルフレドの婚約者に一番近い存在だったヴェント侯爵令嬢カリーナが、君に嫌がらせを指示したとして追及され修道院へ入った影響でだ。君もそれには心を痛めていた」

「……ん、どうして?私に嫌がらせしてたんでしょ?」

「いや、カリーナを慕う令嬢たちが彼女の為にと先走って君に嫌がらせをしていた。カリーナは関与していなかった。しかし責任を感じた彼女は友人たちの為に疑惑を否定せず、自分から修道院へ入った。器量が悪いが人脈が広く人望もある令嬢で君にも親切だった。結果…君はカリーナの大量の友人から一気に遠巻きにされてしまう訳だな」

「それは…その、防げないの?」

「難しい。次」


淡々と無表情で説明していくネレウス王子。もうちょい考えてみてくれないかしら。


「二番目のおすすめが僕の兄上、ユリウス第一王子。兄上は魔力も多いし素質はあるのだが、魔力量が精神や肉体の状態にかなり左右される為不安定だ。魔力の扱いが上手くなるように良い具合におだてたり助言したりして訓練させ育てる必要がある。身分差も更に大きくなるので女子からの嫌がらせはより命を狙ったものになるが、兄上は女性好きなので恋愛関係になるのはそう難しくない」

「今聞いた限りでは気が進まない要素しかないけど…」

「兄上も金髪で美男子だぞ。少し口が悪いけど優しいし、頭も割と良いし。周りが止めても母親の違う僕とよく遊んでくれた」


ネレウス王子はここで初めて少しだけ口元を緩めた。

人形めいた美貌が人間味を帯びて私は少し体の力が抜ける。


「へぇ、そうなんですか……」

「ここでの懸念は、君は身分的にどうしても王妃には相応しくない為第二妃に納まるしかないことだな。王妃になる令嬢は数人候補がいるが、誰になっても常に君の命を狙ってくるので気が休まらない生活になる」

「ふ、普通に嫌……!!」


そもそも王子に嫁ぐとか出来る気がしない。王族に嫁ぐ令嬢なんて相当な教養か美貌か身分とかが無いと周りが納得しないのでは?どれも持ち合わせがない。


「つ、次は?もうちょい私が平和に暮らせる未来ってやつはないの?」

「次は…ババール侯爵令息ハイライン。銀髪の美男子だ。上から目線で見栄っ張りでアルフレドの周りをうろちょろしている取り巻きだが、会話を重ねてこちらから好意を示せば恋愛関係になるのは一番簡単。しかし魔力量がギリギリ足りるかどうかという微妙な線で個人的には心配だ。成功すれば平和に暮らせるが」

「聞くところの性格があんまり…結婚したくない感じね…」

「次点のスカルラット伯爵令息ジークリートも似たような魔力量だ。唯一君と同い年だな。紺色の髪の美男子で生真面目だが、己に自信が無く臆病なのでよく褒めて好感度を上げ、自信を付けさせることから始めなければならないので封印までに恋仲になるのが間に合うかが微妙な所なんだ」

「結局誰も彼もおだてないといけないの…?」


私に向いてないんだけど…。嘘が下手であんまりお世辞とか得意じゃないのよね…。母にも友達にも「コニーはすーぐ顔に出るわよね」とよく笑われた。


「そして最後のロッソ男爵令息アマデウスだが…いや、今はスカルラット伯爵令息になっていたか。こいつは候補になれる魔力はあるのだが、おすすめしないどころか可能な限り近付くな。こいつと恋仲になったら君は死ぬ」

「死ぬ?!?!?!?」


おだてなきゃいけないのめんどくさいとか言ってる場合ではなくなった。




端的に言うと、アマデウスは公爵令嬢ジュリエッタの想い人。恋仲になった場合、封印に成功しても失敗しても嫉妬したジュリエッタに暗殺されるという。


「アマデウスは魔力耐性が異常に高い少年だ。親に蔑ろにされて育ったせいか見境の無い女誑しで、恋仲になるのも簡単だし封印の成功率も高かったんだが…」

「魔力耐性?って?」

「ああ、魔術学を学ぶのはまだ先だったな…魔力について簡単に説明する。魔力は誰もが少しは持って生まれる力だ。術式を学べば誰でも使いこなすことが出来る。しかし使える最大量には個人差がある。例えば…」


ネレウス王子は部屋の机に置いてあったコップを手に取った。


「大抵の人間が多少の差はあれどこれくらいの器として生まれてくるとする。その人間はその器に入る量の魔力しか一度に使うことは出来ない。この杯がこの杯に入る量の水しか運べないように。魔力は体を休めれば回復するが、回復の早さも個人差がある。黒い箱の封印には一度に大量の魔力を注ぎ込む必要があるので、魔力が多い人間にしか出来ない。ここまでわかるか」

「…うん」

「魔力の多い人間は、大きな器として生まれてくる。君は…そうだな、この杯を普通の人間と仮定すると50個分くらいはある」

「へぇ~~~?!でっかいわね…私…」

「しかしそれでもまだ足りない。…そして、封印に注ぐ魔力は、同じ魔力でないといけないのだ。何人もの人間で力を合わせて魔力を注いだ例もあったそうだが失敗している」

「…同じ魔力? …魔力って、人によって違うの?」

「違う。そうだな…人によって色が違うと考えてもらえばいい。髪の色とか瞳の色みたいに。君に伴侶と力を合わせろと言わねばならんのは、魔力を合わせて混ぜて同じ色にしてもらわねばならんからだ」


――――――魔力を合わせて混ぜる って………えっと……


「そ、そのぉ…それ具体的には…何を…」

「粘膜接触を最低でも20回くらいはしてもらわねばならん」

「にに二十回も?!??!!!? よ、夜の営みをッ…?!!???」

「夜でなくても良いが」

「夜にさせなさいよ!!!!!昼からなんて流石に爛れてるわ!!!!!」

「…ああ済まない、誤解させたな。口付けでいいんだ。流石に貴族令嬢に婚姻前に性交せよなんて言わない」



恥ずかしくてぶん殴ろうかと思った。王子だから何とか堪えた。

一応勝手に誤解したのは私だ。鎮まろう。



「魔力の説明に戻るが。魔力を限界まで使い切ると、器に負荷がかかり欠けたりヒビが入ったりする。また、自分の器に入りきらない魔力を外から浴びてもそうなる。具体的には吐いたり倒れたり眩暈を起こす。水が無いと死ぬが水を飲み過ぎても死ぬというようなものだ。


…魔力耐性が高いというのは、非常に丈夫な器を持って生まれて来たということ。普通の人間が硝子の器なら、アマデウスは鋼の器を持っている。魔力を使い切ったり大量の魔力を浴びたりしても体の具合が悪くなることがほぼない。武功を上げた騎士を祖先に持つアロガンテ家出身の母の血だろうな。君の髪と同じで先祖の良いとこ取りだ」

「ふぅん…?つまりめっちゃ体が丈夫…ってことでいいの?」

「大事な要素だぞ。聖女候補の膨大な魔力を自分の魔力と混ぜる行為をしても具合が悪くなる心配がないから伴侶としてはかなり都合が良い」

「えっ… 私と口付けした人って具合が悪くなるの…?」

「混ぜる時はな。君なら扱いを学べば魔力を出し過ぎないように調整出来るようになるだろうから頑張れ」


何か気分が下がることを聞いてしまった。

聞けば聞くほど気が進まなくなる任務である。何が悲しくて恋人と口付けする度具合を悪くされないといけないのか。



「因みに……君を暗殺するジュリエッタ・シレンツィオ、通称“化物令嬢”――――が、聖女候補一番手だ。彼女は君の倍、器百個分ほどはある」




ば…倍。―――――――――――――――…… つまり、二倍?????


あれ…?私よりも魔力が低い伴侶と協力して何とか、ってことだから…私が二人分なら…


…足りてる。



足りる!!!!!??????




「その人に封印してもらってよぉ!!!!!一人で充分ってことでしょ??!!??!?」

「それが出来そうならこうして君の所に来ていない」


はぁ…と溜息を吐いて彼は水差しから勝手にコップに水を入れて飲んだ。人んちのもの使う時は一言何か言え。いいけど別に。




最初の方の「アマデウス・ロッソ スカルラット」のところ、ロッソに打ち消し線を入れたかったんですが、どうやらその機能はないようでそのままにしています。


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― 新着の感想 ―
いきなり乙女心ゲーが始まってびっくりしたけど、美形だらけなのはそういう事なのか…。 しかし、預言者の予言内容がアマデウスのせいで悉くデマになってて笑うしかないw
[良い点] ネレウス様が見てるの未来じゃなくて原作(仮)じゃねぇか!!! カリーナを助ける方法を「難しい、次」で切り捨てるのワロタ
[一言] もしかしてこのアホ垂れ王子、アマ公が転生したのしらない? その予言嘘まみれな上に精度カスで草
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