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87話 私だけ場違いでは?


会議室の中に入ると、大きい楕円形のテーブルに椅子が6個置かれている。

アルバートさん、アスガルさん、オーロックさん、ジェフティさん、フェリシアさん、私。

椅子が一つ足りないし、ネロは私の膝の上だな。

ネロを捕まえて、私は椅子に座る。

それぞれが椅子に座ったことを確認し、アルバートさんは、ジェフティさんを見た。


「今回、集まってもらったのは、前、話をしたアーカイブの不正アクセスについてです。」


あー

そんなこともあったな。

というか、それのおかげで、私はコスモスに転移して、しかも帰れなくなったんだよな…。

頭の片隅くらいにはとどめておかなくてはいけない情報だったのでは?

まぁ、思い出したしいいか。


「前回、話を聞いたメンバーには、伝えてた方がいいと思ってね。」


なるほど、アスガルさんが集めたのか。

確かに、ジェフティさんが、このメンバーを全員呼び出すのは、不自然だと思ったんだよね。

ジェフティさんなら、一人ひとり、説明に回りそう。


「前回、話をしたように、部下が慌てて何かしていたのを見たので、その部下たちに話を聞こうとしたのですが、その部下たちは、姿を消していました。」


ん?

いなくなっちゃったの?


「姿を消していたということは、原因は分かっていないということですよね?」

「原因が分からないことも問題だが、もしかしたらミスではなかった可能性があるっていうことだろ?」


フェリシアさんとネロが、ジェフティさんに問いかけると、ジェフティさんは首を縦に振る。


「しかも、部下が数名いなくなったことにより、今回のことは事故ではなく、故意である可能性が出てきました。」

「故意に閲覧禁止であるアーカイブを覗こうとしたのであれば、これは問題行動だよね。しかも、アーカイブのシステムが落ちて、イブに切り替わってしまうくらい悪質だったわけだし。」


ちょっと待て。

確かに私は、それに巻き込まれてコスモスに来たけど、この話し合い、私、場違いでは?

しかも、重要そうな話が、めちゃくちゃ出ているよ。


「中途半端な情報は、疑心を生む。ということで、さっきも言ったけど、前回いたメンバーには、話をしておいた方がいいと思ったんだ。」


私が戸惑っていることに気が付き、アスガルさんはフォローを入れてくれる。

でも、それって…


「チヒロ、何か言いたいことはあるかい?」

「複数人の部下がいなくなってしまったということは、仲間がいた可能性が高いということでは。この中に、その人たちの仲間がいるとは、疑わなかったのですか?」

「それはないよ」


なんで、そんなに言い切れるのだろうか?


「僕には、噓を見抜く目があるからさ。」


へ?

嘘を見抜く目?


「そんな言い方をしても伝わらないだろ。アスガルは、種族が持っている固有の能力があってね。こいつは、千里眼を持っているんだ。」


種族の固有能力?

アスガルさん、人族じゃないんだ。

というか、千里眼!


「ちょっと、アルバート。勝手に僕の話をするの、やめてくれないかな?」

「お前の言い方だと話が進まないから仕方ないだろう。」

「まったく。そういうわけで、僕に嘘は通じないんだ。」

「アスガルさんより強い奴や、目を防ぐ手段を持っている人なら別ですけどね。」

「ジェフティ、お前も言うようになったね。」


アスガルさん、目が笑っていません。


「というわけで、ここにいるチヒロ以外のメンバーは、僕がそういう力を持っていると知っている。もし、不正アクセス者の仲間だとしたら、そのことを隠そうとするはずだから、気が付ける。そして、チヒロは、今回の件で巻き込まれてきている。仲間なはずがないということで、話しても大丈夫だと判断したんだ。納得してもらえたかな?」

「はい」


「そしてこれは、ここにいる皆に言うことだけど、不正アクセスの件でそういう風に動いている奴らがいるということ、これから、そういう奴らがまた出るかもしれないということを知っていてほしい。」


アスガルさん…

この人、目だけに頼っているみたいな言い方してたけど、そんなことないんだろうな。

言葉の端々に信頼と気遣いが伺える。

さすが、花形の観光部で部長という肩書を背負っているだけのことはあるな。


こうして、注意喚起みたいな感じで、今回の話は終わった。

それにしても、アスガルさん、オーロックさん、ジェフティさん、三人ともいるし、お土産渡せるなって思っていたけど、こんな話の後じゃ難しいかな。


「チヒロ。話し終わったみたいだし、アスガルたちに渡さなくていいの?」


え?

アルバートさんのキラーパス。

もしかして、私がお土産を渡せるように、この場にこの三人を呼んでくれた?


「なんだい?」

「渡したいものか?」

「なんでしょう?」


三人も興味を示してくれたのか、ぐいぐいと聞いてくる。


「初仕事で、旅行に行ってきたんですけど、良かったらお土産貰ってくれませんか!」


私は、勢いよく三人に向かって叫んだ。

その様子を、アルバートさんとフェリシアさんは、ニコニコしながら見守ってくれていた。

もちろんネロは、鼻で笑っていたけど。

読んでいただき、おめでとうございます!


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