71話 いったい何者ですか?
だ、だれ?
私は、ネロのほうを向くと、ネロは首を振った。
ほんとに、だれ?
「ジェリ!」
その女性を見て、グラースさんは声を上げた。
そんな様子を見て、女性はニコニコとグラースさんに近づいた。
「私が送ったお土産の使い道が分かったって、連絡がきたから、いったいどんな使い方をしたのかと思ったけど。帰ってきて正解だったわ。」
私が送ったお土産…
まさかこの女性、ビスクートさんの奥さんで、メルのお母さん。
第一印象のみだけど、破天荒そう…
メルに似てるわ。
「でもどうやって、こんな使い方を?」
「教えてくれたのは、この人だよ。お母さん」
メルが、私の背中を押して女性の前に。
「観光部から来てくれた、チヒロ。」
「コスモス観光部から来ました、有間千紘です」
「観光部…、なるほどね。お世話になったみたいで、ありがとう。私は、ジェリよ。」
「よろしくお願いします。」
「異世界で、甘い物以外の食べ物を手に入れたはいいけど、使い方がいまいち、ピンと来なくてね。ミシュティに送ったら何とかなるかしらと思ったんだけど、みんな分からないって、なってしまって。」
だから、グラースさんの家に、放置されていたわけね。
「一つ質問なのですが、買った先から、教えてもらわなかったんですか?」
「買ったところも、使い道が分からなかったみたいで、正直だまされたと思ったのよね。」
納得です。
「私も、このパーティに参加してもいいかしら?」
「ぜひぜひ」
ジェリさんが帰ってきて、メルもなんだか嬉しそう。
なんだか、パワフルな人だな。
そんなことを思いながら、私は、自分が食べるケーキを取りに行った。
……。
食べ過ぎた。
楽しいとつい食べ過ぎちゃうんだよね…
お菓子関係なく、普通に食べすぎて胃もたれ。
ちょっと、外に出て風でも当たろうかな。
バルコニーの方に出て風にあたる。
気持ちいい。
「どうかしましたか?」
声のする方へふりかえると、そこにいたのはビスクート王。
「食べすぎちゃったので、風にあたりに来たんです。」
「そうだったんですね」
ビスクート王は、私の顔をじっと見てきた。
「もちろん、勝手な所に入ってはいないですよ。」
「分かってますよ。…少し、お願いがあるのですが、手伝ってもらえないでしょうか?」
お願い?
「私は何を?」
「ここに隠れていてもらっていいですか?」
ビスクート王が、一瞬窓のほうを見て、私とネロを近くにあった窪みに押し込む。
なんで?
というか、私は何を手伝えばいいの?
戸惑っていると、誰かの声が聞こえた。
「来たぞ、ビスクート。」
窪みの隙間から、覗いてみるとそこにいたのは、蜂蜜のようなきれいな金髪のグラースさん。
ん?
グラースさん?
「ん?なにかいるのか?」
「風じゃないですか?」
ばれそうになるのを慌てて、息を止めて、回避。
雰囲気が違う、グラースさんに声を出しそうになる。
ネロの方を向くと、ネロもその様子をじっと見ていた。
すると、ビスクート王が口を開く。
「グラース兄さん、姉さんも帰って来たんだし、そろそろ王様に戻ったら?」
ちょっと待って。
グラース兄さん?
姉さん?
王様に戻る?
ちょっと待ってどういうこと?
どういう関係なんだ。
ビスクート王の衝撃発言に、私は開いた口がふさがらなかった。
読んでいただき、ありがとうございました!
よろしければ、
評価、ブックマーク、感想等いただけると
嬉しいです。
よろしくお願いします!




