93話 魔法の理論を学ぼう
「さて、魔法について学んでいくわけだけど。まずは、魔力をくわしく説明していこうか。」
「お願いします。」
「まず、魔法を使うためには、魔力が必要だ。魔法の元である魔力は、いろんなものに宿っているわけだけど、魔力を取り入れる方法は、大きく分けると二種類。大気中に存在する魔力を集める集束法と、体内で魔力を作る生成法。そして、魔法を初めて学ぶ人が、一番初めにやること、それが生成法の習得だね」
集束法と生成法。
なんか大学の座学を受けている気分だ。
「まずは、生成法の説明をしようか。」
アルバートさん曰く、体の中には誰しも「気」というものが流れていて、それを魔力に変換することを生成法というらしい。
「生成法は、自分の体内にある気を使うから、理論上、誰もが習得可能なんだ。そして、気を練るということは、本人の感覚によるものだから、やらないと衰えていく。生成法は、努力次第で何とかなるものと言われているね。」
使わないと衰えていく…
もしかして、地球では、魔法を使う文化がないため、魔力を作り出すことがない。だから、その感覚は、衰えていってしまったということかな。
地球でも、気を練るという言葉はあったし。
「魔法は、身体的能力と潜在的能力に分けることができるんだけど、生成法で作られた魔力はよく、身体的能力の方に使われることが多い。」
「身体的能力…体の強化ですか?」
「体を強化する、正解だ。魔力を体の一部に集めると、その場の機能が上昇する。目に集めると、遠くが見えるようになるとかね。いわば、感覚を鋭くする身体能力向上。他にも、体内の魔力を活性化させる、自己治癒。自分の体を変化させる変身や擬態なんかも、こっちの方法でやることが多い。」
「ミシュティの人たちは、体内の魔力を活性化させて寿命を延ばすことに秀でていた。そして、別の物質と自分たちの魔力を繋ぐのも異常にうまかったな。」
なるほどね。
ということは、ミシュティの人達は、体内の魔力操作、生成法に秀でていたということか。
メルも、攻撃系は苦手で補助系は得意だと言っていたな。
「先に、もう一つの集束法の説明をしてしまおうかな。集束法は、大気中に漂っている魔力を集めることで、魔法を使う。攻撃系統や、膨大な魔力を使うものは、たいがい集束法が使われることが多い。ただしこれは、大気の魔力を感じ取り、集める技術が必要だから生成法より難しい。」
「集束法で身体変化をしたり、生成法で攻撃をしたりしないんですか?」
「しないこともないけど、生成法は自分の体内の気を利用するだろう。魔力を大量に生成できる人もいるけど、使いすぎると疲れるし、体に影響が出るんだ。最悪の場合、行動不能になってしまうしね。」
えぇ…。
諸刃の剣すぎでは?
「だから、自分で気を練れる量を増やすために、体を鍛えたりするんだよ。そして、もっと大きい魔法を使いたい人は、おのずと集束法を身に着けようとする。」
「そうだね。生成法は魔法の基礎、集束法は魔法の応用という感じだ。」
私の顔が引きつったのを見て、ネロが補足し、アルバートさんはそれに同意した。
基礎と応用。
分かりやすい。
「ということで、チヒロには、まず生成法からチャレンジしてもらうよ。」
ここから、魔法の実践。
楽しみだ。
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