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905話 今日の運勢は七位くらいだったのに…


「それで、サークルをやめる理由は?」

「サークルよりも他にやりたいことが出来ました。なので、やめます。」

「なんだよ。やりたい事って。」

「やりたいことは、社会経験を積むことです。言っちゃえば、就職活動を早い段階からやりたいんです。そして、その合間に、取れる資格を取っちゃいたいんですよ。いくら時間があっても足りません。だから、サークルをやめるんです。」


私がこの人を責めることはしない。

だって、恋愛は二人でするものだから。

まぁ、私は浮気相手でしたけど。

まんまとハマって、恋愛にどっぷりつかった人ですけど。

この人に何かの感情を向けるのも、面倒だ。

私の怒りも、悲しみも、好意も、嫌悪も、私の感情のすべて、私の心が動く人たちに、向けたい。


「じゃあ、なんで、連絡がつかなかったんだよ。普通の先輩後輩に戻るって話だったよな。」

「先輩。普通の先輩後輩の関係で、家庭の事情を細かく説明する訳ないじゃないですか。ただの先輩ですよ?親密な中でもあるまいし。そもそも、今回の事を知っていたのは、会長くらいです。仲のいい友達にも話すタイミングがなかったのに、普通の先輩に話すことがあると思いますか?なので、先輩のせいではないですよ。安心してください。」


人間関係の問題ですから。


「おいおい…吹っ切れすぎじゃないか?」

「会長が心配そうにかばおうとしてくれるから、私の気持ちをちゃんと表明しておこうと思って。」


会長、いまだに顔が引きつっていますよ。


「怒っているんじゃないのか?」

「なぜ?あの人だけが悪かった訳じゃないでしょ。私も、あの人との恋愛にしっかり夢中になっていましたし、そこは自己責任ですって。」

「あの時、そんなふうに言っていなかったよな?」

「それは、あの時は、進行形で辛かったですし。」


それに大変だったし。


「千紘。お前、俺の事、大切だって言っただろ?それに、約束も守るって言っただろ?」


えっと?


「約束は、きっちり守ったはずですよ?私からは、振らない。先輩が私を振ったんじゃないですか。他の女の子から、守ってほしいというのも、守っていましたし。でも、その役目は、私じゃないですよね?それは、今の人に頼んでください。」


なんで、約束を守るという言葉でも、こんなに違うように聞こえるんだろう。


「ね?先輩。私と先輩は、普通の先輩後輩の関係ですよ。」

「元恋人だろ。」

「いいえ。それは付き合っている人に失礼です。もう終わっている物に、元という言葉だとしても、恋人はなしです。」


元恋人なんて、話題に出ていい事なんて、一つもないから。

それで私は大変だったので、絶対に、元カノの一員になりたくない。

それだけは、絶対に嫌だ。


「だから普通に仲よくすればいいだろ?」

「だから、もうすでに、これが私の普通ですから。」


これが今、私と先輩の普通ですよ。

じゃないと、気にする人もいるでしょう。

私も、元恋人という存在は、凄い気になったので。


「あれ、先輩たち、こんな所で何をしているんですかぁー?って、千紘先輩も。」


ほらぁ。

来たぞ。

先輩の事が大好きな後輩ちゃんが。

思わず、苦笑いである。


「会長、もしかして呼びました?」

「呼ぶわけがないだろ。」


ですよね。


「だったら、会長の今日の運勢は、十二位ですね。」

「それは、有間じゃないかな?」


私は、今日の運勢、七位くらいだった気がするから。

別に良くもないけれど、悪くもない普通のラインだったから。

さすがにこうなると、ちょっと話が違ってくるので。


「もしかして、三人で大事な話でもしていたんですかぁ?」


いや、大事な話をしていたのは、私と会長ですね。


「会長に用事があって、話していただけだよ。先輩は、その後にたまたま学食で会ったんだよ。ね、会長。」

「あぁ、そうだね。」

「話も終わりましたし、私は、学生部に用がありますので、ここで失礼します。」

「あ、俺も、学生部に用があるから、ついて行こうかな。」


会長から置いていくな…という視線を感じる。


「あ、待てって。」

「何ですか?先輩。」


引き止めるな。

後ろの後輩ちゃんに気付いて。

顔が怖いから。


「もう、行っても大丈夫ですか?」


黙ったままの先輩。


「あぁ…言いたかったことがあるんです。」

「言いたかったこと?」

「ご迷惑をかけて、すみませんでした。そして、ありがとうございました、先輩。」


先輩のおかげで、いい経験出来たよ。

そして、いい出会いがあったよ。

辛かったこともあったけれど、その後に、何倍もいい事があったよ。

だから、ありがとうって言いたかったんです。


「それでは、失礼します。」


そうして、その場から私と会長は、離れた。

その後、結局、お互い学生部になんて行かずに、大学入口の方まで向かい、そのままお互いの帰路についた。

ちゃんと笑えていただろうか?

最後の最後まで、先輩がどう感じて、どう思っているか分からなかったなぁ。

でも、言いたいことは、言えたのかなって。

読んでいただき、ありがとうございます!


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