表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/953

74話 お菓子のパーティの次は、パジャマパーティ


メルの本当の名前は、メルーレ・ドゥ・ミシュティ。

お菓子の国、ミシュティの名前をしっかり背負った王女様。

そして、私の友達。


メルの名前を知って、その後に、グラースさんの名前も教えてもらった。

グラース・ドゥ・ミシュティ。

こんなこと言っていいのか分からないけど、グラースさんのことを兄さんみたいって思ってたんだよね。


二人から、改めて挨拶をしてもらい、より二人と近づけた気がする。

身分ではなく、心にだけど。

バルコニーから部屋に戻ると、そろそろお開きの雰囲気。

楽しい時間というものは、永遠に続くわけではなく、ちゃんと終わりが来るものだな。

私は、テーブルの上の空になったお皿を見ながら、そんなことを思う。


メルもその空気を察したのか、私の手を握ってきた。


「メル?」

「あのさ…」


メルは、俯きながら、何かを言いにくそうにしている。


「どうしたの?」

「あのさ、今日はお城でお泊り会をすればいいと思うの」


はい?


「だから、チヒロもネロも今日はお城に泊まりなよ。そしたら、私たちも、明日、お見送りできるし。ね、そうしよ。」


あまりにもメルの押しが強すぎる。

そういえば、メルって押しが強かったような。

いた…いたたたたた。


私の返事に緊張しているのか、握った手がゴリゴリと嫌な音をたてて、悲鳴を上げている。


「メ、メル。落ち着いて。」

「今日で最後でしょ?一緒にいよ」


彼女か。

美少女にそんなこと言われたら、普通に照れるから勘弁してほしい。

私だけじゃないし、ネロにも聞かないとな。

あっさり陥落しそうになったけど、私はまだ冷静だったみたい。


「ネロ、どうする」

「俺は、かえ」

「ネロもお城に泊まりたいよね。」

「……。」


ネロの答えを全く聞かず、笑顔で圧をかけてきた。

あぁ…、ネロの顔もひきつってるよ。


「ね、ネロ。」

「……あ、あぁ。」

「チヒロ!」


ネロが負けた…。

フェリシアさんの時もそうだったけど、ネロって押しに弱いの?

そして、メルはネロの了承を得たことで、目をキラキラさせながら、私の方を見てきた。


「えっと…、迷惑じゃなければ、お世話になろうかな。ねえ、ネロ?」

「あぁ、そうだな…」


私たちの言葉に、メルの顔は、ぱぁっと花が咲いた。


「ほんとに?やったぁ。」


うーん。

まぁ、いっか。

私も、メルともっと話がしたい。

一緒にいたけど、お互いのことを話す機会があまりなかったから、よく知らないかも。

好きな食べ物とか。

そういう些細な事。


そうと決まり、案内してもらったのは、お城のゲストルーム。

まず目に留まったのは大きいベッド。

こんな大きいベッドに寝る機会なんてない。

倒れこんでみると、柔らかいマシュマロベッド。


なにこれ。

体へのフィット感が素晴らしいじゃないか。


私がベッドと戯れている様子をネロはじっと見ていた。


「気持ちいいよ。ネロもおいでよ」


そういうと、ネロはふよふよと飛んで、マシュマロベッドにうつ伏せにポスっと下りた。


下りてから、動かなくなったんだけど…

生きてる?


「ネロ?」

「にゃんだ…」


マシュマロベッドにハマってるし。

人をダメにするほど気持ちがいいみたいな、うたい文句が地球にあったけど、まさにそれ。


「なんでも」

「なんだ」

「だから、なんでもないって言ってるでしょ」


ネロの分かりやすさに、ニヤケを我慢してるんだけど、言葉にまったく説得力ないだろうな。


「明日、帰るんだね。」

「そうだな。」


二人並んで、ベッドにあおむけに横になって天井を眺める。


ガチャ

ゲストルームの扉が開いて、ひょっこりとメルが顔を出す。

「私も一緒に寝てもいい?」


そういうメルは、しっかり寝間着姿で枕まで持参している。

寝る準備万端じゃん。

そんなメルを見て、私は思わず笑ってしまった。

もちろんネロは、そっぽ向いたけども。


「チヒロ?」


そこまで準備万端で訪ねてきたのに、不安そうに眺めてくるメルになんだかおかしくなってしまった。


「いいよ、一緒に寝よう。」


私の言葉に、メルが安心したように、笑った。

読んでいただき、ありがとうございました!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ