6話 透き通る濃い青は夜の色
「ごめんなさいね、今ちょっと散らかっていて。座って待っていてくれる」
ちょっと??
机の上には旅行、観光雑誌がタワーのように積み上がり、いかにも倒れてきそうで。
いや、いくつかはすでに倒れて床に転がっている。
足の踏み場もあったものじゃない。
座って待っているにしても、どこに座ればいいのだろうか。
キョロキョロとあたりを見回していると、美人さんが帰ってくる。
「こちらに座ってお茶でもどうぞ」
案内された場所は明らかに仕事に使われているデスクだろうな。
私が座ったのを確認すると、対面に美人さんが座る。
そして、さっきのショタ双子が部屋に入ってきて私の目の前にお茶を置いた。
透明なグラスに、透き通るような濃い青の色の飲み物が入っている。
きれいな色のお茶があると聞いたことはあるけど、ホントにきれいだった。
どこか見たことある色だなって思って、そのお茶を見つめていると美人さんから声をかけられた。
「すみません!」
「大丈夫。ノクティスというお茶なんです。夜という意味なんですよ。どうぞ召し上がってくださいな。」
「猫さんの色だ」
夜。
その単語を聞いてどこで見たのか思い出して、とてもスッキリした。
自称、虎(猫)の瞳の色。
うれしくなって思わず声に出てしまい、その場にいた★5レベルの顔からじっと見られたため、居心地が悪くなる。
やってしまったか?
「すみません」
「いえいえ。確かにネロの目は、このような透明度のある濃い青色ですね。ね?ネロ。」
美人さんは私に微笑むと、猫のほうを向いて面白そうににんまりと笑った。
「うるさい」
美人さんの言葉をはねのけ、再びふて寝をしている。
というか、いつの間に目覚めていたのだろうか。
「さて、そろそろ本題に参りましょうか。」