表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/953

63話 ソルトアートの小瓶

ブックマークしていただいた方、

本当にありがとうございます!




洞窟探検から、無事宿舎までたどり着き、私たちに用意してもらった部屋へと入った。

疲れたのか、安心したのか、よく分かんないんだけど、足の力が一気に抜けて、ドアの前に座り込む。


洞窟の中、絶景だった。

地球でも、絶景と呼ばれる旅行先はあったけど、私、旅行にとことん興味なかったからな。

あんなことがなければ、旅行に行きたいとすら思わない人間だった気がする。

カラメオの洞窟かぁ…

あれが全て、食べられる宝石の原石だといわれると、ワクワクしちゃう。

あの鉱石が加工されて、噴水の中に沈んでいた宝石のようなものになるってことでしょ?


それにしても…。

カラメオの洞窟から帰ってくるときもそうだったけど、猫ちゃんが静かすぎて困る。

最奥の石を見たとき、ビスクート王も、そしてネロも複雑そうな思いで、光に照らされた石を眺めていた。


まぁ、何か言えることも、今のところなさそうだし、悩むだけ悩むのだ、若人よ。


明後日には帰るって言ってあるし、それまでにミシュティの人たちに何かお礼がしたいんだけど、なんかいいものあるかな。

んー、さしすせそ…。


あ…、小さいころに、塩を使った工作をしたことがあったな。

久しぶりに思い出すと、作りたくなってくる。

材料あるかな。

他にも、予備案として何か…

そうだ、やっぱり野菜スティックをちょっと改良しちゃおうかな。

そのまま食べる人に抵抗がある人向けの一工夫。

材料がほぼ一緒で出来てしまう、簡単料理。


よし。

そうと決まれば、ベニエさんに材料があるか聞いてみよう。


「ベニエさん」

「あら、チヒロさん。どうかされたんですか?」

「少し聞きたいことがありまして。あと、キッチンと材料をお借りしたくて。」

「聞きたいこと?何でしょう?キッチンは、自由に使ってください。」

「キッチン、ありがとうございます。えっと、色が付いていて、パラパラと崩れやすいような、そういった書けるものって、何かありますか?」


せ、説明が難しすぎる…

なんていえば、伝わるの?


「んー。チョークならありますけど。こういうのでは、だめですか?」


あるの?

それが欲しい

私は、それが欲しかったの。

色が付いていて、パラパラ崩れやすくて、そういった書けるものって。

我ながら、説明が下手すぎた。

ベニエさんは、天才か?


「それです!あと、小さな小瓶はありますか?」


ベニエさんから、物を受け取り、お礼を言う。

作るときに、汚しちゃうだろうから、大きめの紙を下に敷いて、早速スタート。

まず、ベニエさんから受け取ったチョークを色ごとに粉々につぶしていく。

緑、赤、黄、茶、青、白

サラサラになるまで潰したら、塩をそれぞれ潰したチョークと混ぜ合わせる。

塩を入れることによって、チョークが、きれいな色付きの砂みたいになるんだよね。

うん、下準備はオッケー。


先ほどもらった、小瓶にこのチョークを詰めていき、最後にコルクで絞めれば完成。

お世話になった人に渡すなら、それぞれのイメージを瓶に詰めたいよね。


まずは、メル。

今回、ミシュティについて深く知ることができるきっかけをくれた人。

やっぱりメルは、蜂蜜みたいなきれいな金色の髪。

黄色と茶色を少しずつ瓶の中に入れて、縞模様にしていく。

そして、赤のチョークと黄色いチョークを混ぜて、オレンジする。

オレンジは、あの明るいメルの性格から。

瓶の中をならすために、瓶を軽く床にぶつけてコンコンとする。

最後にコルクを閉めれば、メルに渡すソルトアート瓶が完成。


グラースさん、ベニエさん。

ビスクート王はどうだろうか…

貰ってくれるかな…

いや、そうじゃなくて、私が渡したいかどうかだから。

よし作ろう。


グラースさんは、メルと一緒で蜂蜜みたいな金色の髪が印象的だから、黄色と茶色。

あとは、気品ある感じ…うーん。

白にしよう。

ベニエさんは、赤と白を混ぜてピンクを作り、ピンクと白のソルトアート。

ビスクート王は、茶色と白メインで作ってみようかな。

一つ一つ丁寧に、瓶の中に塩チョークを詰めいていく。


出来上がったカラフルな瓶詰たち。

いいんじゃない?


あと…


ポンポン

私が、ネロの肩をたたくと、ネロはそのまま振り向き、ネロの頬に私の人差し指が刺さった。


「にゃにをふる」

「言えてないし」

「まったく、なんだ」

「はい、これ」


ネロに先ほど作った小瓶を差し出した。


「なんだこれ」

「ソルトアートの瓶、ミシュティの人たちにお世話になったお礼で作ったんだけど、材料余ったし、ネロにもあげようかなって。」


瓶の中は、赤と青を混ぜ合わせた紫と青をもメインにした小瓶。

ネロをイメージした夜の瓶。


「……。」

「はい、どうぞ。」

「また夜の色か?」

「もちろん、夜はネロの色だよ。なんとなくだけど、そう思っちゃうんだよね。」

「暗闇だな」

「はぁ?何言ってるの?」

「なんだよ」

「休息の暗闇でしょ。常に明るかったら、疲れちゃうでしょ。ネロは、優しい夜だよ」

「……。そうかよ。」


え…?

なになに?


「ネロって意外に照れ屋さんだよね」

「うるさい!」

「あぁ、ごめんってば。うりゃ」


そっぽを向いて逃げようとするネロを捕まえて、私はネロを抱き上げる。


「お前は、毎回毎回、抱き上げるな」


ネロは大暴れだけど、先ほどの遠くを眺めいたネロの雰囲気はなくなったかな。

いいのか悪いのか分からないけど…。


「ネロも一緒にお礼の品作る?」

「これじゃないのか?」

「別のも考えたから、せっかくだから作っちゃおうと思って。食べ物なんだけど」


ネロの耳がピクリと反応する。


「ミシュティの材料で料理するのもあとわずかだしなぁ」

「早くいくぞ」


この食いしん坊め。


「分かったって。引っ張らないで。」


ネロにぐいぐい引かれながら。キッチンに向かうのであった。

読んでいただき、ありがとうございました!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ