481話 また会いましょう
「改めて、本当にお世話になりました。」
「プティテーラ滞在中のサポート、感謝している。」
お辞儀をして、顔を上げると、にっこりとした顔の三人。
「アルビナとのことで、いろいろ助けられた。それから、俺の願いに付き合ってくれてありがとう。お前たちがいたから、達成できた。」
「サポートしてくれていたのは、二人でしょ?」
「私も恋愛を応援していただきました。話も聞いていただきました。」
そんなこともあったよね…と思いながら、笑い返す。
「二人との思い出を語りだすと、二人をまた引き止めちゃうことになっちゃうわね。」
「先ほども、挨拶をさせて貰ったのに、まだまだ話したりなかったみたいです。」
私も、そう。
さっき、挨拶を済ませたばかりなのに、別れの直前になって、また次から次へと、思い出が頭の中に浮かぶ。
このままだと、本当にもう一日滞在しかねない感じになってしまう。
「私も話したいことが、どんどんと出てきちゃっているんですけど…それは、また今度会った時に、こんなことがあったよね…という感じで、話をさせて貰えればと思います。その方が、次会う時がより楽しみになると思いますし。」
「それは、いいわね。私もそうするわ。」
「そして、次会った時は、お互いどんなことが合ったか、話をしましょう。会わない間に、いろいろ起こるかもしれませんし。」
「それ、いいですね。」
私と、アルビナ令嬢、ルアルさんで盛り上がる。
ネロは、シン王子と何かを話しているみたい。
メルたちもお見送りで待たせてしまっているし、これ以上時間をかけると、また寂しくなりそう。
「ネロ?」
「今行く。」
シン王子の傍にいるネロを呼ぶ。
「メル、ビスクートさん。お見送り本当にありがとう。」
「また会おうね。絶対だからね。」
「今度は、コスモスに行くからね。」
「あぁ、待っている。」
メルとビスクートさん二人にハグをして、離れる。
四人で抱き合っている姿は、さぞ面白い光景だろうな。
メルとビスクートさんから離れて、お次はルアルさん。
「ルアルさん、クラト公子と頑張ってくださいね。」
「えぇ?あの…」
「あの公子は、ルアルから押して押して押しまくっても平気だと思うぞ。」
ネロ…
ルアルさんになんてことを…
でも、その通りだと思うので、訂正はしません。
ルアルさんに押されたら、ヘタレ公子でも後は何とかするでしょう。
少し慌てたルアルさんの手を握り、勝手に握手。
握られたことを感じて、ルアルさんもギュッと握り返してくれた。
「シン王子とアルビナ令嬢は、今後とも仲良くやってくださいね。」
「当たり前だろ?」
「当たり前よ。」
「次に会った時に、関係が崩れていたとなったら、どうしていいのか分からないからな。」
その光景は、私たちも望まないし、プティテーラ中も望まないだろう。
くっ付くまでにひと悶着合ったんだから、より面倒くさいことになりそう。
でも、二人が自信満々に答えてくれたし、正直、そんな未来も想像できないから、大丈夫なのだろうな。
「それは良かったです。」
私がそう言うと、アルビナ令嬢が、ガバッと手を横に広げた。
ん?
「ほら。」
もしかして、そこに飛び込んでいいという事ですか?
私がジッと見つめていると、早くしてという表情が目に入る。
「では、失礼します…」
アルビナ令嬢の胸の中に飛びこむと、ギュッと抱きしめてくれた。
正解だったみたい。
「ありがとう。」
アルビナ令嬢…
うわ、なんか温かいし、なんか…
「ネロ、お前も俺の所に飛び込んでくるか?」
「俺はいい。」
ネロは、シン王子のお誘いを丁重にお断りしている。
私は、アルビナ令嬢の胸の中で、鼻を啜り、二人の受け答えに笑った。
アルビナ令嬢は、私の頭を撫でて、体を離した。
「さて、帰ります。」
私たちは、大きく頭を下げる。
そして、最後に、あのプティテーラ式のキツイお辞儀をして、異世界転送装置に入っていく。
装置の中から、手を振ってくれている様子を見ながら、装置を起動する。
「また会いましょう。」
装置の中で呟いて、私たちは光に包まれた。
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