680話 好きなモノを好きだという事がままならない
んんん。
幸せ。
モフモフ天国。
大きいワンちゃん達、ゴールデンレトリバー君と、小さいワンコのティーカッププードル君。
…いや、ちゃんかな?
それから、アンジュ君とアンヘル君に囲まれ、モフモフ三昧。
『おい、顔が大変なことになっているぞ。』
『どういう意味かな?』
顔は大変なことになっていません。
いつもこの顔なんです。
大変なことになっているのは、私の心なんです。
『顔は大変じゃないし。心がちょっとだけ忙しいだけだし。』
可愛い可愛い可愛い可愛い。
という感じで。
『心が忙しいから、顔も大変なことになっているんじゃないか?鏡を見た方がいい。だいぶ怪しい。道で歩いていたら、攻撃されるだろうな。』
『誰に?』
攻撃って何。
私は、可愛いの供給がちょっと過多になっているため、心が追い付いていないだけなのに、誰に攻撃されるのさ。
『コスモスの治安部隊に。風紀を乱すなと。』
私の顔で、風紀は乱れないでしょ。
私の顔じゃ、そこまで大きな組織は動かないって。
『顔の話じゃない。単純に怪しいから、捕まるだろうなと思っただけだ。』
捕まりませんけど?
そりゃ、アンジュ君とアンヘル君たちが嫌がっていたら、私はちょっと危ない不審者だけど、今は一緒にモフモフを楽しんでいる仲間。
同士と言ってもいい。
『そんなことは、もういい。ここに長居をすると、他の場所に行けなくなるがいいのか?』
それは、困る。
別グループと待ち合わせの時間を決めているんだった。
犬エリアに、一時間ほど居座ったので、残りの時間は一時間。
他のエリアを回るにしても、一個か二個が限界だろう。
『でもなぁ。ワンコたちともうちょっと一緒に居たい気もするしなぁ。』
『ほら、次に行くぞ。』
もう。
なんでそんなに急いでいるのかな。
もしかして、ネロは犬派ではなかったって事かな?
だから別エリアに行きたいと。
『ネロは、犬がダメなの?』
『なんでそうなる?』
『犬と猫って、反対なイメージがあるし。猫ちゃん達との方が仲良かったし。』
『違う。それを言うなら、動物が得意ではない。』
え?
そうなの?
ネロも動物なのに?
『なんだ、その顔は。』
『ネロも動物なのに、苦手なんだと。』
『お前も人だが、人が全員得意な訳ではないだろう。』
…確かに。
なんでそんなに、納得が出来る理由を用意できちゃうの?
人間皆兄弟という言葉はあるけれど、私は、人と分かり合うことは、難しいと思っている人だから。
それに、何か、もめ事が起こるときは、人間対人間の争いであることが多いしね。
自分の好きなこと嫌いなことすら、正直にいう事がままならない。
なんで、こんなにも人間関係は難しいのか。
『じゃあ、ネロも動物関係が難しいから、動物が苦手なの?』
『違う。動物の声が賑やかで苦手なんだ。』
『あぁ、動物にモテるが故の、ジレンマ的なやつ?』
ネロの前に全ての猫ちゃんがお座りした時なんか、一種の儀式かと思ったもんね。
崇められているというか…
『動物界の英雄みたいな?』
『やめろ。そんなものになって、どうするんだよ。』
『カッコいいよ?英雄。』
『俺は、静かに暮らしている方が好きだ。』
ご飯食べて、寝て…みたいなって事?
うわ、その生活いいな。
なおかつ、自分の趣味の時間が入ったら、最高のサイクルだわ。
『でも、そっか。ネロは動物がダメなのか。』
『ダメではない。むしろ好きな方だ。だが、動物の近くにいると、どうも賑やかくなって仕方がない。だから、近寄らなかっただけだ。』
ふーん。
それだけ、ネロが好かれているという事だろうか?
『じゃあ、動物カフェはダメじゃない?』
『あぁ。』
それならば、良かったけれど。
ネロが楽しくないのは、なんか嫌だからなぁ。
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