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61話 琥珀色の向こう側


危険な思いをして、下りきった穴を背に、甘い匂いのする方へ歩いていく。

そして、一番匂いが強い場所。


ここの中に、カラメオがある…。


「入りましょうか。」


ビスクート王の声に頷き、足を進める。


うわぁ…


そこに広がっていたのは、一面、琥珀色の空間。

上を見ると、大きい氷柱つらら、小さい氷柱つららにびっしり埋め尽くされた天井。

所々に、上から下までを貫く柱のような氷柱つららもあった。

地面からも、琥珀色の石が上に向かって伸びている。

お菓子の国もファンタジーだけど、ここは幻想的な空間な感じがする。

お菓子の国とは、全く別の世界のような。


琥珀色の鍾乳洞。

……。


「これがすべて、カラメオ鉱物で、宝飴ほういの石の元になっている物です。」

「チヒロ?」

「え、あぁ、ごめん。すごすぎて言葉が出なかったよ。絶景だね。」

「そういって貰えて何よりです。ではもう少し先まで進んでみましょうか。」


そういってカラメオの洞窟のさらに奥へ進む。

奥に進むにつれて、カラメオの透明度が増していく。

そして、次の大きい空間では、透き通る琥珀色の空間が広がっていた。

何本もの氷柱つらら、地面から生えるカラメオ。

でも、先ほどとは、違う透明感のある空間。


「また、声が出ないほどの絶景ですか?」

「はい…、なんというか、ただ眺めていたいような、そんな場所です。」

「では、最後に洞窟の最終場所までご案内します。」


透明度の高い琥珀色の鍾乳洞を歩き進めていくと、また一つの空間。

そこは、琥珀色の鍾乳洞とは変わり、緑と岩に囲まれた空間。

でも私は、この空間が一番美しいと思った。

天井には大きな穴が開いていて、そこから太い光の柱が差し込んでいる。

そして、光が差し込んでいる場所の中央に、琥珀色の石が置かれていた。

琥珀色の石は、光に反射して、とても輝いている。


「この場所が、カラメオ洞窟の最終地点。そして、ミシュティの始まりの土地です。」

「え?でも、宝飴ほういの石の原料は、入り口のカラメオだと言ってませんでしたっけ?」

「今まで通ってきた道は、あの中央の石の影響でできた空間なんです。あの石が何よりも、魔力マナが強くて濃い。」

「じゃあ、あの石に感謝しないといけませんね」

「え?」

「だって、こんな素敵な世界に出会えたんですから。」

「……。」

「ビスクート王?」


なんか変なこと言った??

感動したと伝えたかっただけなんですけど。

何か気に障った?

それに、洞窟探検で気が緩んでたけど、王様に対してフランクになりすぎじゃない?

もしかして、不敬罪的な感じ?


「あの…」

「いえ、少し昔を思い出しました」


ビスクート王は、私の声に複雑そうに、でも懐かしそうに笑った。

昔、何かあったのかな…。

でも、ビスクート王にとって、大切で触れてはいけない思い出だと思うから、聞かないでおこう。


そして、私の横にいる猫ちゃんも、とても静かだ。

ネロは、あの中央の石を見て驚いているように見えるけど、どうしたのだろうか…。

しかも、なんか恐れてる感じ…?


「……。」

「ネロ?」

「あ?なんだ?」

「大丈夫?ネロがボーっとしてるから。」

「お前に言われたくない。」

「はいはい」

「あ、おいっ!やめろ」


確かに、ボーっとしてるけど、そんないい方しなくてもよくない?

私は、ネロを捕まえて、ほっぺたを、ツンツンと突っついた。


「ネロ」

「なんだ…」

「なんでもない」


何を思っているかわからないから、軽いこと言えないけど、少しでもネロが恐れなくてもいいようにと、ネロを抱きながら、中央の石に願った。


中央の石から、あの鍾乳洞につながり、あの大きな規模のお菓子の国が出来たんだな。

ミシュティの歴史の一端を見れた気がして、私はうれしくなった。

私の子供のころの夢の一つ、お菓子の国が、積み上げてきたものを見れた感じがして。


お菓子の国、ミシュティ。

素敵な出会いと、美しい空間。

来られてよかったって、改めて思えた場所。

読んでいただき、ありがとうございました!


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