904話 久しぶりの再会は、相変わらずでした
会長が、ものすごく気まずそうにしているのが分かる。
会長、もう少し表情を作ってください。
明らかに、気まずいです…という、顔をしないでください。
そしてなぜ、会長が一番気まずそうな顔をしているんですか。
「お前、なんでここに?」
会長が、先輩に問いかける。
「なんで、って。そりゃ学食なんだから、食べに来た、に決まっているでしょ。」
いや、その通りだよね。
「あぁ、そうか。じゃあ、俺たちもう食べ終わったから、先に行くよ。」
会長、惜しいです。
私は、あと少し残っていました。
「そんなにあからさまに避ける?」
ほらー。
そりゃ、そうなるって。
だって、まだ残っているんだもの。
「で?何の話していたのさ?俺に聞かれたくない話?」
会長は、戦闘不能だ。
仕方がない。
「いえ、違います。今日は、サークルについての話を、会長としていました。」
「サークル?そういえば、ここにいるって事は、大学は復帰?それなら、サークルも復帰するって事だよな。またよろしく。」
「大学は復帰しますが、サークルは、復帰しません。さっきまでサークルを退会する話をしていたんです。」
すると、先輩の顔から笑みがスッと消える。
「なに?なんで?俺と別れた当てつけ?」
「おい、何言っているんだ。」
会長の言葉を無視して、先輩が鼻で笑う。
「俺と別れたタイミングで、連絡がつかなくなって、その後は、サークルに急に来なくなった。俺の気を引こうとしたあげく、今度はサークルをやめるって何?」
「だから、そんな言い方ないだろう。」
「会長、大丈夫です。」
私が会長を止めると、先輩の顔がこわばった。
会長の言っていた、相変わらずという所は、本当に相変わらずだった。
「だいたい、なんで俺が、千紘と別れて、サークルに行くのを気まずくならないといけない訳?お互い納得して、別れただろ?千紘もいいって言っただろ?別れても、普通の先輩後輩として、今後もやっていくって。」
確かに言ったよ。
言った。
別れても、普通の先輩後輩として、やっていくと言った。
「それなのに、連絡はつかなくなる。サークルも来なくなる。大学も来なくなる。俺のせいなのか?俺のせいにしたいって事か?」
このまま、黙っていてもいいんだけど。
会長の顔もひきつってきているし、ちょっとストップをかけた方がいいかな。
「あの、先輩。なんで、私が先輩の影響で、好きだったサークルをやめないといけないんでしょうか?」
「は?そうとしか見えないじゃん?状況がそうだよな。」
「そうですね。確かに、別れた後、すぐに大学やサークルに来なくなれば、そう言われることもありますよね。それが先輩は嫌だったのであれば、謝ります。」
もしかしたら、何か言われたのかもしれない。
ここまで神経質になられたら、こっちも困る。
「なに?誤解をしている奴らに、説明でもしてくれるの?俺と、千紘が休んでいた事は、無関係だって。」
「説明してもいいですけど、誰に説明すればいいんですか?」
「だから、誤解をしているやつ。」
「だから、それは、どこの誰ですか?」
具体的に誰なのか言えるのかな?
そうなら、説明すること自体は、別にいいんだけど。
「先輩も誤解している様なので言いますが、私がしばらく大学に来ていなかった理由は、先輩とは無関係です。」
まぁ、全くの無関係ではないにしろ、私はとにかく疲れていて、私の存在を知らない場所に行きたかったのだ。
そうしたら、異世界に飛んだ。
ただそれだけ。
先輩が原因で、大学に来なくなったわけじゃない。
これはちゃんと説明をする必要があるかな。
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