表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/953

72話 内緒話は、周りに注意


「姉さん帰ってきたし、俺、代理で王様やるの、もう嫌なんだけど。」

「……。」


えっと、整理したいんだけど。

帰ってきたという言葉通りなら、ビスクート王のお姉さんというのが、ジェリさん。

ジェリさんは、グラースさんの奥さんだから、ビスクート王とグラースさんは、義兄弟ってことね。

ここまでは、分かるんだけど、王様に戻るっていうのは、どういうことだろう。

ビスクート王は代理で、と言っているし、元々は、グラースさんがミシュティの王様で、今は、代わりにビスクート王が王様をやっているということかな。


「いつまでも、俺が王様やってると、何一つ決まっていかない。俺は、あくまで代理王だからね。」

「分かってるさ。お前に代わりでやってもらっていたのは、俺の目でミシュティを調査したかったからだ。」

「兄さんさ。今の生活、なんだかんだいいなとか思ってるでしょ?」


ビスクート王の言葉に、グラースさんが、ばつの悪そうな顔をしている。

あれは、図星ですね。


「ということで、逃げられないように、周知させようと思って。」

「?」


そう言うと、ビスクート王は、私たちのいる方をちらりと見た。

手伝えってそういうこと?

うわぁ、使われた。


ビスクート王は、にやりと笑っている。

これは、出て来いということですかね。

出て行きづら!


「あの…、聞いてしまいました」

「いつからそこに」

「ずっと…ですかね」

私とネロの登場にグラースさんは、目を見開いた。


「ビスクート、お前なぁ。」

「背中を押してやったんだから、感謝してほしい。」

「お前は背中を押したんじゃない。押し付けたんだ。」

「元々、兄さんの仕事だろ?」


ビスクート王は、ジトっとした目でグラースさんを見つめ、グラースさんは、押し黙る。


いやいや、ほんとにどなた?

あの口調が柔らかなグラースさんとビスクート王は、何処に。


「巻き込んで悪かったな」


ビスクート王が、私とネロの方を向いて、謝ってきたのだけど。


「巻き込むつもり満々でしたよね、ビスクート王」

「もう王様じゃなくなるけどね。」


嫌味いっぱいに言ってみたが、笑顔で躱されてしまった。


「話は隠れていたとき聞いてしまったが、良かったのか?」

「いいわけな…」

「聞かせるつもりで、話していたからね。」


ビスクート王?

グラースさん、いいわけないって言いたそうでしたけど。


「兄さんがどうしても、自分で調査したいっていうから、中身だけ俺に代わっていたけど、民には伝えていないから、影武者をしていただけなのに。兄さんが俺のこと、現王とかいうから。まったくどういうつもり?」

「観光部から来たというから、チャンスだと思ったんだよ。しかも、解決策を打ち出してくれたわけだし。」

「兄さんが連れてきてくれたおかげで、俺は王様をやる羽目になったけどね。」


グラースさんと、ビスクート王の兄弟の言い合いって感じ?

見ていて面白いけど。


「チヒロ、ネロ。ごめんね。結果的に騙すみたいになってしまって。」

「事情があったみたいですので、平気です。」

「別に俺らの仕事に影響があったわけじゃない。」


ビスクート王…ビスクートさんを見ていて気がついたんだけど、この人あれだ。

自由気ままな義兄と破天荒な姉を持つ、苦労人の弟。

そんな感じがする。


今思うと、ビスクートさん、グラースさんのこと私に聞いてきたもんね

グラースさんも、ミシュティのことを異常に気にしていたし。

グラースさんのお城での立ち位置とか、不思議に思うことはあったけど。


そういえば、旅行ガイドには、王様のこと載ってなかったんだよな。

そりゃ、分からないって。

というか、グラースさんが王様なら、メルは王女様で、ジェリさんは王妃様ってことだよね。

私、王族の人たちになんて振る舞いをしていたんだ。

不敬罪とか散々騒いでたけど、ミシュティ滞在中のほとんどがそれに当たらない?


私は、罪に問われなくてよかったと思いつつ、冷や汗が止まらなかった。

読んでいただき、ありがとうございました!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ