62話 帰り道、ビスクート王と
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カラメオの洞窟からお城へ帰るとき、ふと思った。
元々、お菓子の国に何泊するか決めてなかったけど、ミシュティがどんな所か知ることができたし、なんで観光客が減少しているのかも、私たちなりに答えが出たし。
そろそろ、コスモスに帰るころかな。
旅行客としても、観光職員としても、みんなにいろんな報告ができそう。
というか、みんな元気にしてるかな。
ネロとは、コスモスでも旅行でも一緒だったけど、ほかのメンバーとも観光してみたいよね。
コスモス内の旅行でも誘ってみようかな。
ミシュティには、今日で二泊三日。
そう思うと、観光するのも、観光客の減少原因も意外と早く解決できた気がする。
いろいろやってるときは、あまりにも密度が濃くて、それどころじゃなかったけど。
「おつかれ様でした」
お城まで戻ってきて、ビスクート王が私に微笑んでくれた。
一緒に探検すると、心の距離まで縮むのかな。
王族とこの関係は、私の人生では予想外だったけど。
「案内していただいて、ありがとうございました。」
「こちらこそ、ミシュティのことを考えてくれて、助かりました。」
「実際、販売してみないと何とも言えないですけど、レシピはしっかり伝授しておきましたので、ご安心を。」
「はい、助かりました。」
お互い微笑みあって、妙な沈黙が流れる。
いうならここかな。
「私とネロは、そろそろコスモスに帰ろうと思います。」
「え、あぁ…そうですよね」
「短い間の滞在だったんですが、楽しかったです。」
「そろそろって、具体的にはいつでしょうか」
「具体的…」
確かにそろそろって言ってもねぇ。
うーん。
アミューズメントエリア見たいような気もするし。
「明日の夜にしようかと」
「それ、明後日にできませんか?」
ん?
ビスクート王が、日程を提示してきたため、不思議に思ったけど、なにか大きなイベントでもあるのかなと思い、私は頷いた。
「わかりました。明後日に帰ることにします。」
「すみません。合わせていただいて」
「いえ、ミシュティを、もっとよく知るチャンスができましたから。」
私がそういうと、ビスクート王は王様っぽくない、無邪気な笑顔で声を出して笑った。
あ…、今までで一番、ビスクート王に近づいた感じがする。
王様っぽく、気品のある雰囲気だったけど、ビスクート王の顔って幼く見えるから、こういう笑い方、とても似合うなぁって思う。
王様に対して、失礼だけど。
「この後はどうなされるのですか?」
「洞窟探検で思ったより、時間が経っていたので、今日はこのまま宿舎に帰ろうと思います。」
「そうですか、ならば、城の者に送らせますね」
「い、いらないです!」
「そうですか…」
そんな顔されたら、罪悪感が。
でも、送ってもらうのも、慣れないし…
「じゃあ、私が城の外まで送るのはいいですか?」
えぇぇ?
「王様に送らせるわけには…」
「私が、お二人を送りたいんです。いいでしょう?」
んんん。
首を傾げ、若干、上目づかいに。
王様がそんな顔しないでください。
キャラ変した?
「お願いしてもいいですか?」
「もちろんです。」
私は、ビスクート王の渾身の一撃に負けて、頷いた。
お城内部から、お城の外壁まで、お互いがお互いの国について語ったり、友人の話をしたり。
友達感覚で、お城の外まで話してしまった。
ずいぶんと図太くなったなと思う。
「ここまでで、大丈夫です。送っていただいてありがとうございました。」
「気を付けて、お帰りください。」
「はい。ありがとうございました。」
門のところで、ずっと見てくれているビスクート王に、お辞儀をしながら、私とネロは宿舎に向かったのだった。
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