83話 突然、三者面談?が始まりました
「ミシュティのことや私たちのこと?」
「そう。私、ミシュティには、一応仕事で行っているから、報告しなきゃいけないんだけど、ミシュティのお菓子の存在とか、他にもメルたちのこととか、どこまで話していいのかなって思って。」
「あー、なるほどね。ちょっと待ってて。」
そういうと、メルはデバイス越しから、どこかに消えていった。
しばらくすると、メルの声とは、別の人の声が聞こえる。
「もしもし。」
「グラースさん?」
「そうだ。メルが迷惑かけて悪いな。」
グラースさんの謝罪の奥の方で、メルがブーブー文句を言っている声が聞こえるけど、とりあえず聞かなかったことにしよう。
「いえ、それは大丈夫なのですが、」
「報告の件だろ?」
「どうでしょうか?」
「カラメオの洞窟の場所は機密事項だが、ミシュティの技術や俺らのことは言ってもらって構わないよ。」
「言わない方がいいことは、カラメオの洞窟については、場所のみですか?」
「……。なぁ、俺もその報告に、電話で参加してもいいか?」
え?
なぜに?
「ちょっと、私もチヒロの同僚に挨拶するわ。」
「挨拶?」
「チヒロがどんなところで仕事をしているのか、知りたいもの。」
いやいや…
保護者?
それとも、彼女か?
職場の人間関係を把握する彼女か?
メルの乱入により、さらに私は不安になったんですが…
「私たちに、任せて。」
「じゃあ…、元居た部屋に戻りますね?」
私は、大丈夫かなと思いつつ、メルとグラースさんに断りを入れて、アルバートさん達がいた部屋に戻る。
「お待たせしました…」
「いや、電話は大丈夫だったかい?」
「大丈夫なんですが…」
「どうも、はじめまして。今回は、チヒロにお世話になったので、挨拶をさせてもらおうかと。メルーレ・ドゥ・ミシュティといいます。」
そして、私の言葉を遮るように、デバイスからいきなり声が聞こえた。
ちょっと?
アルバートさん達は、話についていけてないから。
その感じだと、誰?って、なってるから。
なぜ第一声が、グラースさんじゃなくてメルなの?
「えっと、ミシュティの王女様です、ね」
そういうと、アルバートさん達もギョッとした顔で、私を見てきた。
ですよね。
王族の方と通話なんて、そうそうないですよね。
「すみません。私が、グラース・ドゥ・ミシュティです。」
「…王様です。」
私が二人を紹介し終えると、フェリシアさんが、わたしを引っ張りデバイスから距離を取る。
「チヒロ、どういうこと?」
ここは、もう開き直った方が良くないか?
「えっと、ミシュティの王族の方たちと、たまたま関わる機会があって。」
私の言葉に疑いの目を向けてくるフェリシアさん。
私が、フェリシアさんとこそこそ話をしている間に、通話でも話が進む。
「ミシュティについて、私たちからお話しさせていただきますね」
グラースさんの声。
グラースさんとメルが話を進めてくれるのであれば、私は楽できるからいいかと思い、話の成り行きを見守ることに決めた。
「チヒロさんが、ミシュティの食の文化について調査をしてくれていまして」
「そうだったんですね。チヒロが何かしてしまったのかと思いました。」
「とんでもない。大変お世話になりました。とても料理が上手でしたよ。」
……料理?
「チヒロが料理をしたんですか?」
「はい。騎士たちにも振舞ってくれましたし。気遣い上手ですね。」
「そうですか。チヒロが、しっかりとやっていたみたいで安心しました。」
…気遣い上手?
なんというか、さっきからミシュティでのチヒロは、こうでした、という報告…
なんで、私の報告してるの?
メルもほんとに、アルバートさん達に挨拶してるし。
なんか、こういうの覚えがある…
そうだ、三者面談って、こういう感じじゃなかったっけ。
「あの…」
結局、ミシュティについての報告は、私の面談になってしまった。
しかもなぜか、その話で大変盛り上がっている。
そして、その話は、私がストップをかけるまで続いたのだった。
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