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つくりたいだけなのに  作者: なちゅね
第二章
23/25

第22話 目が覚めたらミノムシだった

第2章の始まりです

==第2部==



ここはレダイル大陸の東端にあるグラノヴァ王国


ぶら~ん、ぷら~ん。


俺こと、レオン・グラノヴァがグラノヴァ王国を建国してはや3年目、俺は今年で9歳になる。

そして目が覚めたらミノムシになっていた。


ぶら~ん、ぷら~ん。


ミノムシになった俺は現在屋敷の庭にある大きな木にぶら下がって揺れている。


ぶら~ん、ぷら~ん。


ミノムシはこういう気分でぶら下がって居るのだろうか?

実に貴重な体験だ。

1人じゃ全身ロープでぐるぐる巻きにして木から吊るすなんて出来ないからな。


それにしても手も足も動かせない。

なんて頑丈な縛り方だ。

マルティナは母上の近衛だったヒルダさんに護身術だか格闘術だか習ってるせいか、俺は無理矢理ぐるぐる巻きにしてくるマルティナにまったく抵抗出来なかった。


はぁ俺はミノムシなんてしている暇なんてないはずなんだけどなぁ。


最近は特に忙しい、新しい船の設計とかしている暇もないくらい忙しいのだ。

忙しさの原因は俺に妹が出来た事にさかのぼる。


母上が無事に女の子を出産した。

母上や俺と同じく銀髪の女の子だからきっと将来は美人になるだろう。

俺の名前は母上が決めたから今度は親父のハワードが妹の名前を決めてアリエッタとなった。


そして母上が産休に入る事になり俺が母上のしていた仕事を代行することになった。

とはいっても元々は俺が丸投げした仕事が殆どだったのだが。


幸い造船組合の仕事は組合で何とかしてくれる事になった。

俺が国王になる条件に政務は丸投げして自分ではやらないと言って母上に丸投げしていたのだが結局全部自分でやることになってしまった。

しかし、身内の母上の出産では致し方ない。

俺はまだ子供だけどグラノヴァ王国の国王なのだ。

政務を滞らせる訳には行かない。


俺は慣れない書類仕事を頑張った。

知識はあったが船造りばかりしていたのでどうしても書類仕事は遅い。

船の設計図ならいくらでもかけるのだが、文字と数字だけの書類は読む気がしない。

俺の専属メイドになっているマルティナはお茶ばかり持ってくる。

そして俺は気が付いた。


「マルティナ、書類仕事手伝ってください。お願いします」

「まったく、レオンはしょうがないわねぇ」


そうは言いつつも嬉しそうにマルティナは書類仕事を手伝ってくれた。

マルティナさん頼りになります!


実際マルティナは商業ギルドで見習いの仕事をしてた事もあって書類仕事はテキパキこなす。

仕事は俺より早いね。

マルティナに仕事を任せて出掛けようとしたらマルティナがついてきた。


「マルティナ?書類仕事がまだ残ってるようだけど?」

「あら?レオンは何処に行くつもりだったのかしら?まさか、私に仕事を押し付けてまた女の子でも漁りに行くつもりだったのかしら?」


女漁りなどと失礼な!

先日ちょっと息抜きに屋敷から抜け出して喫茶店に入っただけじゃないか!


その喫茶店は従業員の女の子が皆メイドの格好をしてた。

俺の知識がメイド喫茶と囁くが無視してそのまま案内された席に座ったら俺が国王だってのが直ぐにバレて店中のメイドの恰好をした女の子が寄ってきて揉みくちゃにされた。


そこを助けてくれたのは俺がいなくなったとのに気が付いて探しに来たマルティナとマッスルズの面々だった。


マルティナには国王の自覚が無いだの難民受け入れで外は危ないだのお説教されて適当に相槌うってたら何故か俺が女漁りしていたことにされたのだ。


ぷらーん、ぷらーん


だがこの程度では俺がミノムシになったりはしない。

ミノムシになったのはそのあとの出来事が原因だった。


ぷらーん、ぷらーん


だいぶ辺りが暗くなって来たな。

俺のミノムシ生活はまだまだ続くのだろうか?

いい加減そろそろ誰か助けてくれないかなぁ。


マルティナは今回相当怒ってたみたいだけど俺は何も悪い事はしてないはずなんだけどなぁ。

・・・いや、ちょっとは俺も悪かったな。

このミノムシの刑は甘んじて受け入れよう。


しかし一様国王である俺にこんな事するほどの出来事だったか?


俺はミノムシにされた出来事を思い出す。


いつものように書類仕事をしていて俺は思った、最近船に触ってないなと。

そして気軽に船造って乗り回してた頃を思い出してたら久しぶりにハワード造船所で暮らていた時によく食べてた出店の串焼きの味を思い出した。

ああいう食べ慣れた味はしばらく食べないとまた突如無性に食べたくなるのだ。


俺は串焼きが無性に食べたくなり書類仕事が手に付かなくなった。

小さい国とは言え、俺は一様国王だが、ちょっと前までただの一般市民だったのだ。

息抜きに町をぶらついたっていいじゃないか!

マルティナがの説教が怖くて国王なんて出来るか!


思い立って即行動した俺はマルティナが居ない隙に部屋の窓からロープで外に降りると、壁際まで走り草むらに隠しておいたハシゴ壁にかけて一気に登ってハシゴは蹴落とした。


門番のマッスルズに気付かれていない事を確認して俺は町中へと走る。

俺は一様国王でそれなりに顔も売れてるからフードを被って行き付けの出店に向かった。

出店に近づいてくると肉の油とタレが焼けるいい匂いが漂って来た。


「おばちゃん久しぶり!いつもの串焼き3本頼むよ」

「あらまぁー、あんたこんなところに気軽にきていいんかい?」


諸事情で俺が新しく発行したグラノヴァ硬貨を渡すとおばちゃんが串焼きを3本渡してくれる。

王様になる前からよく利用していたので串焼きの出店のおばちゃんとは顔なじみなのだ。

王様になってからもお忍びで何度か訪れているのからおばちゃんの対応も慣れている。


「いいのいいの、毎日毎日書類仕事ばかりで大変だんだから。自由に船造って乗り回して遊んだ後におばちゃんの串焼き食べてた頃を思い出したら、無性にこれが食べたくなったんだよね」


俺はおばちゃんから受け取った串焼きにかぶりつく。

脂身のうまみのある油と辛の甘ダレが口の中に広がる。

これこれ、この味が無性に食べたくなるんだよね。


モグモグモグ

そして俺はここに来ると毎回おばちゃんに言っている事を言う。


「おばちゃん、最近なんか変わった事とかあったか?」

「そうだねぇ~、最近はおなかをすかせた子供が増えてるかねぇ~」


お腹を空かせた子供が増えてる?子供だけなのか?


「お腹を空かせた子供だけ増えてるのか?」

「レダイル王国と連合王国の戦争で難民がこの国に押し寄せてるだろ?あんたが働ける難民を受け入れてるから、パンや肉なんかの値段が上がってるからね~」


ああ、そういう事か。

俺は国境に押し寄せてきている難民のうち、働ける難民とその家族は受け入れて労働に従事させているのだ。

急造の長屋みたいな小屋に家族単位で住まわせ、労働に応じた給金をしっかり支払っている。

労働に従事する者には労働現場で食事も与えている。

労働は主に鉄道用レールの敷設、鉱山での労働、畑の開墾、道路整備などだ。


王都となったグラノヴァから離れた日帰りの出来ない場所のため、労働者は泊りで働いてもらっている。

その代わり週に2日交代で休みを取ってもらい家族の元に帰れるようにしているのだ。

そのため家族の中で働けない子供たちが町に残ることになる。


給金は出しているから食事は食べられるはずだが、難民受け入れで人口が急激に増えたせいで食料供給が追い付かず値段が上がり始めているのだ。

給金は変わらないから買える食糧の量が減ったのだろう。

それで町に残っている子供たちがお腹を空かせているのだろうと俺は想像した。


「もう少ししたら帝国から大量の食糧が入ってくるからそれまでは何とか我慢してもらうしかないかなぁ」

「そうかい?お腹を空かせた子供たちがうちの串焼きを見つめてくるのを見るのは辛くてねぇ、早くなんとかしておくれよ」


俺はおばちゃんの身になって考えてみる。

串焼き焼いてたら串焼きをじっと見ているお腹を空かせた子供達が目に入る。

分けてやりたいがこちらも商売だ、タダではあげられない。

見て見ぬふりをするしかないがこれは辛いなぁ。


「分かったよおばちゃん。確かに見て見ぬ振りは辛いよなぁ。俺も何か考えてみるわ」

「そうかい?じゃあ、あの子らを頼むよ。おーーーい!こっちおいで」


おばちゃんが突然誰かを呼び始めたと思ったら、こちらを見ていた子供達が居たらしい。

何人かの歳のバラバラな子供達がこちらへやってきた。


「よかったねぇあんた達、このお兄さんがご飯食べさせてくれるってさぁ」


そういうとおばちゃんは串焼きを配り始めた。

え?この流れだとこの子たちに串焼き俺が奢るの?ま・・・まぁいいけど。


「さぁお前たちこのお兄さんに礼をいいな!」

「「「お兄さん串焼きありがとうございます!」」」


なんかやたら統率の取れたやり取りだな。まさかおばちゃん・・・・


「謀ったな!おばちゃん!」

「はっはっはっ!私じゃないさ、そこの嬢ちゃんさね」


そう言うと子供達の中で一番背の高い女の子を指さした。


「この子達に食事をありがとうございます。レオンさん」

「俺を知ってて利用したのか?」

「ええ、レオンさんは有名ですから」

「君の名前は?」

「元アルタイル商会の一人娘、ニーナと申します」


そう言うと女の子は礼儀正しく服の裾をつまんで礼をした。

この子も難民だろうし、『元』という事は戦火で商会を捨てて逃げてきたか?

年長者だから似たような境遇の子供達の面倒を見させらせていると言ったところかな?

俺はこのグラノヴァの国王だ、何かしらで恨まれている事もあるかもしれない。


「俺の事は知ってるようだから名乗らないけど、ニーナは俺を恨んでいるか?」


「えっ?恨むなんてとんでもないです。レオンさんは私達難民を受け入れてくれました。この子達の親も皆一生懸命今は鉱山の町で働いています。働く場所が遠いのは残念ですが寝床に給金まで与えてくれて、しかも週に2日も休みがあるなんて、私が住んでいたところなんかは休みなんてありませんでした」


「ニーナはこの子達の面倒を見る事を押し付けられたのか?」

「いえいえ、私から進んでやっている事です。この子達の母親も働けますから、父親1人で働くより夫婦で働いた方がか稼ぎは倍ですからね。皆で話し合って協力して早くアルタイル商会を再興しようと決めたのです。私はまだ未成年なので働きには出れなかったのでこの子達の面倒を見ることにしたんです」


なるほど、歳は俺やマルティナと大して変わらないだろうけどなかなかしっかりした子じゃないか。

商会の一人娘だからそれなりの教育もされているようだ。


「この子達の親は知り合いか?子供を他人に預けるなんて普通はしないだろう?」

「この子達の親はアルタイル商会で働いてくれていた従業員の子供達です。住込みで働いてた人達も居たので家族同然の付き合いなんです」


「この子達がお腹を空かせているのは何故だ?みなで話し合ったなら食事代も決めているんだろう?」

「最近、急激に食料価格が上がり始めて預かっているお金だけだで食い繋ぐには飢えない程度が精一杯になっているんです。色々な人に話を聞いて解決の糸口を探していたらレオンさんがお忍びで来るとの話を聞いてこの子達の為に利用させて頂きました」


俺を国王と知った上で、利用するとはなかなかキモの座った奴じゃないか。こんな事しても俺が罰したりしないと見越しての事だろうな。なかなかしたたかというか図々しいというか。よし!ここはちょっと脅しておこう。


「よーし、事情は分かった。俺の財布にダメージを与えた罰は受けてもらうぞニーナ!」

「えっ!?そっそんなぁ!おばちゃん話が違うじゃない!船の事しか頭にない船バカだから船の事を悪く言わなきゃ大丈夫だって!」


なるほど、空腹の子供達を見かねてニーナをそそのかしたのは串焼きのおばちゃんか。

俺は船バカとか思われてたのか!否定は出来ないけど。


俺はおばちゃんの方を見ると露骨に目を逸らした。


「そっ、そんなこといったかねぇ」


ニーナはおばちゃんに見捨てられたようだな。


「俺の金で串焼きを食べたその子達も同罪だ、罰を与えるから全員俺に着いてこい!」


子供達が脅えたのかニーナに寄り添って裾を掴んでいる。

子供を怯えさせるなんて酷い王様だな、だが俺は働けない難民は入国を認めない酷い王様だから今更だ。


「逃げても無駄だぞ!上半身筋肉の逞しい人達が迎えに行くだけだからな! さー早く着いてこい!」


俺はスタスタと歩き出すと、ニーナは諦めたのか子供達と一緒に達とぼとぼと歩き出す。


俺が国王として住んでいる旧ネブラスカ男爵家の屋敷に到着すると門番をしながら体を鍛えていたマッスルズのメンツに出くわした。


「若頭!また抜け出したんですかい?一言俺たちに声掛けて護衛を連れてくだせぇ、若頭に何かあったら俺たちの責任なんですから!」

「あー悪い悪い、でも1人で気軽にブラブラしたい日もあるだろ?」

「マルティナの姉御にキツく言われてるんでさぁ、せめて若頭も姉御から許可は貰ってくだせぇ」

「あー、マルティナになんか言われたら俺に責任あるから俺に言えって言っといてよ」

「いいんですかい?若頭は命知らずですなぁ」


ん?何?今のどう言う意味?


「それで若頭、そちらのお嬢さんと子供達はどうしたんで?若頭のこれですかい?若頭もやりますなぁ」


そう言って門番のマッスルズが小指を立ててきた。

マッスルズの中で俺はどういう認識なんだ?まだ10歳にもならないお子様ですよ?

手当たり次第に女を連れ込んでるような奴に俺は見られてるのだろうか?


客観的に見れば俺は成人もしていない少女であるマルティナを強制的に専属メイドにしてしかもメイドの格好をさせて一緒に暮らしている。


諸事情を知らない奴が聞いたら俺はダメ人間だな。


マルティナを専属メイドにはしたが、マルティナの素性を表に出す訳には行かなかったからだ。

何よりマルティナは俺のメイドになる事を嫌がっては居なかった。

たぶん、嫌がってなかったよね?


「この子達は俺に不遜な振る舞いをしたからちょっと罰を与えようと思ってね、さぁニーナと子供達は俺に着いてこい」

「レオンさん私はどうなっても構いませんからこの子達は返してあげてください!」


ニーナは泣きそうになりながら俺に訴えてくる。

子供達もニーナの後ろに隠れて不安そうな顔をしているようだ。

ちょっと脅すつもがだいぶ怯えさせてしまったかな?やりすぎたかな?

でもこれも罰だから仕方ないよね?


「いーからこっちに来いって」


俺は屋敷の敷地に入ると今は空き屋になっている元ネブラスカ男爵家の使用人達の住居へ向かった。


「さーみんなこの建物に入れー、今は誰も使ってないから遠慮するなー」

「人気のない所に連れ込んで一体私達に何をしようというんですか!レオンさんはそんな事する人じゃないって思ってました!」

「ニーナが俺の噂話を聞いてどう思ってるのか知らないが、俺はニーナと今日初めて会ったんだ。その辺もゆっくり話そうじゃないか」

「一体私にをさせるつもりなんですか?体が目当てなんですか!?」


わー、なんか変な方向に話が向かってるぞ、ここはもうニーナに話しておいた方がいいな。


「いやいや、ニーナが期待してる所悪いけど、俺はニーナにこの子達の教育をお願いしたいんだよ。この屋敷の敷地内なら警備もいるから子供達も安全だ。場所はこの建物の空いてる部屋を使うといい。教育をしてくれるなら食事を提供しようじゃないか。ニーナは元商会の娘だから読み書き計算と礼儀作法はできるんだろ?」

「・・・そっそういう事でしたか、レオンさんが強引に人気のない所に連れてくるから勘違いしちゃったじゃないですか!」

「おいおい、何を勘違いしたのかは聞かないでやるけど、俺はまだ今年で9歳になる子供だからな!」


俺はそう言って子供達を空き家に入れて自分も入ると中は暗く何か少し空気がよどんでいた。

しばらく誰も手入れしてなかったか、換気位はしないとな。

そう思って窓のある部屋へ行こうとした時、入口の扉が閉まった。


バタンッ!!


大きな音がして途端に真っ暗になった。

ヤバッ急に暗くなったから何も見えなくなった、とりあえず窓を開けないと、と歩き出すとドアの枠か何かに躓いてコケた。


ドタンッ


「あいたー、あいたたたたぁ」


俺は足の小指を思いっきり何かに引っ掛けたようだとにかく痛い。まったく誰だよ入口のドアを閉めたのは、ニーナの連れてきた子供か?


子供達はニーナを求めて歩き回っているのかそこら中からニーナを呼ぶ子供たちの声が聞こえる。


「誰か!ドアか窓を開けてきてくれ、暗くて何も見えない」

「キャッ」

「痛っ」


誰かが俺の足を踏んで倒れ込んで来た。

今の悲鳴はニーナか?あっなんか柔らかいものが顔に当たってる。


揉み揉み


どうやら2つある!こっこれはまさかニーナの胸なのか!?

結構なボリュームがあるぞ、見た目はそれ程でもないように見えたが着痩せするタイプなのか!?


「ニーナ胸が当たってるのは嬉しいけどどいてくれ」


誰かが窓を開けてくれたようだ。

部屋に光が差し込んで周囲が明るくなる。


「はい? レオンさん私はこっちですけど?窓は開けましたよ」


あれ?ニーナの声が離れた所からする、窓を開けてくれたようだ。

あれあれ?じゃあこの胸のような感触は一体なんだ?

顔を上に向けると見知った顔と目が合った。


「・・・わー、マルティナじゃないかーどうしてここに?」

「・・・どうしてここにじゃないわよ!この変態!!!」


途端に俺はマルティナに襟首を捕まれ持ち上げられるとみぞおちに1発入れられた、さらに下から顎を蹴りあげられて空中で後ろ向きに一回転してうつ伏せに落下した。


「ぶべっ」


空中を回った時に右足を真っ直ぐ蹴り上げたマルティナの見事な姿が見えた。

これもヒルダさんとの特訓の成果なのか。


立とうとしたが、みぞおちへの1発で息が詰まる。

顎に蹴りがしっかり入ったせいか上手く立てない。

そのままもがいているとマルティナに押さえつけられ、どこから持ってきたのかロープでぐるぐる巻きにされてうつ伏せのままマルティナに踏みつけられる。


「さぁ、レオン?言い訳を聞こうかしら?私の胸を揉みながら言ったニーナって誰かしら?」

「あっあのう・・・ニーナは私です」

「あらそう?ニーナさん。あなたは何故、人気もないこんな空き家にレオンと居るのかしら?」


なんかマルティナの声が怖い。殺意すら感じる。


「ひっ、れっレオンさんに失礼な事をしてしまって、そっそしたらレオンさんが罰を与えるって言いだして、逃げたら逞し人達が迎えに行くって、無理矢理連れてこられただけなんです」


わーなんかこうして聞くとすごい極悪人みたいに聞こえるなぁ。

レオンって悪い奴だなぁ、まぁ俺だけど。


「あらそうなの、さぁレオン?一様あなたの言い訳も聞いておこうかしら?」


わー、俺を踏むマルティナの足にひときわ力が入ったぞ。

これは何を言ってもダメなパターンだな。

素直に話してマルティナの気の済むままにされておこう。

マルティナの胸揉んだのは事実だし。


「ニーナには教育してもらおうと思って連れ出来たんだ」

「そう、でもねレオン?専属メイドの私が居ながら女の子連れ込んで性教育は無いんじゃない?」


えっ?何言ってるの?マルティナさん?性教育って何!?

俺は知識を得たから性教育なんて興味あるけど要らないよ?

そうじゃなくて何かとてつもない勘違いに拍車かかってませんかね?


俺はロープでぐるぐる巻きにされたままマルティナに持ち上げられてマルティナと顔を合わせる。


「さぁ、レオン最後に言い残すことはあるかしら?」


あー、もう俺最後なんだ。

まだ空飛ぶ船造って無いんだけどな。

またマルティナに蹴りあげられて酷い目にあうのか、さっきの蹴り上げも見事だったなぁ。

俺はマルティナが大きく右足を上げてチラッと見えたさっきのシーンを思い浮かべる。


「今日は黒なんだ・・」


俺の意識はそこで途絶した。


そして目を覚ますとぷらーんぷらーんと揺れてミノムシになっていたというわけである。


しかしマルティナに最後何されたんだろう?

全く何されたのか分からない間に気を失ったようだ。

一体どの位気を失って居たのだろうか?

俺はニーナに子供達の教育を頼もうと思っただけなんだけどなぁ。


ニーナは商会の娘で読み書き計算に礼儀作法も出来るだろうと思った。

だから親が働きに出て留守番になっているような子供達を集めて食事と安全な場所を提供する代わりに子供達への教育を頼もうと考えたのだ。

学校なんて大層なものじゃないが、託児所みたいなものかな?


文字の読み書き、計算や礼儀作法を知っていれば将来は良い職に着ける。

領土の狭いグラノヴァ王国はこれから商工業てま成り立つ国を目指すのだ。

そのためには基礎的な教育や礼儀作法は必須と言ってもいい。


ぷらーんぷらーん


それにしても最近全く新しい船の研究出来ないなぁ。

新しい船には新しい技術を取り込みたいからこの国の基礎的な技術力や生産力は育成したい。

今は我慢のときなのだ。


ぷらーんぷらーん


辺りはすっかり暗くなっていた。

まだ誰も助けに来てくれない。

こんな仕打ち今までで初めての事だ。

マルティナは俺の事を変態と呼んでいた気がする。

あいつは昔から変態に容赦ないからなぁ。


昔マルティナに何で変態に厳しいのか聞いたら『変態は敵よ?殲滅よ?ゴキブリ見たら潰すでしょ?当然じゃない』って答えが返ってきたし。


・・・あれー?俺って実は結構ピンチなのでは?

ひょっとしてちょっと反省させる為じゃなくてまさかずっとこのまま放置?


あれあれ?もう夜だしまさかこのままここで一晩放置?

えっ?一晩で済むのかすごい不安になってきたぞ。


人間って飲まず食わずで何日生きられるんだっけ?

マッスルズは基本門番と屋敷内にしか行かないし、ここに俺が居るって知ってるのマルティナだけか!?


マルティナは『最後に言い残すことはあるかしら?』とか言ってたしマジで俺はこのままここで終わるの?


大声で誰かか助を呼んだ方がいいのかな?

でも一様俺は国王だし、そんなみっともない真似はすべきでは無いな。

マルティナは建国の時に俺が好きだと言ってくれたんだ!

俺はマルティナを信じて待つぞ!

もうすぐマルティナが許して迎えに来てくりはずだ!

来るよね?来てくれるよね?

お願いですマルティナ様!許してください。胸揉んでごめんなさい。


ぷらーんぷらーん


・・・はぁ、今日はもう寝よう。

これはきっと夢で目が覚めたら人間に戻るのだ。


ぷらーんぷらーん


俺は風に揺られながら静かに眠りについた。



この1ヶ月ビュー数とか見ていましたが全然伸びませんねぇ

アクセスが無いって検索されないってことですよね?


評価とか頂ければビュー伸びるのでしょうか?

★★★★★頂ければ幸いです。



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