第23話 変態は縛り上げて放置プレイが普通よね?
この小説も放置プレイ
( ゜∀゜)・;’.、グハッ!!
はぁどうしてこんなことになってしまったのかしら。
私はレオンが居ない仕事部屋の窓から庭の大きな木を眺めてため息をつく。
本当に私はどこで道を誤ったのかしら?
私は今までの出来事を思い返す。
私ことマルティナ・フォン・ネブラスカがグラノヴァ王国の国王であるレオンの専属メイドになってからもう3年目になる。
まだ平民だったレオンに出会ったのが7歳の頃、だから今年で10歳ね。
グラノヴァ王国が建国されてからレオンは毎日忙しく働いている。
私も精一杯サポートしているけど、レオンは次々に新しい政策を打ち出して行くから、私はその新しい考えの政策内容についていけずただ見ているしか無かった。
毎日書類と格闘するレオンにお茶を入れるしかやる事が無くなり、私もレオンの力になれるように今出来ることをやる事にした。
まずはレオンの専属メイドなんだからいざとなったらご主人様のレオンを身を呈してでも守る事よね。
そう思ってモニカさんの親衛隊のマッスルズに護衛の仕方を教わろうとしたけどマッスルズ隊長のガリガーノから話を聞いて諦めたわ。
マッスルズは護衛の間、仲間と筋肉で会話してるから私がそんな訓練したらムキムキになって上半身露出し無ければならないじゃない!
痴女よ痴女!レオンに嫌われたら意味無いじゃない。
私は同じ女性でモニカさんの近衛をしていたヒルダさんに護衛の仕方を習う事にした。
モニカさんとヒルダさんにお願いしたら快く引き受けてくれたわ。
習うならやっぱり同じ女性からがいいわね。
それから時間がある時に尋ねてはヒルダさんに護衛術を習っている。
今日もヒルダさんとの訓練に向かうが、モニカさんがアリエッタちゃんを出産してからはアリエッタちゃんの様子を見に行くのが日課となった。
モニカさんは出産してからは仕事からは離れている。
レオンの時は出産後直ぐに人を雇ってレオンを預けて仕事に復帰したから今回はゆっくり子育てを楽しむのだそうだ。
私はいつものようにモニカさんの元を訪れ、最近のレオンの様子を伝えてアリエッタちゃんを抱っこさせてもらう。
それにしてもアリエッタちゃんは可愛い、寝顔は天使ね。
頬っぺたぷにぷにだし、寝ながら私の胸を吸おうとしてくる仕草は可愛すぎてどうにかなりそう。
気が緩んでついうっかり『私も赤ちゃん欲しい』と口に出して言ってしまったわ。
モニカさんには『私をお婆ちゃんにする気ですか?』と笑われ、ヒルダさんには『護衛対象を襲うつもりですか?』と真顔で言われてしまったわ。
最近は胸もちょっとは出てきたけど私はまだまだ子供だから今は我慢よ。
レオンはバインバインの女性が好みとか言ってたけど私はレオン好みの体に成長できるのかしら?
この2年の間にヒルダさんからは色々教わったわ。
まずは基礎体力作りから、やはり体力が無ければ護衛は話にはならないらしい。
でも小さい頃から使用人にイタズラしたり、木に登ったりしてた私には基礎体力はそこそこあったみたい。
メイドの仕事で毎日動いてばかりだからかしらね?
次に武器の扱いだけど子供の私に剣は重いからナイフや短剣での相手の剣の受け流し方、ナイフ等の投擲を教わった。
その他には女の身でも相手を組伏せる柔術、人間の体の急所と的確な攻撃方法を習ったわ。
急所の股間はともかく顎を狙うには身長がまだ低い私は蹴り技をメインに習う事にした。
体の柔らかさをバネに足の先までを真っ直ぐ伸ばして遠心力で蹴りの威力を上げるのよ!
蹴り技は筋が良いってヒルダさんにも褒められる程になったわ。
最後に敵を捕縛するすべを学んだわ。
ロープで必死に逃げようとする相手を逃げられないように縛る方法、いくら相手がもがいても縛ったロープが解けたり緩んだりしない縛り方など、意外に奥が深いわね。
1年以上もヒルダさんに学んだ結果、マッスルズの人にも勝てるようになってしまったわ。
力だけの相手1人なら負ける気はしないわね。
マッスルズの面々に実戦形式の練習相手になって貰ったら完勝してしまったわ。
私凄い!
でも調子に乗ってヒルダさんに相手してもらったら3秒も持たずに組み伏せられてしまった、流石師匠ね!
ヒルダさんにも『慢心は身を滅ぼしますよ』といわれてしまった。
そんな日々が続いてレオンの所にお茶を持って戻るとレオンが居なくなっていた。
トイレにでも行ったのかしら?
しかしいくら待ってもレオンは戻たこなかった。
今までこんな事はなかったのに、私は不安になって屋敷中を探したけどレオンは居なかった。
門番のマッスルズも見てない事から屋敷内に隠れているのか、外にこっそり抜け出したとしか考えられない。
レオンはずっと書類仕事ばかりでレオンが大好きな船造りは全然出来ていない。
私はマッスルズにレオンを探しに行くように言って私も町へ探しに行った。
レオンが行きそうなハワード造船所に行ってレオンの父親のハワードさんに聞いたけど来ていないという。
船を触りに抜け出したんじゃないのかしら?
まさか仕事が嫌になって国外に逃亡でもしたとか?
だったらせめて専属メイドの私位は一緒に連れて行って欲しかった。
駆け落ちね、でもまさか他に女がいてその女と駆け落ちでもしたのかしら?
いやいや有り得ないわ。
船バカのレオンが船より女を優先するなんて絶対に有り得ない。
だとしたらレオンは何処へ行ったのかしら?
思い当たる町中を探していると以前は無かった喫茶店を見かけて中を覗いたら何やら騒がしかったからマッスルズを店の外に待機させて中に入ってみた。
メイド服姿女性達がなにやら集まってキャーキャー言ってたから近くに行くとだらしない顔になっているレオンがいたわ。
どういう事なの!?レオンのあんなだらしの無い顔私は見た事ないわ!
「レオン!何をしているのかしら?」
「まっマルティナ!?たっ助けてくれ!メイドさんに溺れそうなんだ」
はぁ?レオンは何を言っているのかしら?
パンパン!
私は手を打ち鳴らして騒ぎを制止した。
「ハイ!そこまで!!私のご主人様を返して頂けるかしら?」
「後から来て貴方何様のつもり!?」
店のメイドの1人が言うから言い返してやった。
「私はレオン国王の専属メイドよ!レオン国王は大事な政務の途中ですからお迎えに上がりました。さぁ帰りますよご主人様!」
私が言うとメイドたちが左右に別れてレオンを解放する。
レオンはスタスタと歩き出すときっちり喫茶店の支払いをして出ていった。
屋敷に帰ったら私はレオンにお説教をした。
国王でご主人様のレオンにお説教なんてしていいのだろうかと思ったのだけれど、レオンの危機管理意識は低すぎるのは問題だわ。
もう一般人じゃ無いのだから自覚してもらわないとダメね。
「レオン?あなたは国王なのよ?」
「そうだねマルティナ」
「外にはあなたの政策で不利益を被った人達だっているのよ?」
「へぇーそうなの?」
「レオンがドレッドさん達に直接依頼を出すから商業ギルドの立場が無いって不満が溜まっているそうよ?」
「それは大変だね」
書類仕事をしながら聞いているせいかレオンの反応が聞き流してるように聞こえるのだけど?
気のせいかしら?
「レオン?外は安全じゃ無いの!あなたが受けいれた難民の中に、連合王国やレダイル王家の刺客がいるかもしれないでしょう?」
「そだねー」
「もう!あなたの命に関わる話なんだからちゃんと聞きなさい!」
「うん、聞いてる聞いてる」
レオンは書類仕事の手はとめないで返事してくるわ。
本当に理解して返事しているのかしら?
「レオン?今日は書類仕事に疲れて息抜きしたくてこっそり抜け出したの?」
「そうそう」
あー、これはきっと反射的な思ったことに対して答えているんだわ。
だとしたら
「レオン?私の事好き?」
「うん好き好き」
キャーレオンに好きって言って貰えたわ!
これはきっとレオンの深層心理の回答よ!
普段は素っ気ない態度でも心の底では私の事を好きなんだわ!
でもまだ分からないわ、慢心は身を滅ぼすってヒルダさんにも言われたじゃない。
落ち着くのよマルティナ、本当に私の事を思っているのか試してみないと。
「レオン?船は好き?」
「うんうん大好き」
返事が『大』好きになったわ。
私の好きは2回の好きだったのに、私への好きは船以下って事かしら?
ちょっとくやしいけどレオンだから仕方ないわね。
「レオン?女の子は好き?」
「うんうん好き」
「レオン?男の子は好き?」
「うんうん嫌い」
「レオン?メイドさんは好き?」
「うんうん好き好き」
ん?ちょっと待ってメイドさんが好き2回なの?
あれあれ?レオンの私への認識って専属メイドだからメイド扱いなのかしら?
マルティナとしての私じゃなくてメイドとして好きって事?
「レオン?マルティナとメイドさんどっちが好き?」
「うんうん・・・」
あれ?返事がとまったわ。
好きか嫌いかでしか答えられないのかしら?
それともマルティナとメイドはレオンの中では同じ認識なのかしら?
「レオン?女漁りは好き?」
「うんうん好き」
「レオン?メイドさん漁りは好き?」
「うんうん大好き」
あうっ!レオンは女好きだわ!
しかも大勢のメイドさんに囲まれるようなのが好きなんだわ!
なんてことなの!?普段はそんな素振り見せないのに!
いいえ、きっとまだ体が子供だから表に出てきてないだけなんだわ。
レオンは相当な女好き、しかもメイドさん大好きな大人になるなんて、一体私はどうしたら。
「レオンのバカー!レオンが居なくなって心配したのに女漁りしたいだけだったなんて!」
「えっ!?なになに!?どうしたのマルティナ?女漁りって何?」
しまった!大声出したせいでレオンが正気に戻ってしまったわ。
「べーっだ!」
私はキョトンとしたレオンに舌を出してその場を後にした。
でもレオンが抜け出したのも書類仕事ばかりしているせいよね。
私がもっとレオンのやってることを理解して書類仕事を手伝ってあげられればレオンも抜け出そうなんて考えなくなる筈よ。
だったらもっとレオンが頼ってくれる専属メイドに私はなるわ!
そうすれば女漁りなんてせずともメイド好きのレオンなら専属メイドの私に甘えてくるようになる筈よ!
私はその日を境にレオンが作成した過去の書類を読み、分からないことはモニカさんに聞きに行き、レオンのやってること、問題の対応と仕方を学んで行ったわ。
しかしレオンのやっている事を理解するうちにレオンのやろうとしている事の凄さが分かってきた。
鉄道の敷設、未開の地の開発、鉱山の町の拡張に、水路や街道整備、難民受け入れで人口急増に伴う食料不足解消の為に帝国との貿易交渉、更に労働者に支払う貨幣不足からグラノヴァ王国の新貨幣発行と銀行の創設まで。
銀行の運営はレオンの政策に不満を持つ商業ギルドに任せて不満の解消も狙ったのかしらね?
本当にレオンは凄い。
こんな大変な仕事ばかりしているんだからたまにお忍びで町へ行くくらい見逃してあげてもいいんじゃないかしら?
そう思い始めてしばらくたった頃、レオンのお茶を変えに行ったらレオンから声をかけてきたわ。
「マルティナ、書類仕事手伝ってください。お願いします」
「まったく、レオンはしょうがないわねぇ」
やったわ!ついにレオンが私を頼って来てくれた!
これまで頑張った日々の勉強の成果を示す時だわ!
そしてレオンに余裕が出来たらメイド姿の私に少しは甘えてきてくれるかしら?
私は今まで頑張ってきた努力を発揮して、レオンに任された書類仕事をテキパキとこなして行った。
レオンと2人きりで毎日書類仕事!
私はただのお茶くみメイドからレオンの仕事を支えられる存在になれたのだと実感できて嬉しかった。
だいぶ書類仕事にも余裕が出てきたある日、レオンが1人で部屋を出ていこうとしたから着いて行ったのだけれど。
「マルティナ?書類仕事がまだ残ってるようだけど?」
あらあら?レオンは私に書類仕事を押し付けて何処かへ行く気なのかしら?
「あら?レオンは何処に行くつもりだったのかしら?まさか、私に仕事を押し付けてまた女の子でも漁りに行くつもりだったのかしら?」
私がニコニコしながらレオンに聞くとレオンは黙って書類仕事に戻って行った。
え?本当に私に書類仕事を押し付けて女漁りに行くつもりだったの?
こんな可愛いメイドの格好をした専属メイドが隣に居るのに?
私はいつものヒルダさんとの訓練の為に書類仕事を切り上げて部屋を出た。
マッスルズの人にレオンがまた抜け出しそうだから部屋を見張るように一様言っておいた。
そしてヒルダさんとの訓練が終わってレオンの仕事部屋に戻るとレオンが居なくなっていた。
部屋の窓からロープで降りたらしい。
そこまでするの?
まさか本当にレオンは女漁りに行ったの?
でも前のは新しい喫茶店が出来てたからたまたま入っただけって言ってたし、子供の国王が1人で店に来たらあんな事態にもなる気はするし。
私の思い過ごしよね。
「はぁ、憂鬱だわ」
2年前に私はレオンを好きだと伝えた。
レオンも私を好きだと思うって言ってくれたけど、それから関係の進展らしいものはない。
レオンはまだ9歳、私は10歳、お互いまだまだ子供よねぇ。
窓からロープで逃げ出すなんて、私も昔はよくやってばあやを困らせてたっけ。
あの頃はまさか自分が小さいとはいえ一国の王様の専属メイドになるなんて思ってもみなかったな。
あの頃は物語の不幸な身の上の女の子がハッピーエンドになる様にいつか私も幸せになれると信じていたっけ。
私は昔過ごした風景を思い出した。
そして今は誰も使っていない建物にある自分の部屋がどうなってるのか気になった。
レオンも居ないし私は昔の自分の部屋を見に行くことにした。
窓から垂れたロープを片付けて今は使われていない使用人用の建物へ向かう。
建物の中に入ると空気はよどんでいた。
たまには手入れしないと建物がダメになってしまうわね。
私は窓が締め切られた暗い通路を進んで2階の奥にある自分の部屋へと向かった。
長年住んだ場所だから暗くても何のことは無い。
自分の部屋へたどり着き窓を開ける。
すると新鮮な空気が一気に入って来た。
同時に入口の扉が閉まる音がする。
風が吹き込んで入口の扉が閉まったみたいね。
私はホコリだらけになった自分の部屋を見回す。
なんか荒らされてるわね?
一時期空き家になったから空き巣でも入ったのかしら?
「はぁ、レオンは構ってくれないし憂鬱ねぇ。私もちゃんとレオンと一緒に外へ行きたいと言えば良かったのかしら?」
しばらく窓からぼーっと外を眺めていると何処からか声が聞こえてきた。
『さーみんなこの建物に入れー、今は誰も使ってないから遠慮するなー』
あらレオンの声だわ?誰か連れて来たのかしら?
『人気のない所に連れ込んで一体私達に何をしようというんですか!レオンさんはそんな事する人じゃないって思ってました!』
『ニーナが俺の噂話を聞いてどう思ってるのか知らないが、俺はニーナと今日初めて会ったんだ。その辺もゆっくり話そうじゃないか』
なっ!一体どういうこと!?女の声がするわ!!しかもレオンがニーナって名前で呼んでいるわ!
連れ込むって!?レオンがこの使われてない建物へニーナという女を連れ込むって言うの?
それに女の声は私達って言ってたわ、まさか複数人いるの?
『一体私にをさせるつもりなんですか?体が目当てなんですか!?』
なんですって!!!
レオン!ちょっと書類仕事大変そうだから息抜きくらいさせてあげようと思ってたのに!!
まさか複数の女を人気のない所に体目当てで連れ込もうとするなんて!!!
もはや犯罪じゃない!性犯罪よ!!
私は直ぐに入口へ向かって走り出した。
1階へ降りると入口の扉が勢い良く閉まり明かりが無くなり真っ暗になる。
また風で扉が閉まったのね。
さっきまで外を眺めていたせいで暗闇に慣れるまでは何も見えそうもない。
それでも長年住んだこの建物なら私は目を閉じても歩けるわ!
レオンが性犯罪に手を染める前に何としても止めないと!
私は急いで入口に向かった。
入口からは複数の声が響き暗闇で混乱しているようだ。
暗闇を進んでいると突然下から声がした。
「誰か!ドアか窓を開けてきてくれ、暗くて何も見えない」
「キャッ」
「痛っ」
痛たた、何かを踏んで転んだようだわ。
なっ何!?何かが私の胸を揉んでいるわ!?
「ニーナ胸が当たってるのは嬉しいけどどいてくれ」
真下からレオンの声がした。
まっまさか、私の胸を揉んでいるのはレオンなの??
ニーナって誰よ!?ニーナの体目当てだから胸も平気で揉んだとでも言うの?
誰かが窓を開けて部屋に光がさして明るくなる。
明るくなったことで私の揉まれた胸に添えられた手が見えた。
認めたくなかったけど、私の胸を揉みながらニーナの名前を呼んだのはレオンで間違いない。
レオンを見ている私と、顔をあげたレオンと目が合った。
「・・・わー、マルティナじゃないかーどうしてここに?」
「・・・どうしてここにじゃないわよ!この変態!!!」
私が好きになったレオンが、私を好きだと思うと言ってくれたレオンが他の女と間違えて私の胸を揉んでいた事実に私の心の何かの糸がプツンと切れた気がした。
もう私は理性が効かなくなった。
変態を相手にすると昔から理性が飛んで自分が何をしているのかよく分からなくなる。
気がついたら私はレオンの仕事部屋から外を眺めていた。
そしてレオンが居なくなっていた。
レオンはたまに息抜きに抜け出しては夜の食事前にはしっかり帰って私と食事はしてくれていた。
けれど今回は夜になっても帰っては来なかったのだ。
レオンを変態呼ばわりしてしまった所までは覚えているのだけれど。
何かレオンに対してとんでもないことをしでかしてしまった気がするのよね?
私はレオンに酷い事をしてしまったからレオンは私が嫌いになって逃げ出してしまたのだろうか?
モニカさんにレオンが居なくなったと話したら『子供じゃないんですからお腹がすいたら帰って来ますよ』と言っていたのだけれど。
レオンはまだ今年で9歳の子供じゃないの?
お腹がすいたら帰ってくるなんてまるっきり子供じゃない!
帰ってこないから相談しているのに!
いけない!この件ではモニカさんは頼りになりそうにないわ。
でも手がかりはある。
私の記憶が飛ぶ前のニーナという女があの時の事情を知っているはずだわ。
今はマッスルズに手分けして探してもらっているのだけれどなかなか見つからない。
もうレオンが居なくなって4日目なのに!
「姉御!!ニーナという名の女がみつかりやした!入口まで連れてきてます」
マッスルズの人が駆け込んで来てそう言った。
やっと見つかったのね、直ぐあの時の事情を聞かないと。
「姉御!この女がニーナです」
「ひっ・・・わっ私をどうしようというのですか!今度は私にもひどいことする気ですか!?」
ニーナは私を見るなり急に怯えだした。
やっぱりあの時の現場に居た女で間違いないわね。
「ニーナさん?レオンが居なくなったあの場に居ましたね?」
「みっ見てません!私は何も見てませんから!!お願いですから返してください!私には大切な家族や面倒を見なければならに子供達もいるんです!お願いですから返してください!!」
ニーナはなぜかひどい怯えようで訴えてくる。
あの時そんな怯えるようなことがあったのだろうか?
「落ち着いてください。ニーナさん。ひどい事なんてしませんから。レオン国王が行方不明になっているのです。もう4日目になります。あの時あなたが見たことを教えてくれませんか?」
「え?いったい何を言っているんですか?あの時レオンさんを殴って蹴ってロープでぐるぐる巻きにして気を失ったレオンさんを引きずって何処かへ連れて行ったのはあなたじゃないですか!」
おっふぅー、やっぱり私なんかとんでもない事してたみたいだわ、全然記憶が無いけど・・・。
これはまずいわね。
私がレオンをロープで縛って何処かへ連れて行ったみたいだけど穴掘って埋めでもしてたらレオンはダメかもしれないわ。
どうしよう・・・。
私は冷や汗が止まらなくなった。
「に、ニーナさん私はレオンをどこへ連れて行ったか分かりませんか?」
「何言っているんですか!連れて行ったのはあなたでしょう!?そこの扉から出て大きな木の方に引きずっていきましたよ!私は子供達とすぐに帰りましたのでその後の事は知りません!もういいでしょう!?早く帰してください!!」
「話してくれて助かったわ!ニーナさんを帰してあげて」
「はっ?姉御もういいんで?」
「ええ!丁重に送ってあげてね」
私はニーナをマッスルズの人に任せてそのまま庭の大きな木に向かって走り出した。
大きな木の根元を見ると掘り返したような跡はない。
どうやら私はレオンを埋めたりはしていなかったようだ。
ちょっと安心して上を見上げるとロープでぐるぐる巻きになっている物体がぶら下がっていた。
「れっレオンなの?いっ・・生きてる?おーい?」
「・・・」
まっまずいわ!返事が無いわ!レオンが居なくなってもう4日目よ!
私は記憶に無いとはいえ、自分で仕出かしてしまった事の重大さにようやく実感がわいて涙が出てきて止まらなくなった。
私は急いで木に登りレオンを吊るしているロープを外してゆくっくりとレオンを降ろす。
レオンはぐったりうつむいたままピクリとも動かない。
唇はカサカサで見るからにひどい状態だった。
「れっレオン? グズッ、ごべんなざい、ひどいごとじてごべんなざい ヒッグッ」
私はレオンの顔を撫でて泣きながら謝っていた。
「・・・やっやぁ・・マルティナ、やっと迎えに・・来てくれたん・・だね、ずっと・・・待っていたんだ。死ぬ前に・・・誤りたくって、・・・胸・・・揉んで・・・ごめんなさい・・・」
「レオンいぎでだーー、レオンいぎでだよーーー」
私は泣きながらレオンを抱きしめたが、レオンの意識は既に無かった。
私は慌ててレオンを屋敷へ運んでマッスルズに医者を呼ぶように指示した。
医者の見立てではレオンは脱水症状で気を失ったようだ。
もう少し遅ければ命にかかわっただろうと言われたわ。
私は今回の自分の行いを猛省した。
いつの頃からか私は変態に晒されると理性が飛んで歯止めが利かなくなるようになっていた。
でも今回のように記憶まで飛んだことは一度も無かったのだけれど。
今回の件は私にとって余程ショックな事があったのだったのだろう。
レオンが寝ている間に私は関係者に謝罪して回った。
モニカさんは『まぁまぁ仲がいいのも良いけど放置プレイはまだ早いですよ?』とか言われたわ。
ヒルダさんには『主が道を誤ったら正すのは配下の役目です。配下が誤ったのなら主に正してもらいなさい』と言われたけど、レオンに私を罰してもらえという事かしら?
でもそうね、私はレオンに何か罰を与えてもらわなければならないわね。
ニーナさんにも会いに行って謝罪とレオンと一緒に居た経緯を詳しく聞いたわ。
そして完全に私の勘違いだったことが判明する。
要約するとレオンは食事に困っていた子供達を助けようと連れてきてニーナに子供達に教育をしてもらう代わりに場所と食事を提供しようとしていたと言うのだ。
『ニーナが体が目当て何ですか!?』とか言っていたのは完全にニーナの勘違いでその後レオンは教育の話をニーナにしていたらしい。
もう完全に私の勘違いでしかないわ。
弁解のしようもない。
私のレオンに振り向いてもらいたいという焦りと、レオンが他の女の子と一緒に居た嫉妬、さらには胸を揉まれたショックに加えて私の胸を揉みながらニーナの名前を呼んだことで完全に理性が飛んだのだと思ったわ。
もう少しでレオンを死なせる状況にまで追い込んでしまった。
このままでは自分自信を許せない。
レオンが起きたら素直に話してレオンに罰してもらおう。
私はそう心に決めてレオンの居ない仕事部屋から庭の大きな木を眺めていた。
ビューが全然伸びません。
アクセス伸ばす方法は小説を書き続けていればいつか・・・
評価★★★★★頂ければ幸いです。