7話 本題というより、前説が欲しいほどすべてが新鮮なのですが
猫のほうを向いていた美人さんが私のほうに向きなおり、話を切り替える。
「私は、ここコスモス観光部企画宣伝課のフェリシアというものです。後ろにいる二人は、アンジュとアンヘル。ウェーブのかかった髪の毛の子がアンジュで、外はねの髪の毛の子がアンヘルです。そして、そこで寝ているふりをしているのがネロです。他にもいるんですけど、今は出払っているため、今いるメンバーだけになります」
お仲間にも猫で通っているんじゃんと、思ったが口には出さないでおく。
「有間千紘です。」
「それでは、チヒロさん。本日からこちらの方に勤務になるので、何かわからなかったら聞いてください。」
…ん?ちょっと待って。
なんかよく分からない言葉が出てきた気が…
「早速質問いいですか?」
「はい、どうぞ。」
「本日から勤務ってどういう??」
私の質問に部屋の空気が5度ほど下がった気がする。
なにかおかしな質問した?
「えっと、コスモスのサイトに登録したのでは?」
「はい。しました」
「ですよね?」
あれちょっと待って。
美人さん改め、フェリシアさんの顔がキョトンとしている。
なんで?
「えっと、お話をうかがってもよろしいですか?」
「はい。私、旅行しようと思ってて、行先も自由だし、移動もすぐできるし、旅行のサポートも充実してるし、しかも初めて登録すると旅行0円なんですよね?すごく惹かれて、それで即座に登録したら、急に光に包まれて、気が付いたら森みたいなところにいて、そこから少し歩いたら黒猫さんに出会いまして、ここに連れてきてもらいました。」
私が説明を終えると話を聞いていたフェリシアさんたちは、若干ひきつった顔をしていた。
だから!私、何かおかしいこと言ってる?
「だから、話がかみ合わなかったのか。」
猫改めネロがニヤニヤしながら私のことを見てくる。
これは確実に馬鹿にされている。
私がネロの方をギロっと睨みつけていると、その様子を鼻で笑い、私に近づいてくる。
「お前、コスモスに登録するとき、機械使っていただろ?見せてみろ」
「使ったけど、今は画面が真っ暗だし、電池切れなのか電源はいらないんだよね。」
そういってスマホを取り出し、黒い画面を見せると、ネロがスマホに触れてきて、いきなり電源が入る。
すごーい!…どういうこと?
「お前、ちゃんと登録サイト見たか?」
えっと、何かそんな重要なものが書いてあったのだろうか?
馬鹿にしたような目で見続けてくるネロを横目に、スマホに触れた。