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873話 タイミングを逃すと後悔するみたいだ


オフィス前まで戻って来て、扉の前で立ち止まる。


「ねぇ、やっぱり休憩時間、貰い過ぎたんじゃない?」

「そんなことないだろ…」


いや、そんな事あるでしょ。


「ちゃんと謝らないと。」

「謝る前にチヒロは言うことがあるだろ?」

「言う事?」


休憩時間を貰い過ぎてごめんなさい…以上に、言う事って、なんだ?


「お前、本気か?」

「いや、まずは仕事サボってごめんなさいでしょうが。」

「いや、お前の場合は、あと少しで私、地球に帰ります、だろうが。」


あぁ…

それですか。


「お前、俺と言い合いになったのを、もう忘れたのか?さっきだぞ?」

「忘れていないけどさ。でも…」

「でもじゃないだろ。今を逃したら、地球に帰る当日まで、言うタイミングがなかった…と言いそうだな。」


そこまでじゃないでしょ。

…そこまでじゃないはず。


「いや、タイミングを見計らって言うつもりだけど?」

「俺の時は、タイミングを逃したのか?」


いや、確かに、ネロに言うタイミングは逃したかもしれないけど、そこまで言われるのか。

ネロを不機嫌にさせたのは、私だし、仕方がないんだけどね?


「お前、もしかして、もう頭から抜けたか?」


なんだろう?

ネロが、なんだか、ネチネチしている。


「そんなにネチネチしなくても。」

「あぁ?」

「ごめん。悪いと思っているからね?」


だから、また飛び出していかないでくれ。

そして、思い出したかのように、機嫌を悪くしないで。


「アルバートには言ったんだろうけど、リリスやカインは、ちゃんと言わないとうるさいぞ。」

「でも、アルバートさんは、二年半くらい大丈夫だって言っていたけどなぁ。」

「それもさっき話をした気がするが?」

「すみません。ちゃんと、話します。でも、仕事の最中に話をしてもいいのかな…?終わった後に、時間を取ってもらって…」

「言うと決めた時が、そのタイミングだろ。」


正論すぎて、何も言い返せないわ。


「じゃあ、行くぞ。」

「待って。まだ心の準備が出来てないよ?」

「何で出来ていないんだよ。帰ると決めた時に、人に話す準備もしておけよ。」

「えぇ?帰る決意と、言う決意は別でしょ。」

「一緒だ。帰ると決めた時点で、人に言うことが確定するんだからな。」


あぁ、もう。

分かった。

分かりました。


「ネロが、私にちゃんと教えて貰えなかったことを、根に持っているのは分かったから。」

「…悪いのか?」


…はぁ。

今は、言い合いしていたじゃん。

急に素直になるのは、ズルくない?

というか、さっきからズルいよ。


「とにかく、ちゃんと言えよ。じゃあ、行くぞ。」

「あ、ちょっと。」


私の言葉を無視して、ネロは、企画宣伝課のオフィスへと入っていった。

また私の、制止を無視して。


「ただいま戻りました。休憩時間、たくさんもらってしまい、すみません。」


入口で頭を下げる。


「あ、おかえり。ネロを連れて帰って来てくれて、ありがとう。」


アルバートさんの声を聞く限り、休憩時間が長かったことを咎められている感じはない…

私は、ほっとして顔を上げる。

そして、後悔した。


「あら、チヒロ、随分、優雅な休憩時間だったみたいだけど、話は終わったのかしら?」

「それで、チヒロは、俺たちにも話があるんだよな。」

「まさかこのまま、仕事に戻るつもりじゃないでしょうね。」


えっと?

席に着いたまま、ものすごい笑顔で、私を見てきた、フェリシアさん、カイン君、リリスさん。

ん?

なんだ?


「チヒロ…チヒロは、どこかに行っちゃうの?」

「チヒロは、また僕達と一緒にお仕事するよね?」


そして、アンジュ君とアンヘル君が、私の傍に寄って来て、袖をキュッと抓み、不安そうに見上げてくる。

ハッとして、私は、アルバートさんの方を向いた。

すると、アルバートさんも、これまたいい笑顔で私を見ている。


「アルバートさん…もしかして…?」

「いやぁ、ネロが飛び出し、それを追いかけチヒロが飛び出す。最近のチヒロの様子も相まって、ごまかし様がなかったなぁ…なんて。」


笑ってごまかすんじゃない。

それに、アルバートさんがごまかせない訳ないでしょう。

ワザとだ。

あの顔は絶対にワザとだ。


「ほら言っただろ?前もって、ちゃんと伝えておけばよかったのにって。」


なんで、ネロは、そんな余裕そうな顔で、高みの見物を決め込もうとしているのかな?

おかしくない?

さっきまで、ムスッとしていたくせに。


「それで、チヒロ?どうなの?」


あぁ…なんでこんな事に?

私は、企画宣伝課の皆の圧により、しどろもどろになりながら、地球に帰ることを伝える羽目になるのだった。

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