69話 お菓子パーティにようこそ
「お菓子の国流、お礼パーティ?」
「いっぱいお世話になったし、お礼をさせて貰いたかったの。」
パイの中から飛び出し、宙に舞っているものを、一つ手に取ると、それはジェリービーンズ。
「これは?」
「これは、パイクラッカーっていうのよ。パイの中に物を入れて閉じる。ナイフを入れると、破裂して、飛び出すの。」
クラッカー。
パイにナイフを入れると、音が鳴って飛び出すのか。
お菓子の国らしい物でおしゃれじゃない?
よくみると、ジェリービーンズ以外にもポップコーンやキャンディ、キャラメルと宙に舞っている。
「ずっと、ふわふわ浮かんでるのは?」
「魔力の力よ。パイを焼くときに、魔力を込めるの。」
すごい…。
お菓子の中に、手紙や指輪を入れたりすることは、地球でもあったけど、パイクラッカーは、おもちゃ箱みたい。
「改めて、お菓子の国パーティへ、ようこそ。チヒロ、ネロ。」
お礼してもらう立場なのか、よく分からないけど、せっかく招待してもらったわけだし、お菓子の国流パーティ、参加させてもらおうかな。
中に入るとテーブルには、所せましとお菓子が並んでいる。
あれ?
もしかして、これって。
「気づいた?チヒロがバイキングの話をしていたから、好きなものを選んで、とってもらう形式をやってもみようかと思って。」
やっぱり、バイキング。
説明で何度か話してはいたけど、それでやってみてくれたのか。
なんか、嬉しいかも。
しかも、私が提案した、料理も作ってくれたんだ。
テーブルの上に、ずらっと並んだかわいいお菓子の中に居座る、じゃがバター、フライドポテト、野菜スティック…。
うーん…私も持ってくればよかったな、お礼の品。
調味料セットとピクルスなんて、もってこいの品じゃない?
正直、作ったはいいけど、渡せるか不安だったんだよね。
あとで、合間を見て、取りに行こうかな。
自分が食べたいお菓子をお皿にとって、テーブルに戻る。
すると、お菓子作りのパフォーマンスが始まった。
ライブでお菓子を作ってくれるの?
宙に浮く生地を練り上げながら、捏ねていく。
魔力を操作しながら、お菓子を作ると言っていたけど…。
生地が躍っているみたいだ。
あ、型抜き。
ということは、クッキーを作ってるんだね。
型抜きも宙に舞い、手をかざすと、一気に、生地が型抜きの形になった。
「すごい」
「職人芸だな」
「あれも、魔力操作?」
「あぁ、自分の持っている魔力を共鳴させて浮かしたり、動かしたりしている。」
言葉では聞いていたけど、目の前で見ると圧巻である。
異世界って感じ。
いままでいた場所も、異世界なんだけど。
「どう?ミシュティ流のおもてなしは。」
「すごい。メル、招待してくれてありがとう。」
「こちらこそ。チヒロにはお世話になったもの。ネロもありがとうね。」
「私も、メルたちに渡したいものがあったんだ。今、宿舎にあるから、取りに行ってきてもいいかな?」
私も、メルたちにお礼がしたい。
みんながお腹いっぱいになっちゃうと、食べ物を送るの微妙かもしれないし。
取ってきちゃおう。
「えぇ。もちろんだけど、渡したいものって?」
「一つは、この場にぴったりなものだから、ここで渡したいの。」
「分かったわ。」
メルに許可をもらって、私はいったん宿舎に帰り、私からミシュティの人たちに送る、お土産の品を取りに戻るのだった。
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