82話 非通知着信って出ます?
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アルバートさんへの報告に、ミシュティで、食のプレゼンをしてきたなんて言ったら、メルたちと関わったことを言わなきゃいけなくない?
それって、言っていい事なのかな?
やばい…
「どうした?」
ほら、アルバートさんが不審がってる。
何か言わないと。
ネロ、何か言って。
すると、私のデバイスが鳴った。
電話が鳴るなんて、いいタイミングじゃん。
「すみません。仕事中に。」
「大丈夫。出ていいよ。」
出ようとして、画面を見ると非通知。
ふと思ったんだけど、このデバイスって異世界に来て、アルバートさん達にカスタムしてもらったから、昔の連絡先はすべて消えてるはず。
そして現在、デバイスの中に入っている連絡先は、貰った時に、すでに登録されていた企画宣伝課の人たちの連絡先のみ。
そこから、私は自分で連絡先をいじっていないから、増えてるはずもなく。
でも…
企画宣伝課の人たち、全員この場にいるんだよね。
電話なんて誰もかけていない。
えっと…
じゃあ、これ誰?
私が、デバイスの画面を見て固まっていると、企画宣伝課の人たちも同じことを思い至ったみたいで、顔を険しくする。
ここで怖がらないのが、さすがというか。
考えている間に、音は切れてしまった。
「チヒロ。デバイスに誰か知らない人を登録したのかい?」
アルバートさん
知らない人を登録って何でしょうか…
「いえ…。した覚えはないんですけど、しかも非通知ですし。」
異世界で非通知着信をもらう日が来るとは、思わなかった。
地球だったら、絶対出ないんだけどね。
留守番電話のサービスが欲しいかも。
そう思っていると、デバイスが再び鳴り出す。
やはり、企画宣伝課の人たちが、連絡をかけてきているわけではない。
再び切れて、また音が鳴る。
再び切れて、また…
ほんとに誰?
怖いんだけど…
ホラーかな?
こんなにかけてくるということは、間違えてかけてきているわけではないってこと?
それとも、しつこい勧誘なのか?
それなら、一回出て断りの連絡入れるけども?
そして、もう一度音が鳴り、私は電話に出ることにした。
「はい、もしも…」
「あ、チヒロ?元気?」
……聞き覚えのある声。
「チヒロ?聞こえてる?」
「もしかして、メル?」
私の言葉に、ネロは驚いて私の方を見てきて、他の人たちは、首を傾げた。
「そうー。元気にしてる?」
元気にしてるも何も、私がミシュティを離れたの、昨日なんだけど…。
それに、なんで私の連絡先を知っているんだ、お主は。
「メル、なんで私の連絡先知ってるの?」
「あぁ、チヒロたちが帰った後に、権力使っちゃった」
かわいく言うな
まったく、突拍子もないことを。
昨日の夜、感傷に浸った時間を返してほしい。
「そういえば、何かあったの?」
「そうそう、チヒロに報告したくて。チヒロが考えてくれたものが、ミシュティ内で流通の目途がたったんだ。職人の人たちも、作ってくれたものを食べたら、賛同してくれて。思ったよりも、早く動き出せたってことを伝えたくて。」
通話越しでもわかる、メルの嬉しそうな声に、私まで嬉しくなる。
よかった。
「あと、チヒロは絶対気づいてないだろうなと思って。」
「なにを?」
「カバンに入れといたから、見てみて」
だから何を?
メルー、何を入れたの?
「大丈夫、一応プレゼントだから。」
…なら、いっか。
「後で見させてもらうね。」
「うん。」
……。
ちょっと待って。
メルが電話かけて来てくれたのって、ほんとにベストタイミングじゃない?
私は、椅子から立ち、アルバートさん達に断りを入れて、その場から去る。
「メル、ちょっと待って。聞きたいことがあるんだけど。」
「なにー?」
「ミシュティのことやメルたちのことって、どこまで報告していいの?」
本人に聞けば早いじゃん。
いいと言われれば、どこまで大丈夫なのか、匙加減を知れるし。
ダメなら…なんかほかの方法で、すり抜けよう…。
うそを言わないように…
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