603話 合宿の定番といえば?
スーパーの袋を抱え、部屋の中にどさりと倒れこむ。
「お前、毎度のことながら、買う量を考えろよ…」
「仕方がないでしょ。あ、…ただいま帰りました。」
「「ただいまー」」
アンジュ君とアンヘル君も部屋の中に入ると、私の部屋で寛いでいる四人の姿。
凄くゆったりとしてらっしゃる…
「あ、おかえりなさい。」
笑顔で迎えてくれるフェリシアさん。
「帰って来たわね。」
「どうだった?楽しかったか?」
そして、ソワソワしているリリスさんとカイン君。
「アンジュ君、アンヘル君、ネロ。まず手を洗ってね。」
「おかえり、チヒロ。」
「アルバートさん、ただいまです。えっと…夕飯前には帰ってきたつもりではあるんですけど、もう何か食べちゃいましたか?」
もし、食べてしまっていたら、今日作るものは変更して、今日出かけた組の分をささッと作るつもりなんだけど…
「朝と昼は、しっかりといただいたよ。夕飯は、それまでに帰ると言っていたから、皆で待っていたんだ。」
「じゃあ、まだ食べていないんですね。」
「そういう事になるね。」
それならば、今日作れる。
旅行といえば、定番の料理。
食べる人が大人数でも一気に作ることが可能な、みんな大好きであろう料理。
「良かったです。じゃあ、すぐに夕飯の準備を始めますね。」
私は、台所へと向かい、今日買ってきた食材たちを冷蔵庫の中に入れる。
さて、始めますか。
「ねぇ、チヒロ。」
「僕たちは何を手伝えばいい?」
アンジュ君とアンヘル君が私の下で、ピョコピョコと跳ねている。
台所の高くて、顔が上に出ないのね…
可愛いか?
「そうだね。じゃあ、お米を炊いてもらおうかな。」
アンジュ君とアンヘル君の顔が上に出るように台座を用意して、そこに乗せてあげる。
そして、炊飯釜を二人に渡し、やり方を教えてあげる。
二人は一生懸命に、お米をかき混ぜて、水を捨てる…を繰り返してくれた。
「今日は何を作るんだ?」
ネロも気になったのか、私の頭にちょこんと乗っかって来た。
「今日はね、カレーを作るよ。」
「カレー?」
本格的にスパイスから作る芸当は、私にはさすがに無理なので、お助けアイテムのカレールーを使って。
米は、八人分炊くことが出来ないから、炊ける分だけ炊飯器で炊いて、あとはチンが出来るパックご飯にしようと思う。
アンジュ君とアンヘル君にご飯を任せたので、私はカレーを作る。
食材を切り、炒め、煮る。
キャンプの定番といってもいいんじゃないかな?
飯ごう炊飯の時に、カレーってよく作るよね。
修学旅行に行った時も、合宿に行った時も、キャンプに行った時も、カレーって一回は必ず出てくるイメージというか…
どこにでもいる様な存在感があるというか…
だから、地球に旅行に来た皆にもカレーをいつか作りたいとは、思っていたんだけど、それが今日になるとはね。
「ちょっと辛くて、でも癖になる、それがカレーだよ。」
鍋をかき混ぜながら、煮こまれていく鍋の中を見る。
「…匂いがすごいな。」
「いい匂いでしょ?」
「あぁ。なんというか、食欲が出る匂いだ。」
カレーって、なんであんなに食欲をそそられる匂いがするんだろう?
やっぱり、好きだからかな?
私の部屋で寛いでいた皆も、カレーの匂いに釣られ、顔が台所の方に向く。
「すごく、いい匂いがするわね。」
「あぁ。お腹が空いてくる匂い。」
炊けたご飯と、パックのご飯をお皿に盛りつけ、その上からゴロゴロとした野菜たっぷりのカレールーをかける。
「お待たせしました。」
皆に一皿ずつ渡し終え、自分の分もよそって、床へと座る。
「チヒロ特製カレーです。お好みでソースをかけて、食べてください。」
有間家のカレーは、ソースをかけて食べるのが家庭の味。
ソースをかけると、甘くなるんだよね。
「わぁい。ご飯。」
「僕もチヒロを手伝ったよ。」
「アンジュ君、アンヘル君。お手伝いありがとうね。」
二人の頭を撫でると、スリスリと手にすり寄ってくる二人が愛らしい。
外出組は、外でいっぱい遊んでお腹が空いただろうし、おかわりも用意した。
部屋に居たメンバーも夕飯を待っていてくれたみたいだし…
「食べましょうか。」
手を合わせて、いただきますと言うと、皆も続いて、いただきますと言い、食べ始めた。
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