81話 報告の仕方は重要でした
帰還した日は、結局オフィスに顔を出して終わった。
そのまま、帰っていいというお許しが出たため、オフィスを後にして、自分の部屋へ向かう。
ネロは、まだやることがあるらしく、オフィスに残ったけど。
自分の部屋に戻り、部屋の電気をつける。
ここも、久しぶりかも。
ミシュティでは、お菓子の宿舎に、お菓子の部屋だったから、なんだか見慣れない。
自分の部屋なのに。
急いでシャワーを浴び、ベッドへダイブ。
ベッドが広く感じる。
ずっと、ネロを抱いて寝てたから。
…湯たんぽ。
私は疲れからか、感傷に浸りつつも、そのまま眠りについた。
目が覚めると、そこは、お菓子の部屋じゃない…。
そっか、私帰ってきてるんだった。
昨日は、早く帰らせてもらったし、ちゃんと仕事しないと。
転送装置に乗り、企画宣伝課のオフィスへ。
「おはようございます」
「おはよう、ゆっくり寝られたかしら?」
朝一番は、フェリシアさん。
「おはよー、チヒロ」
「元気だねー」
アンジュ君にアンヘル君。
「やぁ、おはよう。」
アルバートさん。
「寝坊か?俺が起こしてやらないとダメなのか?」
ネロ…
朝から、絶好調だね。
というか、全員そろっている。
え?
みんな、自分の部屋帰ってないの?
むしろ、ちゃんと寝られてる?
「寝坊じゃないです。ちゃんと間に合ってます。」
「ギリギリな」
うぐ…
痛いところついてくるな。
「はいはい、二人ともだいぶ仲良くなったみたいだね。」
「はぁ?何言ってるんだ?アルバート」
確かに、旅行に二人で行って、言い合いとかしやすく…
いや…
元々、こんな感じだった気がする。
アルバートさん、そこまで変化ないかもしれません。
「さて、ミシュティについての宣伝内容はチヒロに任せるとして、報告だけもらっていいかな。ミシュティについて。」
「報告書じゃなくていいんですか?」
「一応、後でまとめてもらうけど、先に観光客の減少原因だけもらってもいいかな。企画の方でも、使えそうなら改善していきたいし。」
なるほど。
減少原因かぁ…。
「結論から言いますと、ミシュティの観光客減少の原因は、食文化の違いによる胃もたれだと思います。」
「え?」
アルバートさんだけでなく、隣で聞いていたフェリシアさん達にも、頭の上にはてなマークが舞っているのが分かる。
この反応、出たよ。
絶対されると思ったけど、結論がそうなんだもん。
ネロは、隣で大爆笑。
私は、たいへん恥ずかしくなりましたけど。
「詳しく説明しますと、今回、私とネロが滞在した期間に食べたものは、すべてスイーツや甘いものになります。例えば、一日目から二日目にかけてですが、シロップたっぷりフレンチトーストにアイス添えに、ふわふわのパンケーキ、チョコレートワッフルが出てきました。」
私とネロが、原因は胃もたれであると思うまでに、ミシュティで食べた物たち。
「確かに、昔行ったとき、食べたものは甘いスイーツだった気がするわ。」
「フェリシアは、確か日帰りだったよね。」
「お菓子が美味しかったって言ってたの、覚えてる」
フェリシアさんが、昔の記憶を思い出しつつ、アンジュ君とアンヘル君が補足した。
「私たちの場合、日を跨いだ三食目だったので、そう思ったんだと。日帰り旅行だと、気が付けないですね。私も、一日目と二日目の朝は、甘いスイーツに大喜びでしたから。もちろん、ネロも。」
「俺は、まだ食べられたけどな。」
そんなことは、知ってます。
胃もたれだとか言いながら、美味しそうに食べてたもんね。
「じゃあ、ミシュティの食文化が変わらないと、観光客の増加は難しいのかな」
「いえ、それは…」
私は、言いかけてふと思い立つ。
あれ?
ちょっと待って。
これって、言っていい情報かな…。
ネロの方をちらりと見ると、ネロも顔を引きつらせている。
やばい…報告の仕方間違えた?
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