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つくりたいだけなのに  作者: なちゅね
第一章
14/25

第14話 俺の船達には筋肉が必須だった!?

筋肉と語らおう

俺たちがスコーピオンの処女航海に出てから3日後、無事スコーピオン級2番艦と3番艦が完成した。


2番艦艦名「レッドクラブ」、3番艦艦名「イエロークラブ」と命名し、進水式を無事迎えたのである。


これで建造予定の3隻全てが完成し、乗員を振り分けて3隻そろって初めての艦隊運動の訓練を行うことになったのである。


====================

1番艦:スコーピオン

 乗員:レオン、マルティナ

    マッスルズ:ガリガーノ、他9名

    漁師:6名

2番艦:レッドクラブ

 乗員:ハワード

    マッスルズ:10名

    漁師:6名

3番艦:イエロークラブ

 乗員:マッスルズ:10名

    漁師:ウッズ、ミレー、他5名

====================


スコーピオンの処女航海にて蒸気機関や、圧縮砲、舵やスクリュー、伝声管の扱い方などの操作説明と実際に圧縮砲などを海上で試射させたりと一通り終わった後、希望者を班分けして各員の担当を決めた。


しかし3隻そろっての艦隊運動の訓中に問題が発覚したのである。


「通信手!後続に手旗信号で左90度一斉回頭を指示!」

「了解しました!」


通信担当に任命した人が後方へ駆けて行き手旗信号で手早く連絡する。

後続のレッドクラブのマストの上の見張り員がそれを読み取り艦橋に伝声管で伝え、さらに後続のイエロークラブへ手旗信号で連絡する。


「マルティナ左90度回頭開始!」

「了解よレオン!」


マルティナには操舵手をやって貰っている。

力仕事は無理だし、外は危ないからなるべく中の仕事で出来そうなのが操舵手だったのである。

ただ舵輪まで身長が足りなかったので専用の踏み台付きだ。


マルティナが舵輪を勢い良く何周も左に回すとスコーピオンの船体が右に傾き始め船首は左に回頭し始める。回頭半ばでマルティナは今度は舵輪を勢い良く右に回し始めて、船が左90度に回頭すると船体の傾きは水平に戻り、スコーピオンは真っ直ぐ進んでいる。


「マルティナ、完璧な操舵だったぞ!」

「マルティナの姉御!お見事でした」

「えへへっ、もうこの船は私の体の一部も同然よ!」


さて後続艦はどんな感じかなっと・・・


「おいいっーー!!!レッドクラブが反対方向に行ってるぞ!イエロークラブは停船してるじゃないか! 通信手!集合の信号旗上げて!手旗信号でも集合するように連絡!」

「了解!」


しかしいくらやってもダメだった。

手旗信号のミス、と読み取る見張り員の見間違い、後続へ伝える際に同様のミスが伝わり結果としておかしな連絡が伝わってしまう。


この短期間に覚えるがそもそも無理があった。

手旗信号を作った俺も覚えていないのは秘密だ。

知識として手旗信号があるのは分かるけど自分で適当に新しく作った手旗信号の内容は覚えていないのだ。


マストに色の着いた信号旗の組み合わせで簡単な指示は出せるが細かな指示は無理だ。

連合王国の艦隊は数が多いはずだが、こっちは3隻しかいない。


相手の進路を見て素早く舵を切り風上に回り込んで圧縮砲を叩き込む基本戦術を行うには3隻の一糸乱れぬ行動は必須事項なのだ。


バラバラに動いて囲まれて白兵戦に持ち込まれでもしたら同士討ちの可能性もあるから砲撃出来なくなるし、圧縮砲の搭載弾数にも限りがある。


こちらが1隻でも減ったら数が多い相手に先に全弾撃ち尽して弾切れにでもなれば見てるだけになってしまう。

何としても確実な連絡手段が必要だった。


「マルティナさんや何か良い連絡手段はないかねぇ?」

「突然変な口調でどうしたのレオン?でもそうねぇ、紙に書くなり板に書くなりしたらどう?ちなみに私は手旗信号全部覚えたわよ!」


マジかー!流石はマルティナ、あの俺が適当に書いた手旗信号覚えたのか。

7歳にして商業ギルドの受付嬢やってただけの事はあるなぁ。

でもホントかな?ちょっと試してみよう。


「マルティナはこの短期間に本当に手旗信号覚えたの?」

「何よレオン?疑ってるの?ならやってあげるわ。私が手旗信号で何て言ったか当ててみなさい!」


しまった!俺が手旗信号覚えてないのバレるやつじゃないか!


「マルティナちょとまっ」


言い終わる間もなくマルティナは手旗信号でパタバタやり始めてしまった。

一生懸命両手をパタパタさせてるマルティナを見てたらなんか笑えてくる。

そして動き終わると動いたせいか何かマルティナの顔が赤い。


「さぁ答えてレオン?」


不味い!全然わからん。

どうするか、ここはマルティナをからかってウヤムヤにしてしまうしかないな。

よしそれで行こう。


「大好きです。結婚してくださいだろ?」


「なっ!、そこまで言ってないわよ!?」

「へっ!?」


何?そこまでって何?なんて言ったの?


俺とマルティナはお互い首を傾げている。


「あっ!さてはレオン!!あなた手旗信号覚えてないわね!!」


ヤバい、バレた。ここは先手必勝!すかさず俺はマルティナに土下座する。


「申し訳ありませんマルティナ様!その通りでございます。自分で手旗信号作っておきながら全く分かりません。大変申し訳ございません」

「ちょっ、ちょっとレオンみっともないからやめなさいよ!」


どうやら許してくれたようだ。でも本当に許してくれたのかな??チラッ、チラッと上を見ると白いものが見えた。


それは俺を起こそうとしゃがんだマルティナの物だった。


「・・・」

「・・・レオン?」


俺は起き上がり、何事も無かった顔で話の続きを再開する。


「で、連絡手段の話に戻るけど、他には紙と板だったな」


危なかった。マルティナのを見てしまったら殴られるお約束のパターン回避に成功した!!これは歴史に残る偉業に違いない。


「紙だと文字が小さくて少し離れたら見えないし、板も同じだよ。雨なんて降られたらまず見えない」

「・・・もうっ!・・・じゃあ大声で叫んだらどうかしら?」


どうやらマルティナも流してくれたようだ。

俺は勝った。運命に完全勝利だ。


「声だって波の音だったり、圧縮砲撃ったら聞こえないしなぁ、まだ紙に書いた方がマシだよなぁ」

「あっしらなら組長の護衛の時に不審者見つけたら合図して取り押さえたりしてるんですがねぇ」


「母上の護衛ってマッスルズはいつもそんな事してるの?」

「組長はああ見えて敵が多いんでさぁ。借金取りに追われた連中や、汚いやり方で仕事を奪っていく大きな造船所に困っていたあっしらのような弱小造船所の連中を集めて、組長は仕事を与えて助けてくれたんでさぁ」


「母上が造船所組合作ったのは知ってたけど、そうやって出来たんだなぁ」

「流石はモニカさんですね。私もカッコイイ女性に人になりたいです」


「まぁそんな訳で組長は金貸しや仕事を奪われた所なんかに恨まれてたりするんですわ。だからあっしらがが恩返しに守って差し上げようと組長親衛隊マッスルズを組織して日々体を鍛えているんでさぁ。むきっ!」


ガリガーノがマッスルポーズはキメると船首にいたいたマッスルズの人がむきっ!とマッスルポーズを返す。ん?


「ガリガーノ、今船首にいたやつに何か指示したのか?」

「へい若頭!若頭が見てるから挨拶しろと合図しましたぜ?」


え?なにそれすごくない?今の『むきっ!』にそれだけの情報量あったの?ハンドサインよりすごくない??


「ガリガーノ、もうちょっと複雑な指示とか出せるのか?」

「勿論でさぁ。例えば3回まわってジャンプとか、ムキッ、ふんぬっ!ピクピク」


すると船首のマッスルズの男が3回まわってジャンプして決めポーズをキメた。


「おおー!凄いな!これなら行けるんじゃないか?」

「ええっこれなら行けるわよレオン!」

「ガリガーノ!持ち場の変更だ!各艦見張り台にはマッスルズ1名と目のいい漁師1名体制にするぞ!」


こうして後に伝説となるマッスル通信が誕生した。


しかしマッスル通信には欠点もあった。

何故か筋肉に否定的な言葉は誤って伝わるのである。

訓練航海から帰ったあと港でマッスル通信の信頼度を調べた。


肥満最高ーが筋肉最高ーと伝わり、二の腕ぷにぷにが二の腕ガチガチに誤って伝わってしまうのだ。だが艦隊運用に必要な単語は誤らずに伝わる事が確認された。


多少の筋肉賛美のは些細な問題でしか無かった。

こうして船同士の通信手段の問題は見事に解決されたのである。


マルティナとの家への帰り道、俺は思ったことを口にした。


「なぁマルティナ?、俺ももっと筋肉つけた方がいいとお思うか?」

「えっ?ええっ、筋肉ダルマは嫌だけどほどほどに筋肉ある方が私は好きよ?」

「そうかー、・・・俺も筋肉付けようかなぁ」


マッスルズの認識を俺は改めていた。あいつらはすごい奴らだ。守りたい人のためにひたすら鍛え、仲間同士で高めあった結果、筋肉で会話という人智を超えた技を会得したのだ。


あれっ?マルティナがいない?なぜかマルティナが立ち止まっている。


「おーいどうしたマルティナ?置いてくぞーー?」


評価?むきっムキッピクピクふんぬぅ!

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