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874話 縛られるのも悪くはないと言ったけど、そうじゃない


私は、企画宣伝課の皆に囲まれながら、なんとか説明を終える。

肩身の狭い思いをしながら…


「なるほどね。後一週間くらいで、ティエラに戻ると。」

「それなのに、俺らには、まだ教えてくれなかったわけだ。」

「もしかしてそのまま帰るつもりだった…なんて言わないでしょうね?」


こ、こわいいい。

顔のいい集団に囲まれて、圧迫面接なんて、聞いてない。

…でも、ここで顔の良さを気にできる、自分の能天気さも、どうかと思うが。


「いや、ちゃんとお伝えするつもりでした。アルバートさんにも、ネロにも話をさせて貰いましたし。」

「俺は、話すしかない…という状況を、俺が作ったからだよね。」


その通りですね。

次の仕事が、どうしてもできないので、仕事を受ける訳にいかなったからですね。


「俺は、俺を追いかけてきて、チヒロが勝手に話し出したんだ。」


えぇ?

そういう言い方なの?

勝手にじゃないでしょ。

ネロが飛び出していったから、説明をさせてと言っただけだよね?

…味方がいない。

私の味方はどこ?


「チヒロ。」

「大丈夫?」


アンジュ君とアンヘル君は、私の癒しかもしれない。


「チヒロが、帰っちゃうのかぁ…そっかぁ。どうする、アンヘル。」

「うーん。帰れない様に、手足を縛っちゃう?アンジュ?」


怖いって。

天使がしていい顔じゃないって。

病み落ちしているって。


「アンジュ君、アンヘル君?落ち着いて?」


私は、帰ってくるつもりでいるんだけど…

二年半したら帰ってくるよ?


「チヒロが大学…」

「大学が無くなればいいの?」


いやいや。

ダメだから。


「あら、ゲートが無くなればいいんじゃない?」


えぇ?

そんなことしたら、皆も地球に行けなくなるけども?

貴重な異世界の道をなくすことになるよ?

私だけのために。


「じゃあ、チヒロに新しい異世界をあてがって、そっちに行ってもらうとか。」


それじゃあ、結局、皆と離れることに変わりわないと思うんだけど。


「チヒロ、俺は理解したかもしれない。」

「…なにかな?ネロ君。」


このタイミングの理解は、私にとっていい事なのかな?


「こういう時に、使うといいんじゃないか?」

「何を?」

「首輪や、手錠。」


…違うね。

用途はあっているかもしれないけど、私はネックレスやブレスレットのモノの例えに、首輪や手錠と言っただけだ。

実際に首輪や手錠をプレゼントしたら、貰った方は、どうしたらいいか分からなくなっちゃうよ?


「ちなみに、ネックレスや、ブレスレットをくれるという事でいいのかな?」

「あんなのじゃ、縛れないだろ。縛るなら、徹底的に。首輪や手錠だ。ぬるいんだよ。」


ネロは何を言っているの?

疲れているの?

ネックレスも、ブレスレットも物理的に縛るためのものじゃないんだよ。

精神的に、君と繋がっているよ…くらいでいいの。

おそらく。

それに、ネロさんは、さっき私が決めたことには、納得する…みたいな事、言っていたよね?

ニヤニヤしやがって。

悪ノリしているでしょ。

ふわりと飛んできて、ネロが私の肩に着地する。


「ちょっと、ネロのせいで、おかしな方向に話が行っちゃったと思うんだけど。」

「おかしくないだろ?それに縛るかどうかを言い出したのは、あの天使たちだろ?」

「そうだけど、悪ノリしたのは、ネロだよね?」


ネロが、首輪だ、手錠だを言い出さなければ。


「俺に縛られるのはいいって、言っていたじゃないか。」


それ、約束の話だよね?


「物理的な話なの?」

「約束は、物理的に縛るぞ?」

「精神的に縛られるでしょ。」

「じゃあ、物理でも縛る…だな。」


間違いないわ。

そうですね。

その通りです。


「チヒロ?チヒロはどれがいい?」

「チヒロが付けるから、チヒロが選んだ方がいいよね?」


アンジュ君、アンヘル君?

つけないよ?

つけない。


「まぁまぁ、チヒロを揶揄うのは、そこまでにして。」


今まで放置していた私も私ですが、これはアルバートさんがまいた種ですが?

皆が私の方を見ている。


「大学卒業して、またこっちに帰ってきます。その時は、また、よろしくお願いします。」


…やっと、ちゃんと伝えられた気がする。

それぞれ私の頭や肩をポンと叩いて、自分の席に戻っていく。

アンジュ君とアンヘル君も、私の手をぎゅっと握って、ふわりと笑い離れて行った。

う…泣きそう。


「良かったな。」

「うん。」


そして、ネロも私の頬をそっと撫でて、離れて行った。

あーあ。

今からでも、地球に帰ると言ったことを、撤回したい気分になる。

まったく…ここに居たいよ。

居心地が良すぎる空間というのも、考え物だなぁ。

私は、目に溜まった水分が零れ落ちる前に、手で振り払い、自分の席に戻った。

読んでいただき、ありがとうございます!


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