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897話 夢じゃ無かったよね?現実だよね


目の前から、ネロ達が消えて、暗闇の中へ。

光の方へ歩いていき、光の外へと出ると、そこは私の部屋。

戻って来てしまった。

取りあえず、自分の部屋に戻ると、異世界へと繋がっていたゲートがそのまま閉じた。

これって、以前も閉じたよね。

大丈夫だよね。

どうやって帰るの?って、ネロと話をしたもんね。


「これちゃんと帰れるよね、ネロ…」


…はい。

そうでした。

隣には、ネロがいません。

いつも、旅行先にネロがいたんですけどねぇ。

閉じた壁を見つめながら、ふと不安になってきた。

…これ、夢じゃないよね。

異世界に行ったことも含めて、夢だったとか、ないよね。

長い、長い夢を見ていたという事は…

さすがにないよね。

さすがにない。

この長い半年間を、夢にするには、あまりにも多くのことがありすぎた。

そして、傷も深すぎた。

大学、半年分の単位が持っていかれているからね。

でもさぁ。

こうも、いままでと違い過ぎると…

不安になりだすと、どんどんと押し寄せてくる不安。


「はっ!デバイス。」


デバイスを確認してみればいいんだよね。

アルバートさんとフェリシアさんに改造してもらった、携帯電話。

異世界で出会った人たちの存在や、異世界で行った場所の風景、それからコスモスで過ごした日常。

デバイスの中を見ると、異世界に居たことを証明するものがたくさん入っていた。


「夢じゃない。」


はぁ、絶対に夢じゃないと分かっていても、こういう物があると安心できる。

それに、持って帰って来た荷物を確認すると、異世界で作った両親のお土産、異世界で生活していた時に使っていたもの、異世界のお土産品、そして、ネロ人形。

カバンの中にも溢れている。


「異世界から帰って来たとたんに、これとか…」


二年半、持つのか?

こっちに帰って来て、最初に実感することが、隣にネロがいない事。

…コスモスでは、大体ネロがいたからさぁ。

私、絶対に何げなく、ネロに話しかけたりしちゃうよ。

そうしたら、独り言を言っている怖い奴にならない?


「さっそく、ホームシックだよ。」


元々のホームは、地球なんですけどね。


「そうだ。お母さんとお父さんにメッセージを入れておかないと。」


異世界の思い出が詰まったデバイスで、今度は地球への連絡をする。

家族メッセージに…


千紘

お父様、お母様。

ただいま、千紘は地球へと帰ってきました。

大学後期から、こっちで生活をし、大学へしっかりと通うつもりです。

あと少しで、大学が始まるため、今日から、大学に行く準備をしたいと思います。

また、こっちで生活をするので、仕事等も探していきたいと思います。


P・S

お土産はちゃんと持って帰って来たので、宅配便で送ろうと思います。

何だと思いますか?

正解は、異世界産のおまもりみたいな物です。

異世界産と聞くだけで、ちょっとご利益がありそうでしょ?

ちなみに、異世界産だけど、生産者は千紘なので、そこのところ、よろしく。


…これでいいかな。

デバイスを閉じて、もう一度部屋の中を見回した。

久しぶりに帰ってきた訳でもないのに、妙に懐かしく感じるというか。

自分の部屋が、いつもよりも静かに感じる。


「はぁぁぁぁぁ。」


私は、大きなため息を一度ついた。

切り替えるぞ。

まずは、大学のためにコマ選択をしなくてはいけない。

それから、サークルの方にも、連絡を入れないといけないな。

サークルという事は、またあの場所に戻る訳だけど。


『俺の事を忘れるな。』


そして、ネロに噛まれた鼻を撫でる。

そう言えば、歯形が付いていると言われていたけど、実際どうなんだろう。


「鏡…鏡…」


引き出しにしまってある鏡を出して、自分の顔を覗き込んだ。


「え?」


そして、思った以上にしっかりと付いた歯形に、驚いてしまった。

歯形、凄いな…

でも、今は、これもネロと過ごした証明になる。


「忘れないよ。忘れられるわけがないじゃん。」


あんなにたくさんの日々を過ごして、私の心を掻っ攫っていったというのに、どうやって忘れろというのだ。


「さて、頑張りますか。」


決意を新たに、私は、パソコンへと向き直った。

この、噛み跡、しばらく残るかなぁ。

読んでいただき、ありがとうございます!


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