表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つくりたいだけなのに  作者: なちゅね
第一章
21/25

第21話 俺の船がともにするもの

第1部終幕!読んでくれた方に感謝!

あれから二ヶ月が経った。


今日は王となる俺がグラノヴァに新しい国が出来る事を宣言する日であり、それと同時に要塞戦列艦シャルビスの帆船から蒸気船への改装が終わり皇帝がシャルビス帝国へ帰る日でもある。


あの後、要塞戦列艦シャルビスはグラノヴァの遠浅の砂地の海域に運ばれ浸水により着底した。

グラノヴァの町では連合王国に勝利した報が既に届いていたため戦勝祝いに沸いていたが、帝国の巨大な船が接近してきたことで帝国が攻めてきたと勘違いして戦勝気分は吹き飛んだそうだ。

母上が町に戻り、造船組合を通して諸所の事情がグラノヴァの町に伝わると混乱は収まり、暇をしていた造船技師や労働者が要塞戦列艦の修理に向かった。


親父のハワードは俺のケガを見て皇帝に挨拶した際に一発ぶん殴って大騒ぎとなったそうだ。

即処刑されても文句も言えない事態で、母上もさすがに血の気が引いたようだが妊娠していたこともあり、母上の父である皇帝もハワードが娘を助けたことに対して礼と俺に怪我させたことを謝罪して穏便に済ましたそうだ。

親父も皇帝に謝罪して和解したらしい。

その後、親父は俺の改修案を元に造船所の連中をまとめて要塞戦列艦の改修作業に入った。


グラノヴァ唯一の貴族で主のいなくなったネブラスカ家の屋敷を接収して皇帝滞在期間中の宿泊施設として利用することにした。

母上は妊娠していると判明してからも働き続けている。

最初にやったことが母上がシャルビス帝国の皇帝の娘であることと、俺がグラノヴァで王となり建国する事を喧伝する事だった。


俺が設計した船を自ら指揮して連合王国を退けた英雄であるとか、皇帝の血を引いている事からシャルビス帝国の後ろ盾を得られることが宣伝された。

同じくして連合王国の艦隊が再度グラノヴァ侵略に現れたが、要塞戦列艦シャルビスが停泊しているのを見るや何処かに去って行った。

シャルビス帝国万歳である。


そんな事もあったせいで、グラノヴァの町の住民はシャルビス帝国の皇帝の血を引く俺が王となり建国する事に好意的だった。

実際にシャルビス帝国の威厳を体現したような超巨大な船と皇帝までいるのだから疑う者もいない。


避難民の収容先の鉱山は反射炉が建ち並び既に町の規模になっていた。

鍛冶職人や鋳造職人などはドレッドを中心に要塞戦列艦用の蒸気機関を作成したのち、今は俺が新たに設計図を書いて伝えた『高炉』の制作に取り掛かって貰っている。


骨折してから1ヶ月ほどで俺の足の骨も繋がり普通に歩けるようになった。

痛くて歩けない間は終始マルティナに付きまとわれて大変だった。

あいつは平気で服を脱がして体拭こうとしたり、トイレまでついて来るからな。

俺が歩けるようになるとなぜかマルティナにガッカリされた。

怪我が治ったのにガッカリされるとか俺にどうしろというのだ?

マルティナのアピールが最近激しく焦りのような物を感じるのは気のせいだろうか?


マルティナが処罰される心配はもう無いと言って良いだろう。

マルティナを処罰する主体であるレダイル王国の命運が風前の灯火となっている。

俺たちに敗北した連合王国の艦隊はどうやら先方だったらしく、本体と合流してレダイル大陸の北側にある侯爵領に上陸した。

何十年も戦争の無かったレダイル王国の兵は弱体化しており、連合王国の敵ではなく占領地を拡大してレダイル王都を目指しているらしい。


歩けるようになった俺は皇帝に俺が設計した蒸気船の説明を兼ねてスコーピオン級2番艦のレッドクラブに試乗してもらうと、皇帝は蒸気機関の有用性を認識したのか大変満足しているようだった。

約束通り皇帝に火薬の製法を伝えたが、材料がそろうかは帝国次第だから後のことは俺は知らん。


その後、皇帝は大型輸送蒸気船を50隻も発注してきた。

以前設計した輸送船より大きい船を求められた。

そんな船はまだ設計すらしていない状態でだったのに蒸気船の有用性を見出した皇帝の決断力は凄まじい。

俺の設計する船に対する信頼と受け取っておくことにした。

実際に完成した蒸気輸送船を全て引き渡すまでには何年もかかる大仕事だ。

これでしばらくはグラノヴァの造船業も安泰となったわけだ。


そして建国の日である今日を迎えたのである。


グラノヴァの町の広場に俺がデザインした空魚と船が特徴のグラノヴァ王国の旗が幾つも飾られ、広場の端には式典用の台座が設置されて民衆が広場から溢れるほど集まっていた。


そこで俺は演説用の台座に立ち、建国の宣言をする。見届け人はシャルビス帝国の皇帝である。


「ここにレオン・グラノヴァはグラノヴァ王国の建国を宣言する!」

「「「ワーーー!!!レオン国王バンザーイ、グラノヴァ王国バンザーイ」」」


民衆の大歓声が響く中、『グラノヴァ王国』の建国が宣言され、その場でシャルビス帝国皇帝はグラノヴァ王国の建国を承認し、国交の樹立と同盟を締結した。


その日、俺はグラノヴァ王国の初代国王、レオン・グラノヴァとなった。旧ネブラスカ男爵領の領地がグラノヴァ王国の領土だ。

恐らく世界で1番小さな王国の誕生だろう。


建国宣言の後、皇帝と俺の家族揃って会食が行われた。

終始母上や親父の昔話に花を咲かせた和やかな会食となった。

母上も父である皇帝が帰国すれば次に何時会えるかは分からないので思い残すことが無いように語っていたように思えた。


気づいたらマルティナが会食の給仕をしていた。

何処にでも平然と現れるな、あいつは一体何をしたいんだ?


そして皇帝が生まれ変わった要塞戦列艦シャルビスに乗船する。

スコーピオンに搭載した蒸気機関より一回り大きなものを12基も搭載し、スクリューは6軸も取り付けられた。


船の大きさに見合ったより大きな蒸気機関とスクリューを作るには設備から作り直す必要があり、時間がかかるための苦肉の策で数で補った結果だ。


異様を誇った多数のマストは見張り用の3本を残して全て無くなり、見た目はスマートになったが、金属板を仕込んだ防水区画が多数設置され、堅牢さと船の速度は以前とは比較にはならないほど向上している。


そして皇帝は娘である俺の母上と別れを惜しんだが、それぞれ泣くことも無く帝国へ帰って行った。距離的に簡単に会うことは出来ないが手紙のやり取りは可能である。

母上の近衛だったと言うヒルダさんは皇帝に許しを得て母上の側に居ることになった。

ヒルダさんは母上親衛隊のマッスルズをライバル視しているらしい。


グラノヴァ王国を建国はしたものの、城もないので皇帝のために利用したネブラスカ男爵家の屋敷を取り敢えず俺の居城とした。

母上が屋敷の警備にと母上の護衛をしているマッスルズを派遣してくれた。


俺はグラノヴァの王として連合王国やレダイル王国にグラノヴァ王国の建国を通達した。

レダイル王国はグラノヴァ王国の建国を認めず、即刻旧ネブラスカ男爵領を返還せよと通告してきた。

俺は返答代わりに内陸の山々に幾つかある険しい街道の国境に砦を築き封鎖するように指示した。


以外だったのは連合王国はグラノヴァ王国の建国を認めて国交を求める返答が来たことだ。

連合王国には無い大砲や蒸気機関を求めての可能性も高く油断は出来ないが、グラノヴァ王国が帝国と連合王国の販売可能な産物の輸出入するための中継地点となれればグラノヴァ王国には大きな利益となるため連合王国との貿易は進めたい。

しかしシャルビス帝国皇帝に相談する必要があるため暫くは保留とした。


そしてグラノヴァ王国の今後の基本政策を打ち出した。


まずはドレット達に頼んだ高炉が完成次第、金属製の鉄道用レールの量産体制を整える。

そして鉱山の町から山沿いに内陸側をぐるっと王都となったグラノヴァまで蒸気機関を動力とした鉄道を敷設する計画だ。

全長150kmにはなるだろうか?

レールの生産体制とレール敷設作業次第ではあるが、2~3年で完成する予定である。


これはガレリア連合王国またはレダイル王国が内陸側から攻めてくる場合の備えでもある。

敵が険しい山を超えてきても鉄道を利用して迅速に兵や物資を送るためのものだ。

平時は未開拓の土地開発のために利用する。


次に皇帝から受注した大型輸送蒸気船の設計を行った。

反射炉で制作可能な最大の大きさの蒸気機関を2基とスクリュー2基を搭載したタイプを大型輸送蒸気船の標準とし、荷物の積み下ろしのためのクレーンや、側面に荷物運搬用の開口部を作り利便性の向上にも配慮した。


以前設計した輸送船は短くしたマストを2本としたが、今回はメインの大きなマスト1本を標準としている。

マストを全て無くさないのは蒸気機関が2基共故障した場合の備えの意味もあるが、1番の理由は見張り台の設置の為である。

戦争時は少なかった海賊などの犯罪集団が平和になると軍縮で失業した傭兵や兵士等が犯罪に走り海賊や山賊になる事は良くある話だからだ。

襲撃回避のために見張り台は欠かせない。


シャルビス帝国皇帝から発注を受けた50隻の大型輸送蒸気船はこの設計した船を量産する。

なるべく早く建造して帝国との貿易を盛んにしたい。


最後は鉄道に欠かせない動力車となる蒸気機関車、輸送用の貨物車、人を乗せる客車、更には防衛用の大型圧縮砲を乗せた列車砲を設計した。


これらの計画には膨大な労働力が必要だったが、幸い労働力には困らない。

レダイル王国が連合王国に攻められたことで他の領地から戦火を逃れ難民と化した人々が険しい山を超えてグラノヴァ王国の国境に逃げ込んで来ているからだ。


レダイル王国がグラノヴァ王国の建国を認め無いため国境には砦を築いて封鎖しているが、働く意思のある難民は受け入れるように指示している。

難民の中にはレダイル王国貴族もいたが、俺は容赦なく全員捕まえて連合王国に差し出すように指示を出した。

難民となっても貴族は利権や役職などを求めてあれこれ暗躍し厄介事を引き起こすので女子供を含め逃げてくる貴族は一切受け入れないことにしたからだ。


大体、散々領民から税を取っておきながら領民を守らずに逃げてくる貴族にかける情けは俺は持ち合わせてはいない。


難民の受け入れで大きな問題も出て来た。

難民の流入が止まる気配はなく、このまま行けば近いうちに食料難に陥るのは容易に想像できたからだ。

その前に帝国から大量の食料を輸入できる体制を作らなければならないので、帝国へ納品する大型輸送蒸気船の建造を急がせているが、これは親父に全て任せているので俺は口出ししないことにしている。


これらのグラノヴァ王国の今後の基本政策を妊婦でも働き続けている母上に丸投げした俺はようやく一息つける状況になった。


それを見越したかのように1人の老婆が俺と母上に面会を求めてきた。

要件はマルティナの事だった。

その老婆はマルティナはレダイル王家の血筋であると言うのだ。詳しく聞いたが、レダイル王国が連合王国に滅ぼされそうになってる今、マルティナがレダイル王家の血筋であっだからと言ってどうにかする話でもない。


むしろマルティナの存在はややこしい立場になってしまった。

マルティナがレダイル王家の血筋であると公表すれば、連合王国に攻められて逃げ場が無くなったレダイル王国貴族がマルティナに接触してくる恐れがあるからだ。


俺も母上もマルティナがレダイル王家の血筋である事は、今は公表すべきで無いとの意見で一致した。

その老婆はネブラスカ初代当主に仕えたメイド長で、俺と母上を信用してマルティナがレダイル王家の血筋である証拠の品々を預けると言った。

もう高齢で先は長くないと悟っているのだろう。


この事を知っているのは老婆を除けば、連合王国に亡命したネブラスカ男爵と他国に流れたマルティナの母親だけだと言う。


俺と母上は老婆の願いを聞き届け、マルティナがレダイル王家の血筋である証拠の品々を預かることにした。


屋敷でメイドの様な格好で給仕をしていたマルティナを呼び老婆に会わせた。

積もる話も有るだろうから俺と母上は席を外した。


老婆が帰った後、俺と母上はマルティナを交えて今後のマルティナの立場について話し合った。


「マルティナさんあの老婆から話は聞きましたか?」

「はい、ばあやは・・・私がレダイル王家の血筋であると」

「今までは子供として保護している扱いでしたので自由に行動させて来ましたが、今後マルティナさんがどうしたいかによってこちらの扱いも変えねばならない状況になりました」


えっ!?マルティナって今まで特に決められた仕事とか無かったって事?

それなのに俺が骨折した時の世話や、皇帝との会食で給仕をしてたのか。


「私はレダイル王家の血筋だとか急に言われても困ります。モニカさん、私がここに居て迷惑になりませんか?迷惑になるならすぐに出て行きますから」

「迷惑なんかじゃないさ。俺が骨折した時なトイレまで付き添いに来たのは困ったけどな」

「もーレオン!真面目に話してるんだから茶化さないでよ!でも迷惑じゃないって言ってくれるのは素直に嬉しい」


「マルティナさんはレダイル王家の血筋と聞いて今後はどうしたいですか?王となったレオンと婚約しても問題ない血筋ですよ?レオンとの婚約を望みますか?」


あーやっぱり母上はマルティナを俺の妻にするつもりでいるのか。

マルティナはちょっと過剰な所はあるけど仕事はできるし前向きで性格も悪くない。

俺にとっても悪くない相手のようにも思えるが?


「私はレオンが好きです。こんな事になるならレオンが王になんてなる前に言っておけばよかった。私がレダイル王家の血筋と分かればそれを利用しようとする人達が出てくるのでしょう?だから悔しいですがレオンと婚約は出来ません。婚約すればきっと皆さんにご迷惑をお掛けしてしまいますから」


マルティナにハッキリ好きだと言われて悪い気はしない。

きっと俺もマルティナの事は好ましく思っていたんだろうな。

レダイル王国は滅亡寸前だ、貴族達も生き残るのに必死なはずだから、利用出来るものは子供でもなりふり構わず利用してくるだろう。


俺とマルティナが婚約したらマルティナの素性は俺達が秘密にしても何れ明るみに出るんだろうな。マルティナの血筋を知っている連合王国に亡命したネブラスカ男爵が喜ん周囲に話すかも知れない。生き残るために必死なレダイル王国貴族がいる今はとにかく時期が悪い。


「マルティナに好きだとハッキリ言われて俺も嫌な気は全くしないよ。俺もきっとマルティナの事は好きなんだと思う。でも俺はまだ子供だし、マルティナと婚約したら悪知恵の働く貴族共が群がって来ると思うんだ。守ってやると口で言うのは簡単だけど実行するのはきっと想像以上に大変だ。この前も大怪我して死にかけたからな。でもマルティナには傍に居て欲しいと思ってる。だからマルティナの気が変わらない間は俺の傍にいてくれないか?」


俺はマルティナの顔をまじまじと見るとマルティナの顔は赤かった。

以前にも何度か顔が赤かった事があったが、あれは俺に対する好意の表れだったのだろう。

そう考えると今までのマルティナの行動がイジらしく思えてくる。


「・・・れっレオンにハッキリ答えて貰えるなんて思ってもみなかったから、てっきりまた茶化されるものとばかり」

「全く酷いなマルティナは、俺はまだ6歳の子供だぞ?そんな子供に好きだと言って一体何を期待したんだ?」


「えへへっ、それはもうマルティナ好きだ!どこにも行かないでくれ!今すぐ結婚しようって言ってくれたら最高でしたけど、レオンは鈍感で船関係以外は子供ですか、またするりと逃げられると思ってました」


ほう、マルティナの中では俺はそういう認識か、そうかそうかなら俺も権力を行使しなければならないな。


「母上決めました」

「まぁまぁ、レオン?マルティナさんの事ですよね?聞いていて恥ずかしくなってくるのでそろそろレオンに決断して欲しいと思っていた所ですよ」

「レオン待って!心の準備が、スーハースーハー・・・いいわ!ひと思いに言ってちょうだい」


「マルティナ!お前は今日から俺の専属メイドだ。これは王としての命令だからな拒否権は無いぞ!」

「何でよ!!・・・あっ、えへへっ王様の命令なら仕方ないわね。いいわ!レオン王の専属メイドになってあげる!命令の撤回なんてしたら許さないんだからね!!」


あれ?何かマルティナの反応が思ってたのと違うな。茶化しつつそんなに悪い案では無いと思ったのだけど?


「レオン?言ったからにはマルティナさんを専属メイドとして迎えなさいね。王である前にあなたも子供とはいえ男なのですから二言は許しませんよ?」

「母上?それはどう言う意味ですか?」

「はぁ、レオン?あなたが負傷して帝国の巨大船で寝ているた時にマルティナさんとお父様も交えて色々話していたのですが、マルティナさんはあなたのメイドになり既成事実を作って側室にしてもらおうと企んでいたのですよ。私はまだ若いつもりなのですけど、数年もしたらお祖母ちゃんと呼ばれてしまうのかと思うと憂鬱です。私はもう知りませんから後はお二人で幸せになってくださいね」

「はいっ!モニカさん私、頑張りますね!あと5~6年もすれば成長した私の魅力でレオンなんてイチコロですから!」


俺はマルティナにとんでもない申し入れをしてしまったのかも知れない。

今は幼いから大丈夫だが、マルティナの言う通りあと5年もすれば俺は迫ってくるマルティナに抗えないかもしれない。


「はぁー、マルティナ!先に言っとくが俺はたぶんバインバインの女性が好みだと思うから、ちんちくりんの今のお前には何も感じないからな!」

「へ、へぇー言ってくれるじゃないレオン?今に見てなさい?数年もすれば私だってバインバインのナイスバディになるんだから!そしたら貴方は毎日身の危険を感じながら過ごすことになるのよ!」

「やれやれ、せいぜい期待してまってますよー。俺は仕事に戻るからマルティナもメイドの仕事がんばってねー」

「そうね!私はモニカさんのように出来る女になるんだから!ついでに女も磨いてやるわ!覚悟しなさいレオン!」


俺は手を振りながらその場を後にした。


その後、俺の専属メイドになったマルティナの行動は俺の想像を超えていた。

いや俺の認識が甘かったのだ。

朝起床すると王が自分で着替えるなどありえないと言い、俺の服を無理やり脱がせて着替えさせようとして来たり、マルティナを警戒してこっそり体を拭こうとすれば必ずどこからか現れ手伝おうと無理やり押しかけてくる始末である。


おまけに最近は俺が書類仕事とか母上と政策の話なんかしている時にヒルダに護身術だか格闘術だかを習っているらしい。

押しが強いマルティナに武術まで備わったら俺はもう抵抗も出来ないじゃん。

ヒルダさん余計なこと教えないでお願いだから。


親父は帝国のから受注した大型輸送蒸気船の建造スケジュールが立て込んでいるため前の住居だったハワード造船所で寝泊まりしており、母上も妊婦であるためあまり動かなくても良いように職場である造船組合で寝泊まりすることが多くなっていた。

もちろんヒルダも母上と一緒であるつまり屋敷には俺とマルティナと母上が用意した警備のマッスルズしかいない状態なのだ。


食事ともなれば俺一人で食事して給仕でマルティナが傍に立っている寂しい状況となることが多く、耐えかねた俺が命令してマルティナも一緒に食事をとるようにさせた。

寝る前の寝間着に着替える際も無理やり着替えさせられるし、どこへ行くにも専属メイドですからといってマルティナが付いて来た。

周りを見れば護衛の上半身筋肉のマッスルズが目に入る。

これが俺の日常となって行った。


こうしてグラノヴァ王国を建国し初代の王となった俺こと、レオン・グラノヴァの目まぐるしい生活の日々が始まったのである。


だが俺は忘れてはいない、俺の夢は空を飛ぶ船を造ることだ。

王になったのも好き勝手研究したり開発したりする環境を整えるためだ。

これから俺の新しい船造りが始まるのだ!


たぶん・・・


第1部 == 終幕 ==


書き溜めてた分はこれで終わりです。

ここまで読んで頂いた方ありがとうございました。


明日は第一部の登場人物、用語まとめとワールドマップの簡単な挿絵を入れたまとめを投稿します。


第2部はゆっくり書いてます。

2年後のグラノヴァ王国の内政編、成長したレオンとマルティナ、近衛騎士のヒルダさん、マルティナのライバルも登場!?を予定しています。


書き終わったらまた投稿してみようと思います。

4月中に書けたらいいなぁ


良かったらブックマークでもどうぞ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ