49話 「しすせそ」との出会いに感謝
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「これ、食べてみてもいい?」
「えぇ…、いいけど」
メルの許しを得て、ついでにスプーンを借り、ツボの中の物をすくう。
うん、やっぱり味噌。
魔物から大豆が採れそうだったから、作ったことはないけど、私の微妙な知識で味噌を作ろうかなって思っていた。
でも、味噌そのものがあるなんて。
ダークマターを作り出さずに、美味しい味噌にありつけた、助かった。
メルのお母さま、ありがとう。
「そのお土産が、どうかしたの?」
メルは、なぜか顔を引きつらせて、私に問いかけて来た。
なぜ?
「これは、いろんな料理に使える調味料なの。」
私がツボを指さしながら言うと、メルはギョッとした目で味噌のツボを見る。
ん?
「これ、食べられる物だったんだ…。」
あ…これは、まさか。
「このツボの中身、使った形跡がないのって。」
「お母さんが、異世界転送装置で送ってきたんだけど、何かわからなくて放置しちゃったのよね。」
なるほど、やっぱりですか。
異世界の何か分からない物が届いたら、そうなるよね。
まず、口に入れようと思うはずがないわ。
味噌が放置されてるなんて…。
お菓子で味噌を使うってあまりないのかな?
それにさぁ、異世界転送装置って、宅配システムあったんだ。
すごいな。
「じゃあこれも、もしかして食べられるってこと?」
私が味噌のツボを眺めていると、メルは大きめの瓶を3つ抱えて持ってきた。
私は、その瓶を一つ一つ空けて確認してみる。
白い粒の瓶、透き通る薄い黄色の瓶、黒の瓶。
これって…。
五大調味料。
しすせ!
砂糖は、もともとミシュティで手に入るみたいだし。
神か?って、私は思うけど。
メルのお母さんは何がしたかったのかな。
もしかして、ミシュティに新たな文化を取り入れたかったってこと?
分かんないけど、さしすせそがあれば、いろんなものが作れる。
「食べられるよ。どれも、調味料としてよく使われてる物。」
「そうなんだ。」
「舐めてみる?」
「え?大丈夫なの?」
あぁ…、甘いもの文化の人たちには、ちょっとしょっぱいのかな。
苦手意識を持たれちゃうと困るし、やめた方がいいのかな?
「た、食べてみる。」
味噌を目の前にして、そんなに緊張しなくてもいいんだけど。
メルは、まるで毒見をするかのような緊張ぶりである。
味噌を少しスプーンに乗せて、メルに渡す。
メルは、恐る恐る口に運んでいき、味噌がメルの口の中に消えた。
「ん…」
どうかな。しょっぱいかな。
「食べたことない味。でも美味しいかも」
メルは、何もなくなったスプーンを見つめ、顔をやわらげた。
そうか、しょっぱいって感覚も、もしかしてない?
でも、美味しいと感じてくれているみたいだし、オッケーかな。
「ちなみ、ミシュティにあるものでも、これ作れるんだよね。」
「そうなの?」
「そう。あの魔物が撃ってきた弾が、この味噌の原材料なの。」
メルは、目を見開き、私と味噌を見つめている。
「だから、チヒロは、魔物に撃たれても笑っていたのね。」
それだけ聞くと、だいぶおかしな人に見えていたんだろうな。
攻撃されているのに、ニコニコしながら、弾に近づいていくの。
そういえば、コスモスにも味噌はあるのだろうか?
「ネロも味噌食べる?」
ネロはじっと味噌を見つめている。
興味はあるのね。
私は、もう一本スプーンを借りて、少量の味噌をすくうとネロの前に差し出す。
「はい」
「あ?」
「興味あるなら言えばいいのに。」
「別に、そういう訳じゃない。」
「はいはい、どうぞ」
私はネロの口の方にスプーンを近づける。
すると、ネロは小さい口を開けて、味噌をペロッと舐めた。
「…しょっぱいな。」
「でも、美味しいでしょ?」
「まぁな」
ネロは、そういいながら、またスプーンに乗っている味噌をペロペロと舐めるのであった。
んん…可愛い。
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